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トーテムの意味と由来・トーテムポールの意味とモチーフ

言葉の意味

「トーテム」という言葉を知っていますか。トーテムポールは日本でも、公共施設や小学校の卒業施設に建てられることがあり、知っている人も多いでしょう。しかしそのポールに込められた意味まで知っている人は少ないでしょう。詳しい意味や由来について紹介します。

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トーテムの由来と意味

トーテムの意味と由来・トーテムポールの意味とモチーフ

一族の象徴である動物

トーテムは、とある「部族」や「血族」に宗教的な意味合いで関連付けられた動物や自然現象のことで、部族や血族のシンボルとなる存在を意味する言葉です。 トーテムの動物の名前はそのまま一族や個人の名前として使われることもあります。また、武器や装飾品のモチーフとして彫って身に着けたり、体に入れ墨を施したり、特定の動物を神聖視して殺したり食べてはいけないという戒律があります。 主に未開の社会や古代文明で見られる概念ですが、現代社会でも「伝統」や「儀礼」の意味で続けている場合もあります。

元々はネイティブアメリカンの言葉

「トーテム」と聞くと、北アメリカの先住民であるネイティブアメリカンのトーテムポールを思い浮かべる人も多いでしょう。元々は、ネイティブアメリカンの部族の一つ、「オジブワ族」の言葉「ototeman」に由来します。「彼は私の部族のものだ(同朋)」という意味です。 元々のネイティブアメリカンの言葉ですが、学術用語として浸透していて、アフリカやアジアの似たような意味を持つ概念や象徴に対しても「トーテム」と使います。

歴史書に見られるトーテム(totem)

トーテムと同じ意味のaoutem

「トーテム」という概念がヨーロッパ人に初めて紹介されたのは、1609年に書かれたフランスの歴史書「Histoire de la Nouvelle-France」です。 この本で紹介されているのは「aoutem」で、「totem」と同じ意味の言葉です。「aoutem」もネイティブアメリカンの言葉ですが、こちらはカナダのノバスシコアに住んでいた「ミクマク族」かその周辺の一族の言葉として紹介されています。 その後、1791年にイギリスで出版された書籍が「totem」の初出と言われていますが、当時のスペルは「totam」でした。

オジブワ族と交易商

「トーテム」という言葉が初めてヨーロッパに紹介された本には、ネイティブアメリカンのオジブワ族と交易したジェイムズ・ロング氏の報告の記録がありました。 オジブワ族の狩人がうっかり熊を殺してしまい、「自分のtotamであるビーバーの怒りに触れたので、狩りができなくなってしまった」と語ったという話です。ロング氏は「totam」を「守護精霊」と訳しました。 しかし、トーテムは一族のシンボルを意味しますが、守護精霊という意味はありませんでした。本の出版から半世紀ほど経ってから、オジブワ族のキリスト教宣教師ピーター・ジョーンズ氏はオジブワ族の辞書を作り、より正確な意味でヨーロッパに紹介し、以来トーテムは学術用語として浸透しました。 なお、ロング氏が聞き取った「totam」は、「一族」を意味する「doodem」だろうと考えられています。

トーテミズムの意味

トーテムと一族の関係

トーテミズムはトーテムに由来する言葉です。トーテムはある部族が大きくなり、いくつかの集団に分かれるときの「屋号」のような意味あいがあります。「うさぎさんチーム」や「くまさんチーム」のようなもの、と言ってしまうとほのぼのしてしまいますが、実際はもっと一族のアイデンティティに関わる重要な意味があります。 トーテムの多くは、その部族の「先祖」とされていて、創世神話と密接に関係します。また、そのトーテムを崇拝し、傷つけたり食べたりすることはタブーとされ、特別な祭事のときにしか食べませんでした。そして同じトーテムを持つ部族とは結婚できませんでした。

トーテミズムは原始宗教

トーテミズムには上記のような「事実」がありますが、それが「なぜ」そうなったかは、まだまだまだ議論の余地を残しています。 19世紀にスコットランドで活躍した法学者マクレナン氏は、「同じトーテム(同族)の婚姻を禁止している」ということに着目し、一族にトーテムを設定することによって、社会のルールを作ったのではないかと考えました。 マクレナン氏の主張は理路整然とはしていますが、「社会が本当にそのように進化した」と証明できていないため、現在の文化人類学では支持されていません。

