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南千住の治安が悪いと言われる訳・再開発による住宅事情

更新日:2024年11月23日

社会人常識

東京都荒川区南千住、かつてのイメージは「暗い」「こわい」「ドヤ街で浮浪者などが多い」「あまりきれいではない」でしたが、最近は都市再開発も相まって、大きく変貌を遂げています。しかしこの地域に住む、泊まるとなると治安を含め、いかがなのでしょう?

南千住治安の評判

南千住地区は昔からあまり評判の良い地区ではありませんでした。山谷、泪橋、日雇い労働者、安宿、あたり屋など暗いイメージが常に付きまとう街でした。 寒風の吹きすさぶ冬の夕暮れ、灰色に染まる街を防寒ジャンパーを着た労働者たちが肩をすぼめ、ポケットに手を突っ込み、少し前かがみになりながら足を引きずるように歩いている、街の片隅には紙くずやゴミが散乱し、それらが風に舞っている、そんなイメージでしょうか。 しかし時代の波とともに、街は様変わりしていき、今は昔のこのようなイメージはありません。世の中で沸き起こってくるニーズにうまく応えていたり、物価や土地価格の安さに都市再開発が進んでいったり、治安も大幅に改善されています。ただし、従来がこのような地区であったことを忘れてはいけません。その歴史的背景も含め、南千住にスポットをあてます。

山谷地区が危険だと言われる理由

山谷の歴史的背景

南千住地区の中でも特に山谷地区は、昔から治安も悪く、危険な地区といわれています。いったいなぜ危険なのででょうか。 山谷ときいて、何を想像するでしょうか。岡林信康の「山谷ブルース」、ちばてつやの漫画「あしたのジョー」などが有名です。 山谷は、奥州街道・日光街道に沿った地域であり、その昔は最初の宿場町でした。その後明治初期から政府により木賃宿街が形成され、近くに吉原遊郭も存在したことから、その客を送迎する車夫や、多くの貧困層、労働者などが住んでいました。 さらにこれに加え、第二次世界大戦による大きな被災を受けた東京が、この地区に仮宿泊施設を設けたことが、安宿の前身でした。そういったことが山谷の治安悪化につながっていきます。 その後の高度経済成長による労働需要の高まりから、続々と労働者が集まるようになり、街を形成していきます。さらには東京都や23区が、路上生活者いわゆるホームレスを生活保護のため、居宅が決まるまで一時山谷に預ける、という規則を作りました。これらが相まって、いわゆる「山谷」ができあがりました。このような山谷で治安を保てといっても無理な話でしょう。

ドヤ街の治安は?

山谷を車で通る時は車線の中央側を進め、とよく言われた格言があります。フラ~っと車道にわざと飛び出してきて、意図的に交通人身事故を起こし、ドライバーからの保険金を巻き上げる、いわゆる「当たりや」が出現するからです。 毎日の仕事を探し、報酬を得て生活できている人はまだしも、色々な事情、健康面、身体的な障害、意欲減退などなど仕事ができない、しない人々も少なからずおり、究極の選択としてこのような行動に出たりするのでしょう。 これは前述の路上生活者一時預かりの制度(結構一時預け後、そのままというケースも多いとのこと)もこういった犯罪誘発の温床になっています。スリ、かっぱらい、置き引きなどは当然のことながら多発します。治安的には最悪の状況でしょう。 こういった人たちが生活しているドヤ街、いわゆる簡易宿泊施設(1泊2000円などとの看板をよく見る)はその受け皿として存在しています。このように推移してきたドヤ街も、2000年ごろを境に大きく変貌を遂げていきます。

ホテル

2002年に日本・韓国で開催されたサッカーワールドカップ、このオリンピックをもしのぐかと思われる世紀の祭典に世界中から多くの人々が日本に押し寄せました。VIP、セレブクラスから、いかに安くこのワールドカップを観戦、自国を応援したいという若者たちまで実にさまざまでした。 インターネットなどから情報を入手し、世界各国へバックパックをしょってどこへでも行ってしまい、(最低限の危険は避けるとして)多少の危険よりも価格の安さを選ぶ彼らにとって、日本の「危険」なところ「治安の悪さ」は「想定内」でした。そういったバックパッカーが山谷地区のいわゆる木賃宿に目をつけました。 ビジネスホテルに泊まればまず5,000~6,000円は最低でも取られ、大きな荷物が邪魔なカプセルは敬遠、かといってルールのうるさいユースには行きたくないし、一泊仮に2000円なら長期に滞在もできるじゃないか、との想いでしょう。 ドヤ街の木賃宿は「○○Hotel」と次々に名前を変え、フロントでは料金表に英語表記、スタッフもチェックインアウトのやり取り程度の英会話は問題なし、という需給バランスで山谷は大きく変貌、バックパッカー御用達の街となっていきました。そうなることにより治安も少しずつ改善されていきます。

