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出向時の給与の仕組みと仕訳|負担金と負担割合・海外出向時の給与

初回公開日:2017年06月23日

更新日:2020年05月30日

記載されている内容は2017年06月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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皆さんにもいつかやってくるかもしれない「出向」。今回はそんな出向における際の給与の仕組みを中心に説明していきたいと思います。時には海外に行ってくれなんて言われるかもしれないのが出向というもの。果たして給与体系などはどうなっているのでしょうか?

出向時の給与はどのくらいか?

他企業に出向した場合、どのような条件・仕組みで給与が支払われるのか気になるという方は多いでしょう。それは大別すると、会社に在籍している従業員が他の会社へと出向すると、出向元の企業から支給される場合と、出向先の企業から支給される場合に分かれます。それは均一なものではなくて、出向に伴って出向元・出向先での賃金体系や基準の差によって、給与に差額が出るということは間違いありません。 そのため、出向先基準で給与を支給し、差額を出向先で補った場合、2箇所以上から給与が支払われるということになるので、確定申告を行う必要性がでます。これは、企業にとってもわたしたち従業員にとっても厄介な仕組みであると言えるでしょう。

給与出向の仕訳とは?

まず前提として、出向の意味を正しく理解しておきましょう。 出向とは?・・現在の雇用関係は消滅せず、籍を残して他の法人に勤務すること。 ちなみに、よく混同されるものとして、「転籍」という言葉があります 転籍とは?・・現在の雇用関係は消滅し、他の法人に籍を移して勤務。 語句の正しい意味を理解したところで、出向元法人をX社、出向先法人をS社、出向者をAさんとします。税務上の考え方としては、まず出向者Aさんへの給与は、「どこに労働を提供した結果得た給料か」をもとに課税関係を決定します。 例えば、Aさんが、S社で就業時間を満たす、あるいは超えて仕事をしている場合は、Aさんの給料はS社が100%することになります。このケースでAさん給与を全額Ⅹ社が負担している場合は、Ⅹ社からS社への寄付金課税となります。

給与出向の場合の勘定科目について

勘定科目についてみていきましょう。例として下記の条件を前提とします。 ・Aさんは、出向先S社で100%就業しているものとする。 ・従業員への給与支払は、出向元Ⅹ社で支払うこと。 ・出向先S社は、給与負担金をⅩ社に支払うこと。 ー会社名ー  支払時科目    消費税 ーⅩ社ー   給料(従業員へ) 不課税処理 ーS社ー   支払手数料等(S社へ) 不課税処理 出向先S社は、Ⅹ社からの請求額を「支払手数料」等の科目で支払います。しかし消費税は不課税となっています。

給与出向の場合の勘定科目 その負担金

保険や税金関係は下記のように処理されます。 ・源泉所得税・・給与を支給する方⇒出向元のⅩ社で預り、税務署支払い ・社会保険料・・給与を支給する方⇒出向元のⅩ社で預り、年金事務所支払い ・雇用保険料・・主たる給与を支給する方⇒出向元のⅩ社で預り、労働局支払い ・労災保険料・・事業所単位で負担⇒出向先のS社で労働局支払い またこのほかに社会保険の会社負担分を、出向先に請求するケースもあります。

給与出向の場合の勘定科目 「較差補てん」の見方

最初のテーマでも少し上述しましたが、出向先で就業することになっても、出向元の賃金水準を維持する観点等から、Ⅹ社とS社との給与条件の較差を補てんする「較差補てん」というものがあります。 (Ⅹ社給与水準>S社給与水準の場合) 給与較差を補てんする等、Ⅹ社が負担することに何らかの合理的理由がある場合には、補てん額をⅩ社で損金算入することが可能です。特に合理的理由がない場合は、通常の給与相当額を超えた部分は、Ⅹ社において寄付金となります。給与較差を補てんする合理的な理由としては、例としてS社が経営不振等でAさんに給与や賞与を支給できないため、S社が海外にあり、Ⅹ社が留守宅手当を支給した場合などが考えられます。 (X社給与水準<S社給与水準の場合) Aさんに特段のスキルや能力等があって、S社が従来のAさんの給与以上に支払う必要の可能性がある場合、またS社が負担することに合理的な理由がある場合はS社で損金算入が可能です。繰り返しになりますが合理的な理由がない場合は、給与相当額を越えた部分につき、S社において寄付金となります。

出向の際の負担や仕組み

今後もⅩ社でAさんへの給与支払が行われる場合、Aさんは、将来的にはⅩ社へ復帰することを考慮されて出向後も引き続きⅩ社がAさんに給与の支払いを行うケースがあります。この場合、S社がⅩ社に給与相当部分を支払います、S社は支払った金額につき損金算入されます。これを(給与、経営指導料等)とも言います。 一方、Aさんに直接支払うⅩ社側では、立替金等として支払額を計上し、S社から実質給与部分が入金された際に立替金を消し込みます。これを(消費税は不課税取引)として言うこともあります。負担金の割合については、企業や二社の関係で異なってきます。

海外出向の時はどうなるのか?

多くの企業では、海外赴任者への給与は現地(出向先)の通貨と日本国内の「円」とで支払われています。現地通貨で支払われる海外給与は現地での生活のためのものとして考えられ、円で支払われる国内給与は、日本で負担するべき社会保険料や各税金、また円での貯蓄のためと考えられています。 実際、海外赴任者の給与で多い給与の算出方式としては、「購買力保障方式」で算定されることが多いです。これは一つの企業において、複数の赴任地がある場合に採用される場合が多い方式です。または日本と同等の生活が送ることができるように、赴任地の物価や生活費などを基準にして給与を決める方法ともいえます。

「購買力保障方式」って?

これは国内では比較的ポピュラーな方式ですが、まず現地の物価や生活レベルを判断する基準を設けます。その基準としてコンサルタント会社が決めた生活費指数というものが参考にされます。そのコンサルタント会社が介入をすることによって生活実態に応じた給与が設定できるので、現在では多くの会社がこの方式を採用しています。 具体的には、国内勤務時の月額手取り額から生計費を算出し、そこに生活費指数をかけて給与を決めますが国内と海外勤務者との間はもちろん、海外出向者間でも国が違っても、生活水準や実際に受け取る給与は同等とみなせるので、比較的公平な給与の算出方式といえるでしょう

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