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トーテムの意味と由来・トーテムポールの意味とモチーフ

更新日:2023年11月05日

言葉の意味・例文

「トーテム」という言葉を知っていますか。トーテムポールは日本でも、公共施設や小学校の卒業施設に建てられることがあり、知っている人も多いでしょう。しかしそのポールに込められた意味まで知っている人は少ないでしょう。詳しい意味や由来について紹介します。

トーテムの由来と意味

一族の象徴である動物

トーテムは、とある「部族」や「血族」に宗教的な意味合いで関連付けられた動物や自然現象のことで、部族や血族のシンボルとなる存在を意味する言葉です。 トーテムの動物の名前はそのまま一族や個人の名前として使われることもあります。また、武器や装飾品のモチーフとして彫って身に着けたり、体に入れ墨を施したり、特定の動物を神聖視して殺したり食べてはいけないという戒律があります。 主に未開の社会や古代文明で見られる概念ですが、現代社会でも「伝統」や「儀礼」の意味で続けている場合もあります。

元々はネイティブアメリカンの言葉

「トーテム」と聞くと、北アメリカの先住民であるネイティブアメリカンのトーテムポールを思い浮かべる人も多いでしょう。元々は、ネイティブアメリカンの部族の一つ、「オジブワ族」の言葉「ototeman」に由来します。「彼は私の部族のものだ(同朋)」という意味です。 元々のネイティブアメリカンの言葉ですが、学術用語として浸透していて、アフリカやアジアの似たような意味を持つ概念や象徴に対しても「トーテム」と使います。

歴史書に見られるトーテム(totem)

トーテムと同じ意味のaoutem

「トーテム」という概念がヨーロッパ人に初めて紹介されたのは、1609年に書かれたフランスの歴史書「Histoire de la Nouvelle-France」です。 この本で紹介されているのは「aoutem」で、「totem」と同じ意味の言葉です。「aoutem」もネイティブアメリカンの言葉ですが、こちらはカナダのノバスシコアに住んでいた「ミクマク族」かその周辺の一族の言葉として紹介されています。 その後、1791年にイギリスで出版された書籍が「totem」の初出と言われていますが、当時のスペルは「totam」でした。

オジブワ族と交易商

「トーテム」という言葉が初めてヨーロッパに紹介された本には、ネイティブアメリカンのオジブワ族と交易したジェイムズ・ロング氏の報告の記録がありました。 オジブワ族の狩人がうっかり熊を殺してしまい、「自分のtotamであるビーバーの怒りに触れたので、狩りができなくなってしまった」と語ったという話です。ロング氏は「totam」を「守護精霊」と訳しました。 しかし、トーテムは一族のシンボルを意味しますが、守護精霊という意味はありませんでした。本の出版から半世紀ほど経ってから、オジブワ族のキリスト教宣教師ピーター・ジョーンズ氏はオジブワ族の辞書を作り、より正確な意味でヨーロッパに紹介し、以来トーテムは学術用語として浸透しました。 なお、ロング氏が聞き取った「totam」は、「一族」を意味する「doodem」だろうと考えられています。

トーテミズムの意味

トーテムと一族の関係

トーテミズムはトーテムに由来する言葉です。トーテムはある部族が大きくなり、いくつかの集団に分かれるときの「屋号」のような意味あいがあります。「うさぎさんチーム」や「くまさんチーム」のようなもの、と言ってしまうとほのぼのしてしまいますが、実際はもっと一族のアイデンティティに関わる重要な意味があります。 トーテムの多くは、その部族の「先祖」とされていて、創世神話と密接に関係します。また、そのトーテムを崇拝し、傷つけたり食べたりすることはタブーとされ、特別な祭事のときにしか食べませんでした。そして同じトーテムを持つ部族とは結婚できませんでした。

トーテミズムは原始宗教

トーテミズムには上記のような「事実」がありますが、それが「なぜ」そうなったかは、まだまだまだ議論の余地を残しています。 19世紀にスコットランドで活躍した法学者マクレナン氏は、「同じトーテム(同族)の婚姻を禁止している」ということに着目し、一族にトーテムを設定することによって、社会のルールを作ったのではないかと考えました。 マクレナン氏の主張は理路整然とはしていますが、「社会が本当にそのように進化した」と証明できていないため、現在の文化人類学では支持されていません。

トーテムポールの持つ意味

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初回公開日:2018年01月31日

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