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未経験者が船員になるためには?未経験者が船員になった実例

転職事情

船員として働く、となると「難しそう」「未経験じゃ無理」と思うかもしれません。しかし、実際はそこまで遠くもなく、かといって簡単な道のりでもありません。今回はそんな船で働くにはどうすればいいのか、未経験でも船員になれるのかを、仕事の魅力と共に紹介していきます。

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船員とは

日本経済の大動脈となって、産業や暮らしの基盤を支えているさまざまな内航船も、それを運行する船員がいなければ、その役割を果たすことができません。船員とは船に乗って働く人々のことです。 船内の組織は、船長を頂点に、甲板部(航海士・甲板部員)、機関部(機関長・機関士・機関部員)、司厨部(司厨部員)等に分けられており、各部門の職員、部員は相互に協力し合い、船舶の安全運航を維持するための責任を持って、それぞれの職務を担当しています。

船を使ったお仕事

船を使ったお仕事でイメージが付きやすいのは「運ぶ」お仕事ですが、一言に運ぶと言っても、運ぶ場所や運ぶ物や人、何の為に運ぶかなどでその仕事や船の種類は大きく変わります。今回は大きく三つに分けて紹介させていただきます。

外航海運

日本と外国との間を船で往来し、物や人を運ぶのが「外航海運」です。日本は、原油、天然ガスなどのエネルギー原料、鉄鉱石などの工業原料、小麦や大豆などの食料を海外からの輸入に頼っている状態です。 例えば、原油は99.6%、天然ガスは96.4%、小麦は87%が外国からの輸入です。また、日本は自動車や電気製品など様々な工業製品を生産、世界に輸出することで発展してきました。外航海運は、こうした外国との貿易の99.7%を担っており、まさに島国日本の生命線と呼べるでしょう。

内航海運

船で国内の港から港へ貨物を運ぶのが「内航海運」です。日本では昔から「北前船」などの船による物資輸送が盛んに行われ、今日では6,000隻余りの内航船が港と港を網の目のように結んでいます。 内航海運で運ぶ主な貨物には、鉄鋼製品、セメント、石灰石、穀物飼料、紙、自動車、砂利、日用雑貨、食糧、石油製品、LPガス、石油化学製品等が挙げられますが、変わったところでは、新幹線や地下鉄の車両、大型プラント、建設用機器、工業用水といったものもあります。船以外の国内貨物の主な輸送機関としては、内航海運の他にトラック、鉄道がありますが、内航海運はその役割の約4割を担っており、なくてはならない存在です。

国内旅客船

日本国内を船で人を運ぶのが「国内旅客船」です。多くがこの業界に未経験である私たちが、仕事以外で関わる事があるとすれば、この種類の船でしょうか。 旅客船には、自動車を運ぶフェリー、高速船、水中翼船、一般旅客船などさまざまなものがあります。そのほかに、観光地などでの遊覧船、レストラン船、川下りなどがあり、屋形船、グラスボートなどいろいろな船が使われています。 現在、約2,400隻を超える旅客船が海や川で活躍しています。年間利用者は延べ約1億人で、国内の航空旅客数を上回っています。特に離島と本土を結ぶ旅客船は、島で暮らす人たちにとって唯一の移動手段・生活物資の輸送手段として、非常に重要な役割を果たしています。

船員のお仕事

船では、船の最高責任者である船長のもとに、次のような部門が分担して仕事をしています。 1.甲板部 : 操船(船をあやつること)から貨物の積みおろしなど。 2.機関部 : エンジンやボイラーなどの運転や整備、燃料の補給など。 3.無線部 : 陸上や他の船舶との通信など。 4.事務部 : 出入港手続き、船内での調理、客船などでの乗客へのサービス。

職員(オフィサー)

船長、機関長、航海士、機関士などをさします。部員は職員の同行、指揮の下、部員として船に乗れますが、職員として船に乗るには「海技士資格」(海技免状ともいう)が必要になります。

船長

船長は、船の大小、乗組員の多少にかかわらず船の最高責任者です。キャプテンまたはマスターと呼ばれることもあり、積荷や乗客を安全に目的地まで運ぶ責任があります。また、乗組員を管理・監督する任務を負っており、船の安全を守る必要がある場合には、乗組員や時には、乗客に対しても命令をする事が出来るなど、法によって強い権限が与えられています。 主な仕事は、季節ごとの気象や海の状況を考慮して船の針路を定めます。また港に出入りするときや、狭い海峡や水道を通過する時には自ら操船の指揮をとります。

航海士

商船には通常、1等航海士(チーフオフィサー)、2等航海士(セカンドオフィサー)及び3等航海士(サードオフィサー)の3名の航海士が乗船しています。航海士は、航海中、交代で24時間各々が決められた時間に甲板部員と一緒に航海当直(見張りや操船など)の業務を行います。そのほかに、1等航海士は、港での荷物の積みおろしの監督、航海中の積荷の管理、また、出入港のときには船首で船を岸壁に着けたり離したりする作業の指揮監督などを行います。

