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援用の意味と使い方・時候の援用・民法における援用とは

更新日:2024年04月24日

言葉の意味・例文

「援用」という言葉は、日常生活の中では、あまり見かけない言葉です。「援用」は、特に、法律について語られるときに、多用されています。意味を知らないと、内容を推察しづらい言葉です。使い方や文例をもとに、「援用」という言葉の意味を理解しましょう。

援用の意味

「援用」には、「自分の主張の助けとするために、他の文献・事実・慣例などを引用すること」という意味があります。このほか、「法律で、ある事実を自己の利益のために主張すること」という意味もあります。 後者の意味については、「法律で」というところがポイントです。法律以外の事柄で、「援用」という言葉を使用した場合は、「ある事実を自己の利益のために主張する」という意味を、導き出すことはできません。

自分の主張の助けとするために他の文献・事実・慣例などを引用すること

「援用」の一般的な意味である「自分の主張の助けとするために、他の文献・事実・慣例などを引用すること」という使い方をすることは、あまり多くありません。使用例としては、「著名な教授の論文を援用して、自分の学術論文を仕上げた」という文章が考えられますが、多くの場合は、「援用」ではなく、単に「引用」を使って表現します。

自己の利益のためにある事実を提示し主張すること

先にご紹介したように、法律について語る際に「援用」を使用すると、「自己の利益のために、ある事実を提示し、主張すること」の意味になります。法律用語としては、「援用」は多用されています。また、法律用語として使用する「援用」は、一般的に使われる「援用」の意味と異なるため、単純に「引用」に置き換えることは、できません。

援用の使い方

ここでは、実際に「援用」を使った文例をご紹介します。一般的な意味で使用する文例は、通常の生活の中で、あまり見かけないので、文例から意味やニュアンスを感じ取ってください。 法律に関する文例は、普段の生活で見かけることは、少ないと考えられますが、いざ、法律問題に関する記述などを、読む必要に迫られたときに、間違った解釈をすることがないよう、意味の概略・ニュアンスを覚えておきましょう。

先人の説を援用する

【文例】 「古くから唱えられている、先人の説を援用することで、論文の骨子を理解してもらうことができた。」 この文例では、「自分の主張の助けとするため、他の意見・文献などを引用したり、事例を示したりすること」の意味で「援用」を使用しています。「昔から唱えられてきた説を用いて、説明することで、現在の論文を理解してもらう手助けになった」という内容の文章です。

時効の援用

【文例】 「時効の完成後に、債務者は時効の援用をすることができます」 法律用語として使用されている「援用」は、一般的な「援用」の意味を知っているだけでは、内容を理解することができません。文例の文章も、法律の勉強をしたことがない人にとっては、意味を推察するのも難しい文章ではないでしょうか。 文例にあげた文章を、わかりやすい日本語にすると、「時効が完成(成立)した後に、債務者は、その時効による権利の主張をすることができます」という内容になります。この段階でも、法律の詳細については、まだわかりづらいので、後ほど、詳細に記述します。

証拠の援用

【文例】 「共同訴訟の場合は,共同訴訟人の1人が提出した証拠は、援用の有無にかかわらず、他の共同訴訟人も、証拠資料とすることができます。」 この文例は、普段使っている言葉で、「共同訴訟人の1人が提出した証拠は、他の共同訴訟人が、その証拠を、自分の証拠として使うことを主張する・しないにかかわらず」と言い換えることができます。つまり、「援用」を「自分の証拠として使うことを主張する」という意味で使用しています。

抗弁の援用

【文例】 「保証人は、主たる債務者が、債権者に対して有する抗弁権を、援用することができる」 「抗弁権」とは、「いいわけをする権利」だと理解してください。この文章を、法律用語から離れ、日常的な日本語にすると、「保証人は、お金を借りた人が、貸した人に対して、できるはずだったいいわけを、保証人自身のために、使うことができる」と言い換えることができます。 文例が、借金に関する保証人についての文だと仮定すると、借金をした人が逃げてしまい、保証人が金貸人に返済しなければいけないという状況を想像します。100万円の借金をしたものの、すでに借金をした人が20万円は返却済みの場合、借金した人は、「債務者が20万円弁済済みなので、残額は80万円だ」と主張できます。保証人も同じように「20万円は返却済みだ」と主張することが、「抗弁の援用」の意味になります。

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初回公開日:2018年01月12日

記載されている内容は2018年01月12日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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