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ビジネスシーンで使われる「佳境に入る」の意味|使い方/誤用例/例文

更新日:2024年01月22日

言葉の意味・例文

「佳境に入る」という言葉を、ビジネスシーンにおいて、またテレビなどメディアでもよく聞くことがあるのではないでしょうか。しかし、何気なく耳にする、「佳境に入る」の意味を正しく理解しているでしょうか。今回は使い方や、間違った使われ方とともに、意味をご紹介します。

「プロジェクトが佳境に入って、忙しくなってきた」そんな風に、話したことはないでしょうか。あるいは、仕事の進行具合を尋ねられて、「佳境に入ったところです」などと、答えることはありませんか。もしくは、話している相手から聞かされたことがあるかも知れません。ビジネスシーンにおいても、佳境に入るは、何気なく使っている、またよく耳にする言葉のひとつです。 この場合は、物語とは関係ありませんが、仕事をストーリーに見立てた時、クライマックスと思える部分が佳境にあたるわけです。また、生産を上げている時であるともいえますから、多忙を極める時期でしょう。

ビジネスシーンにおける佳境に入るの例

1.プロジェクトが佳境に入ると、仕事が忙しくなる。 2.業務が佳境に入って、休日出勤になった。 3.工事が佳境に入り、休みがない。 4.シーズンが佳境に入り、出荷数が増える。 5.開発は、いよいよ佳境に入った。 ビジネスシーンにおいて佳境という言葉を使用する時、多くの場合は、多忙であるということが伺えます。

佳境に入るの間違った使われ方

佳境に入るという言葉は、ビジネスシーンにおいても普段からよく使われています。しかし、佳境に入るの意味を理解し、正確に使えているでしょうか。間違った用い方をしていないでしょうか。

佳境は多忙という意味ではない

ビジネスシーンにおいて、佳境に入るという時、どうしても忙しいというイメージと一緒になってしまいます。仕事内容が重要な場面に差し掛かっている時であり、あるいは生産を上げている時なので、多忙な時期とは重なるのは事実です。だからといって、佳境を多忙という意味で使用するのは間違いです。例えば、「仕事が佳境に入っていて、今は手が離せない」という言い方は誤用ですので、気をつけましょう。

佳境は終わりとは限らない

佳境に入るという言葉の意味は、物語の盛り上がる場面、クライマックスを指すものです。クライマックスというと、ストーリーを四部構成で考えた時の起承転結の「転」の部分にあたります。続いて結末へ移行するわけですが、結末は、ストーリーのテーマの答え、まとめの部分ですから、簡潔に描かれます。 クライマックスになると、終焉が近いというイメージがあるのではないでしょうか。そのため、佳境に入るというと、終わりという意味で使ってしまいがちです。しかし、佳境に入るとは、あくまでも面白い、興味深い場面であるということであって、終焉を意味するものではありません。ですから、佳境と聞いた時に、終わりと理解しないようにしたいものです。また、誤用して相手にも誤解を与えないようにしましょう。「佳境に入りました」は、「終わりました」ではありません。

佳境とヤマ場

こうして見てくると、物語のクライマックスである「佳境」と、ある物事の状況の「ヤマ場」は、同じように使われていることがわかります。しかし、「佳境」と「ヤマ場」は、同義語ではありません。 「佳境」と「ヤマ場」、それぞれの場面において使い分けができるとスマートです。

よくないことには使わない

佳境の「佳」は、良い、すぐれているという意味であり、「佳境」は、美しい場所を指します。ですから、本来、佳境に入るという言葉を、よくない意味では使いません。例えば、災害発生時などの「救援救護活動が佳境に入った」などという言い方はしないのが正解です。 他に、「再開発が佳境に入った」という言い方がされることもありますが、本来の意味とは違います。しかし、近年では、ヤマ場に入ったという意味合いで使われていることがあります。

突然佳境に入ることはない

佳境に入るの語源は、顧 愷之が発した「漸入佳境」という言葉から来ています。それには、佳境に入るまでに「漸く」という言葉が使われています。ようやくは、ゆっくりと、だんだんと、次第にという意味です。ですから、突然佳境に入るという言い方は、本来おかしなものです。とはいえ、現代では「漸く」の部分は省いて、佳境に入るという言い方だけがされていますから、誤用とまでは言えませんが、本来の意味を覚えておくといいでしょう。

漸入佳境 ぜんにゅうかきょう

いかがでしたでしょうか。「佳境に入る」という言葉ですが、そのまま四字熟語にもなっています。「漸入佳境」は「ぜんにゅうかきょう」と読みます。少々難解な読み方ですが、ぜひ覚えておいて下さい。 佳境に入るという言葉は、ビジネスシーンや、日常の様々な場面で、色々な使われ方をするようになりました。ですから、使い方に迷うこともあるでしょう。しかし、佳境に入るのもとになっている逸話と合わせて、本来の意味を知り、正しい使い方をマスターしたいものです。

初回公開日:2017年06月24日

記載されている内容は2017年06月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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