機関長

機関長は、船を動かすエンジンをはじめとした、さまざまな機械や装置の運転、管理などを行う「機関部」の責任者です。船を動かすには、水面下に隠れたプロペラを回さなければなりません。このプロペラを回す機械を主機関(メインエンジン)といいます。 また、陸から電線で電気をもらうというわけにもいかない為、電気をつくる発電機、蒸気を発生させるボイラー、食糧を貯蔵しておく大きな冷蔵庫など、機関部はさまざまな機械を管理しています。

機関士

商船には1等機関士(ファーストエンジニア)、2等機関士(セカンドエンジニア)及び3等機関士(サードエンジニア)の3名の機関士が乗船しているのが通常です。 航海中・停泊中の区別なく、交代で24時間機関室(エンジンルーム)の機械の運転を監視する船もありますが、現代の大型の船では、夜間に機関室で監視をしない体制にする船が大半を占めるようになりました。 1等機関士は、主機関、プロペラなど船を動かす機械を担当し、2等機関士は、発電機や舵を取る機械を、3等機関士はボイラーや冷蔵庫を冷やす冷凍機などを担当、常に良好な運転を維持できるようにしています。

通信士

通信士は、海技士(通信)の資格を持つ職員で、無線電話などの通信機器により陸上との連絡を取り合うほか、機器の整備も担当しています。通信関係の責任者は「通信長」と呼ばれています。ただし、現在では、専任の通信長や通信士が乗り組む船は少なくなりました。これは海事衛星通信(インマルサット)が導入されるなど、船の通信設備が進歩し、船長・航海士などが資格を取って通信長の仕事もできるようになったからです。

部員(クルー)

職員の補助をするのが部員(クルー)の仕事で、甲板員、機関員、事務部員などがそれにあたります。彼らは海技士資格を持たずして船に乗れますが、搭乗には職員の同行、許可が必須となります。

甲板部

航海士の指揮のもとに、見張りや舵とり、荷物の積みおろし、停泊中の見張り、船体や甲板機器の保守整備などの仕事を行い、甲板長(ボースン)をリーダーに、甲板手(ストアキーパー・クォーターマスター)、甲板員(セーラー)がいます。 甲板長は甲板部員全体の指揮・管理を行ないます。甲板手は二つの職種に分かれ、航海士が行う見張りや操船を手伝ったり、停泊中に船の出入り口を見張るクォーターマスターと、甲板長の補佐役をするストアキーパーが乗っている船もあります。

機関部

機関士の指揮のもとに、機関の運転、点検・整備、修理などの仕事を行います。操機長(ナンバン)が機関部員全体の指揮・監督を務める下で、操機手(オイラー)、操機員(ファイヤーマン)が働いています。

事務部

現在、船に乗り組む事務部員といえば、乗組員の食事を作る調理員(コック)を指します。そのほかでは、客船や大型カーフェリーに乗船し乗客のサービスにあたる事務長・事務員やマリンアテンダントと呼ばれることもある船員が活躍しています。昔の大型商船には事務長という職種がありましたが、今日では客船や大型カーフェリーなどの乗客が乗る船に限られます。

船員になるためには

船員になるためには、海技士資格の取得が必須です。船員の仕事は夢とロマンだけでなく、海上輸送を通じて日本経済の根幹を支える重要な役割を果たしています。だからこそ、未来を担う若い世代にとって"価値ある職業"だと言えるでしょう。 船員には、海技士資格を持つ「職員(オフィサー)」と、職員を補助する「部員(クルー)」の二つに大きく分けられますが、職員として船に乗り組むためには、船の大きさや種類、航行する区域に応じて1級〜6級までの海技免状が必須となります。「外航船員」になるためには3級、内航船員になるためには4級を取得するのが一般的です。

海技士資格(海技免状)を取得するには

海技士資格を取得するためには、一定期間、実際に船に乗って運航や実習に従事した経験(乗船履歴)を積むほか、国家試験(学科試験と身体検査)に合格する必要があります。 外航船員を例として、学生の頃から船乗りを志しているのであれば、高等学校卒業後に商船系大学へ進学するか、中学校卒業後に商船高等専門学校に進学するか、このいずれかの進路を取ることができます。商船系大学へ進学した場合、修学期間は4年(合計6ヵ月間の乗船実習あり)。卒業後、さらに6ヵ月間の乗船実習科を修了すると3級の海技士国家試験を筆記試験免除で受験することができます。 商船高等専門学校に進学した場合、修業期間は5年6ヵ月(4年6ヵ月の座学教育と1年間の乗船実習)。卒業すると、こちらも3級の海技士国家試験の筆記試験が免除となり、口述試験のみの受験となります。 また、船員の仕事では、船長を中心とした乗組員のチームワークを保つための「コミュニケーションの能力」や、厳しい自然環境に耐える「忍耐力」、船内組織の中で決められた仕事をこなす「責任感」といった資質(性質・能力)が重要となるでしょう。なお、近年、一般の高校、大学を卒業後、海運業界に就職してから海上技術短期大学校や海技大学校を利用して外航船員になるという道も開かれています。

未経験者は船員になれるのか?