トーテムポールの持つ意味

トーテムの意味と由来・トーテムポールの意味とモチーフ

トーテムが彫られた柱

トーテムポールは、北アメリカの太平洋沿岸部に住んでいた先住民族に見られる文化です。カルフォルニア州からアラスカに至る沿岸部に見られ、100kmから150km内陸に行くと見られなくなります。 家や村の入り口や、墓地などに建てた柱で、1から数10個のトーテムが彫られています。それは家の表札のような意味あいで建てられたもので、仏像のような崇拝の対象とはなっていません。

トーテムポールの歴史

トーテムポールは18世紀後半、ヨーロッパ人がアメリカ西海岸に航海できるようになってから数多く報告されていますが、それ以前の記録は残っておらず、調査をしても18世紀以前のものは発見されませんでした。 その理由は、トーテムポールは木製の柱であり、雨風にさらされていたからです。北アメリカ西海岸は雨が多く、木が腐食しやすいといいます。そして先住民たちにとってトーテムポールは建てることにこそ意味があり、自然のまま朽ちて土に返っていくのが良いとされ、保存や修復は意味のないものとされていました。 しかし20世紀に入ると、先住民たちに伝統文化を守ろうという意識が芽生え始めて、トーテムポールを保存するようになります。1970年以降になると、博物館や公園などに展示するレプリカが作られるようになり、1970年代後半には、再び先住民の象徴としての新しいトーテムポールが建てられるようになりました。

トーテムポールの種類

トーテムポールにはいくつか種類があります。代表的なものは家の柱として作られたもので、家の中央部にある柱と入り口にある柱です。これは主に、その家の家長の家系を表しています。村の周囲に建てるときは、この村の領地であるということを示しています。 それから記念として建てる柱で、その人や家族が関わった出来事を彫り込んでいます。また、墓標として建てることもあり、その部落の首長が亡くなったときは「墓棺柱」と呼ばれるトーテムポールを作ります。これは柱の間の上部に棺を置き、そこに遺体を安置したもので、1本柱のものと2本柱のものがあります。

トーテムポールのモチーフの種類

トーテムの意味と由来・トーテムポールの意味とモチーフ

動物

トーテムポールに一番上に彫られている動物は、ほとんどの場合一族のトーテムを意味しています。そしてトーテムポールの一番下に彫られている動物が、ポールを建てた人の家系を示すトーテムです。 例えば、ハイダ族には「ワタリガラス族」と「カラス族」に分かれています。そしてワタリガラス族にも「シャチ」「熊」などのトーテムに分かれていて、トーテムポールを見れば、「ハイダ族」の「ワタリガラス」の「シャチ」の「だれそれ」という意味がわかるようになっています。 また、使われている色や形にも意味があり、部族がわかるようになっています。

人の顔

トーテムの意味と由来・トーテムポールの意味とモチーフ

トーテムポールに彫られた「人の顔」は、そのまま「人」を意味しています。先祖の顔や伝承の登場人物の顔を表しているとされています。

神話や物語

「トーテムポールには物語がある」とよく言われています。ポールに彫られたトーテムには、それが使われる理由が語り継がれているからです。 トーテムポールを建てることは、先住民族たちにとって大変名誉なことでした。トーテムポールが建てられると、ポトラッチというお披露目の儀式が開かれます。 そこでポールの命名や、建てるに至った経緯、刻まれた彫刻の由来を語り、飲めや歌えやの大宴会が開かれます。現在、先住民族たちが建てているトーテムポールにもこうした物語が刻み込まれています。 ポトラッチを開いた回数も重要で、それは「リングの数」として表現されています。リングはポールの上の方に彫られていたり、人が彫られている場合は人物が嵌めていたりします。そしてポトラッチをやらずにトーテムポールを建てることは、とても恥ずべきものという認識もあります。

先祖や伝承にふれてみよう

トーテムは一族のアイデンティティに関わる大事な物です。日本にもトーテムに似た信仰があると言われています。 トーテムポールを見る時、北アメリカの先住民たちがトーテムを大事にしてきたことに思いを馳せると同時に、自分たちの先祖にも思いを馳せてみましょう。

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