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「やらせていただく」は間違った言葉づかい?正しい使い方と表現

更新日:2024年03月13日

敬語表現

「やらせていただく」「やらせていただきます」これらは、威勢がよくてかつ謙虚な言葉遣いに聞こえます。しかし一方で過剰に使われているような気がします。ここでは「やらせていただく」という言葉を考察していきます。この言葉遣いは正しいのでしょうか。

「やらせていただく」という言葉そのものは正しいのに、違和感を感じてしまうのは、 その言葉が使われている場面にふさわしくないからです。 例えば、上司がある企画遂行のため、メンバーをもう一人補充しようと立候補者を募ったところ、やる気満々の部下の一人が手を挙げて、 「私が、やらせていただきます」となると問題ないのですが、特に相手の許可・依頼などがないのに「私が、やらせていただきます」と発言すると、周囲は違和感を抱くのでしょう。

「させていただく」の多用を控える。

「やらせていただく」に限らず、「させていただく」の使用は適度な頻度を心掛けてはいかがでしょうか。不思議なことなのですがこの「させていただく」は一度覚えて使い始めると、癖になってしまい悪気はなくてもしょっちゅう口から出てしまいます。おそらく、これが癖になってしまっているのでしょう。 たまにお会いする程度の仲の男性が、「おかげさまで、結婚させていただくことになりました」などと報告してくれたら、内心「私は、あなたの配偶者となる女性の親でもないし、君たちの仲人でもないのにな」と苦笑してしまうことでしょう。 また、人によっては「させていただく」「やらせていただく」の多用を「慇懃無礼」と感じる方もいます。 慇懃無礼・・うわべは丁寧なようで、実は尊大であること。 ニュースで時折耳にする政治家の発言で「やらせていただく」「〇〇させていただく」が 心象に良くないのも慇懃無礼と感じるせいかもしれません。

「やらせていただく」から「いたします」へ

「努力をさせていただく」「判断させていただく」のように、相手の許諾が不要な場合は 「させていただく」は不自然です。 もちろんこの言葉を使う方は、相手に失礼のないように「させていただく」と使っているのでしょうが、相手の許諾・依頼・好意がそこに存在するのか、一度立ち止まって、場合によってやらせていただくを使い分けたほうがよいです。 ただ、そうしたことを考えるのが少々煩わしいと感じる方には「いたします」が便利です。 「努力いたします」「判断いたします」で十分通じますし、低姿勢な態度もそのまま残ります。 ですので「やらせていただく」もいっそのこと、「いたします」とするのはいかがでしょうか。

言葉は時代とともに変わっていくもの

拙いなりに掘り下げてまいりましたが、時代が進むにつれて 「やらさせていただく」も、いつの日か正しい日本語の仲間入りをするかもしれません。 「やらせていただく」もいずれどんな場面でも使用しても間違いでなくなる日がくるかもしれません。事実、本来は間違っている用法・読み方だけれど、正しい日本語として定着している言葉はたくさんあります。言葉に必要なのは、正解か不正解かということだけではありません。 その場に応じてやらせていただくがふさわしいか、相手に配慮しているかが何より大事です。自身の言葉遣いを見直したり、辞書などで確かめることはすばらしいことです。しかしあまりにも気にしすぎて、お話をする時に臆病になったり、舌が回らなくなったりするのは避けたいです。乱雑でない言葉であれば本来そこまで気にすることもないでしょう。 日本語や敬語を誤用してしまうことよりも、ほかの人の言葉遣いをいたずらに指摘したり、非難したりする行為のほうがよほど品性に欠けます。 相手の許可・依頼がないのに「やらせていただく」と発言したことは、言葉遣いとしては正しくなくても、そんなに目くじらを立てることなのだろうかと感じています。また何かの機会に、このように言葉遣いについて説明することを「やらせていただく」ことがあるかもしれません。その時はどうぞよろしくお願いいたします。

初回公開日:2017年03月28日

記載されている内容は2017年03月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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