ここまでの話を見た皆様は「船乗りは学生の頃から知識と経験を積んで、ようやくなれる職業」「未経験には無縁の職業」とお思いになったかと思います。事実、その方が良いのでしょう。しかし、方法はそれだけではなく、意外と多いようです。ここでは船に乗った事がなくとも、専門の学校に通ったことがなくとも、サラリーマンでも船員にはなれます。では、今回は内航船員での仕事を例にご紹介したいと思います。

20代のサラリーマンが未経験から船員、職員(オフィサー)に

まだ20歳代なら海上技術短期大学校が近道である、そう話すのは20代で船員になった元サラリーマンです。彼は岩手県宮古市に国立宮古海上技術短期大学校に通ったそうですが、他には静岡県静岡市に国立清水海上技術短期大学校などがあります。愛媛県今治市に国立波方海上技術短期大学校があり、どれも国立なので授業料も安く、寮も完備されています。 また、海上技術短大には毎年何人か社会人経験者や大学既卒者が入学してくるようです。入学時の同級生は18歳、19歳が大半ですが20歳代の新入生も普通にいるようです。海技短大に2年間在学することで4級海技士(航海および機関の両方)の受験資格が得られ、さらに筆記試験が免除されます。 2年間在学中の2年生時に航海訓練所による9か月の乗船実習を終了することで航海及び機関両方の乗船履歴を満たす事になります。海技短大卒業時に海技試験(口述試験)に合格すれば晴れて4級海技士(航海及び機関)の海技免状取得となります。当然、船の免許(海技免状)は通常筆記試験合格後に試験官と対面して行う口述試験に合格する必要があります。そして所定の乗船履歴も必要になります。小型船舶の免許(ボート免許)と大型船の免許である「海技免状」は全くの別物です。

30代、40代じゃ、今更?

しかし、海技短大に行くとなると2年間は無収入。確実に船員になれると言われても現在の職を辞めて2年の学生生活はキツイ。それに年齢も30歳代、40歳代と言う方には、民間型船員養成所「尾道海技学院」をオススメします。 海技免状の最も下位資格の6級海技士ですが未経験、無資格とは大違いです。広島県尾道市にある本校で座学と実習を重ね、民間の貨物船やタンカーに乗船し乗船訓練です。修了後に6ヵ月の乗船履歴を積むことで、6級海技士の航海・機関のどちらかが取得できます。 ※在学中に海技免状が取得出来る訳ではないので注意。実際に取得できるのは卒業後に海運会社に就職して6ヶ月の乗船履歴(実務経験)を積んでからになります。 また、数は少ないですが海運会社によっては無資格未経験でも雇ってくれるところがあり、有資格者の元、無資格者でも船舶の乗組員にはなれます。航海士の部下として働く甲板部員で、機関士の部下として働く機関部員です。 無資格未経験者は部員からスタートです。料理担当の事務部員は司厨部員で、部員(クルー)になるのには、知識も、経験も、必要ありません。必要あるとすれば、無資格でも、未経験でもやってやるという熱意でしょう。 未経験でもやってみたい・やってやるという熱意がある方は、転職エージェントを活用するといいでしょう。あなたの希望する職種の仕事を紹介してくれますし、しっかりと内定をもらえる術を教えてくれます。

海のハローワーク

未経験で船員の求人を探す、求職登録をするには国土交通省の機関「運輸局」にお世話になる必要があります。ここは海のハローワークと呼ばれており、ここで多くの未経験者が船員になりました。

お住まいの地域で一番近くの運輸局を探していただければ、求職登録ができ、この他に海事事務所を置く「運輸支局※」でも求職登録が出来ます。運輸局が遠いなら運輸支局を探してみましょう。支局内に海事事務所があるなら求職登録できます。また、最近では未経験者相談可能な求人も増えていて、船員求人情報ネット「JOBS for SEAMEN」にて多くの求人が載せられています。

※運輸支局には自動車登録関係をメインに取扱い、海事関係は取り扱っていない所もあるので注意してください。

未経験者でも出来ることがたくさんある

内航海運に留まらずですが、この業界はもう何年も前から人不足に悩まされています。以前は漁船乗組員(漁師)から転職してきたり海事系学校の新卒者(海上技術学校、海上技術短期大学校、水産高校など)で賄ってきましたが追い付かなくなってきたました。 年齢構成も完全な逆ピラミッド型で若者が少なく過半数が50歳代以上。新卒で入った船員の離職率の高さも問題となり、後継が危ぶまれています。 ですので、「興味はあっても未経験だから」「力になりたいけど未経験じゃ」そう思った方は踏み出してみましょう。大事なのはやってみたその一歩です。そのたった一歩が、海で働く人たちの助けになるかもしれません。 未経験者でも挑戦できる仕事に転職できる方法は、転職エージェントを利用することです。しっかりと経験を積んできたプロのキャリアアドバイザーがあなたの希望する条件の企業を紹介してくれます。

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