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失礼にならない「知っている」の敬語表現・メールでの例文

初回公開日:2017年04月13日

更新日:2020年06月04日

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敬語

ビジネスの場で「知っている」ということは、大きなアドバンテージを持ちます。しかし、その「知っている」ことを伝えるには、どんな敬語を使えばよいのでしょうか。ここでは、「知っている」をシーン別に考えながら、敬語に対する苦手意識をなくしましょう。

敬語の基礎知識

「知っている」は“物事の意味・内容・本質・情緒などを理解する”という意の「知る」という動詞に、動作・作用・状態の継続・進行・反復を表す補助動詞「いる」がついたもので、知る状態が継続していることをいいます。 実は、ビジネスの場で「知っている」ということは、大きなアドバンテージを持ちます。しかし、その「知っている」ことを伝えるのは、また、「知っている」かどうかをたずねるのは、意外に難しいもの。 そんな「知っている」について考える前に、まずは敬語を種類別にみていきましょう。

敬語の種類

敬語には、「尊敬語」・「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ」・「丁寧語」・「美化語」の5つの種類があります。 (文化庁 文化審議会の国語分科会が2007年2月2日に提出した「敬語の指針」の答申による) 尊敬語:相手の動作や相手に属するものに敬意を表す 謙譲語:自分がへりくだることで、間接的に相手を高め敬意を表す 丁寧語:丁寧に話すことで相手に敬意を表す 美化語:普通の言葉に「お(ご)」をつけて、表現を柔らかくする このうち注意したいのが、謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの分類についてです。

謙譲語Iと謙譲語Ⅱとの違い


<向かう先>に対する敬語と,<相手>に対する敬語 謙譲語Iと謙譲語Ⅱは,類似している点もあるため、どちらも「謙譲語」と呼ばれてきました。しかしこの二つには、謙譲語Iが<向かう先>に対する敬語であるのに対して、謙譲語Ⅱは<(話や文章の)相手>に対する敬語であり、性質が異なります。この点に関係して,次のような違いもあります。 立てるのにふさわしい相手かどうか? 「先生のところに参ります。」先生は自分よりも目上だから ○ 「弟のところに参ります。」 弟は自分よりも目下だから × ではなぜこの2つがいずれも謙譲語として成立しているのでしょうか。 それは、 謙譲語Ⅰ:行為者自身<向かう先>に対する敬語→敬語の対象は「行く」という行為の相手である先生 謙譲語Ⅱ:第三者<相手>に対する敬語→敬語の対象は(弟ではない、話し相手とみられる)第三者 だからです。 なお、「先生」に対してこれらの文を述べる場合には、「先生」=<相手>という関係が成立しているので,結果として、どちらの文も同じように働くことになります。このように,行為の<向かう先>と、話や文章の<相手>が一致する場合に限っては謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱはどちらも事実上同じように使うことができます。謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱとが似ているように映るのはこのためですが、<向かう先>と<相手>とが一致しない場合には、謙譲語Iと謙譲語Ⅱの働きの違いに留意して使う必要があります。 「ます」との関係について 謙譲語Ⅰは、「ます」を伴わずに使うこともできます。例えば、「明日先生のところに伺う(よ)。」などと「先生」以外の人に述べることがあります。 一方謙譲語Ⅱは、一般に「ます」を伴って使います。例えば,「明日先生のところに参る(よ)。」などと述べるのは不自然です。

「知っている」の敬語表現

さて、「知っている」には以下のような敬語表現があります。

尊敬語 「知っていらっしゃる」「ご存じである」

「知る」に「いる」がついた「知っている」の尊敬語は、「知っていらっしゃる」。「知る」に「いる(存在する)」の尊敬語「いらっしゃる」がついたものです。また、「知っている」状態のことを「存じ」または「存知」と言い換えることもできますので、これに敬語の型「お(ご)〜ある(する)」をあてはめて「ご存じである」を用いることもできます。

注意したい尊敬語 「お知りである」「お知りでいらっしゃる」

前述したように、敬語表現の型に「お(ご)〜ある(する)」さらに「ある」の尊敬語「いらっしゃる」をつけるというものがあります。この型にならうと、「お知りである」「お知りでいらっしゃる」も間違いではないのですが、「お尻である」「お尻でいらっしゃる」と誤解を招く恐れがありますので、文章ではともかく会話ではあまり用いられません。

謙譲語 「存じ上げる」「存じる」

「知る」の謙譲語は「存じ上げる」ですから、「知っている」の謙譲語は「存じ上げている」です。例えば、二人の会話の中で社長などの目上の人が話題に上がったとしましょう。その人を知っていると敬語で言いたい場合は「(○○さんを)存じ上げております」です。ちなみに「存じ上げる」と「存じる」の違いですが、「存じ上げる」は対象が人の場合、一方で「存じる」は対象が物の場合に使う という使い分けをするというのが通説として広まっているようです。

丁寧語 「知っています」

丁寧語は「です・ます」調のことばですので、「知っています」となります。

ケーススタディ 

<ケース1> 部長の不在中に取引先からかかってきた電話に対して、応答した部下が相手に、その件を部長が知っているかどうかたずねる場合 <誤>「その件について、部長の〇〇はすでにご存じでしょうか」 <正>「その件について、部長の〇〇はすでに存じておりますか」 「知っている」の尊敬語「ご存じ」は、自分の身内である上司の行為に対して使うことはできません。 ここでは、謙譲語「存じ上げる」を使います。 <ケース2> 取引先に電話をした際に、担当が不在で代理のものではどうかとたずねられ、自分たち(及び案件)を知っている人ならば代わってほしいと伝える場合 <誤>「私どものことを、よく存じ上げる方をお願いできるでしょうか」 <正>「私どものことを、よくご存じの方をお願いできるでしょうか」 ここでの「知っている」は相手側の行為ですから、相手の行為に対して謙譲語「存じ上げる」は使いません。 ここでは、尊敬語「ご存じ」を使います。