夜の治安

このように変貌を遂げている山谷地区ですが、夜はやはり危険を伴います。 前述の「当たりや」についても国道沿いではさすがに少なくなっていますが、一本裏に入るとまだまだ危険が満載。昔ながらにワンカップ片手でふらふらとしている人たちが街中をさまよっています。この地区の夜の女性の一人歩きは避けたほうが無難です。このあたりの治安の悪さはまだまだ往年のものがあります。 そんな中、耳より情報です。あしたのジョーで有名な、いろは会商店街、木賃宿、ビジネスホテル、飲食店などが軒を連ねる一角に、の居酒屋さんがあります。 行ったことがある、という方からの実情報によると、値段安い、ツマミ美味い、とのことで最近はが出すぎて予約要とのこと、中々入れません。超ユニークなこのあたりを散策し(夜の治安を考えると、昼間の方がよいでしょう)、この店を探索しておいて、突き止めた後に飲みに行くのも面白いでしょう。

駅周辺の再開発の状況

南千住地区の再開発も、さらに進んでいますが、駅周辺の状況を住居環境、食、治安などの面から駅東口、西口、汐入地区に分けてみていきましょう。

南千住東口とその治安

JR常磐線、つくばエクスプレス、東京メトロ日比谷線の3線が乗り入れる南千住ですが、いずれの電車に乗っても南千住から北千住方面に向かうと、右側にいかにも新興のきれいなショッピングセンターが目に入ります。La Laテラスです。 もともとJR常磐線、東京メトロ日比谷線だけであった南千住に2005年つくばエクスプレスが開通し、2008年にはリフレ京成を核テナントとする総合ショッピングセンターLa Laテラスが誕生しました。 首都圏23区でもこの3線乗り入れ駅のなかで、南千住駅は乗降客が少ない方で、日比谷線やつくばエクスプレスでは最低に近いとのことですが、最近乗降客は増加傾向にあります。 La Laテラスはスーパー、飲食店、書店、コンビニなどまずは不便なく買い物やサービスが満喫できるに十分な施設です。La Laテラス向かいの貨物駅周辺から汐入地区に至る地域は、こぎれいなマンションが林立し、雰囲気も明るく「灰色」のイメージはありません。 La Laテラスのおかげで、このあたり生活をする上ではなんの不便さも感じないように見受けられます。また人のとおりもにぎやかで、開放的な町並みにより治安も良く保たれています。

南千住西口とその治安

前述山谷地区の泪橋交差点から南千住に向かい、ガードをくぐるとそのあたりがほぼ南千住西口です。この道は通称「コツ通り」といいます。昔このあたりは「小塚原処刑場」があったところで、常磐線などの工事で地面を掘り起こすと、人骨がごろごろ出てきたといいます。通りの下には骨が埋まっているというのが「コツ通り」の由来です。 さすがに西口側は東口のような新興マンションやショッピングセンターはありません。駅の一部にちょっとしたテナント施設などが入っているだけで、周辺は高層の建物は見受けられません。山谷地区ほどではありませんが、治安が極端に良い、とはいえません。酔っ払いおじさんも多い街です。 日比谷線南千住駅は高架ホームですが、日比谷線内で最も乗降客が少ない駅として知られ、降りる人はまばらです。駅ホームに降り立った瞬間に、何とも言えない重い、暗い雰囲気が漂ってきます。小塚原処刑場では1000人もの人が処刑されてそこに埋められていたとのことが、この雰囲気の要因になっているのでしょうか。 このような西口ですが、ここにもグルメ必見の耳寄り情報があります。駅近くに、とても有名なうなぎ屋さんがあります。「注文を受けてからウナギをさばき、焼き始める」ため、20~30分も待たされますが、さばきたてのウナギを焼いたうな重は最高の美味しさです。

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初回公開日:2017年11月07日

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