相手に知っているかどうかをたずねる & 既に知っていることを伝える敬語表現

実は、ビジネスの場で「知っている」ということは、大きなアドバンテージを持ちます。しかし、その「知っている」ことを伝えるには、また、「知っている」かどうかをたずねるには、どのように使い分ければよいのでしょうか。 ここでは、シーン別にみていきますので、参考にしてください。

ケーススタディ

<ケース3> A:「この度、弊社では〇〇に移転することになりましたが、ご存じでしたか。」 B:「はい、存じております。弊社宛にも社屋移転のご挨拶状をいただいております。」 相手が「知っている」かどうかをたずねるには、尊敬語の「ご存じ」を使います。 主語となる社屋移転は物ですから、「知っている」ことを伝えるには「存じる」を使いましょう。

<ケース4> A:「すでにお聞き及びかもしれませんが、この度、弊社では事業部制を採ることになりました。」 B:「はい、存じ上げております。」 A:「それに伴い、〇〇が事業部長として指揮をとることになりました。」 B:「それは存じ上げませんでした。」 自分(人)が「知っている」ことを伝えるには、謙譲語の「存じ上げる」を使います。 知らない場合には、「存じ上げない」を使いましょう。

なお、敬語の使い方には関係ありませんが、ビジネスの場では知っていても知らないふりをした方が良い場合があります。人事異動については特にそうでしょう。情報はすでに知っていたとしても、相手から聞く話に対して初めて聞いたという立場をとっておいた方が賢明です。逆に、当然知っておくべきことは、「存じ上げておりました」と使えるようになりましょう。そうでないと、相手から「こんなことも知らなかったのか」と思われかねません。「はい、存じ上げておりました。」この一言で、話がはずみ商談がうまくいく場合もあるかもしれません。ただし知ったかぶりはいけません。なかなか難しいですね。

メールや文書で使える、知っていることを伝える敬語表現例文

・相手が知っているか確認をとるとき 「〇〇の件について、ご存じでしょうか。」 「〇〇の件について、お聞き及びでしょうか。」 ・相手が知っていることを前提に、話をすすめるとき 「〇〇については、すでにご存じとは思いますが」 「〇〇については、すでにお聞き及びとは存じますが」(「存じる」は「思う」の謙譲語でもあります) ・こちらが知っていることを伝えるとき 「〇〇の件については、存じておりました。」 「〇〇様のことは、かねてより存じ上げておりました。」 ・こちらが知らないことを伝えるとき 「〇〇については、存じ上げませんでした。」 「〇〇の件については、伺っておりませんでした」(相手から聞いていなくて知らないときに「聞く」の謙譲語「伺う」を用いて) いかがですか?こんな感じで、さらさらと敬語がでてくるとよいですね。

敬語の間違いを恐れない

時代とともに変わる敬語

さて、これまで「知っている」についてなるべく原則がわかるようなかたちでまとめてきたのですが、いかがだったでしょうか。実をいうと、そもそも敬語には基本的な文法はありません。ですから、中学で習った口語文法や高校で習った古語文法のようには割り切れないというのが実情なのですね。相手を上位・下位・同等にわけてそれに応じた敬語の決まりをつくる、中国語にもないこんな複雑な語法を私たちの祖先は生み出してきたのだと思うと、不思議な気がします。 また、ことば、特に敬語は時代とともに変わってきています。ですから文化庁が出しているのも、あくまでも「敬語の指針」であり「敬語文法」ではないのです。その証拠に近代日本文学をみてみると、えっと思う例は数々あります。 例えば、

では、母が自分自身のことをいうのに敬語を使っています。 しかしこれはこれでとても美しい感じがしませんか。 敬語というと、難しい・面倒くさい、とまず思ってしまいますね。しかし、使ってみないとシーンごとに正しいかどうかは誰にも説明できないものです。特に若いうちならば多少の間違いは目を瞑ってもらえるもの。自分が使った敬語を振り返り、正しい敬語を勉強して場数を踏みながら、臨機応変に敬語を正しく使いこなせるようになりましょう。

「知っている」の尊敬語は「ご存じ」、謙譲語は「存じる」「存じ上げる」

まずはこれだけでもおさえておきましょう。敬語の間違いをしても、敬語を使おうとした意思は伝わります。しかし、間違いを恐れて敬語を使わないことは、人間関係に支障をきたすということを押さえておきましょう。ビジネスシーンでは避けて通れない敬語、まずは使ってみることで相手に敬意を表してみましょう。

留意しなければならないのは,敬語を用いれば,話し手が意図するか否かにかかわらず,その敬語の表現する人間関係が表現されることになり,逆に,敬語を用いなければ,用いたときとは異なる人間関係が表現されることになるということである。敬語をどのように用いるとどのような人間関係が表現されるかについて留意することはもとより必要であるが,それと同時に,敬語を用いない場合にはどのような人間関係が表現されるかについても十分に留意することが必要である。

敬語のマナーは、早いうちから身につけておこう。

敬語の使い方が面白いほど身につく本ーーあなたの評価を下げている原因は「過剰」「マニュアル」「繰り返し」 (ビジネスベーシック「超解」シリーズ)
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