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前職調査の方法と内容|同意を得ないと前職調査はできない?

更新日:2024年11月14日

ビジネスマナー

前職調査とは転職先の会社が転職者の過去の仕事ぶり、評判を調べることを言いますが、これは具体的にどのように行われているのでしょうか。また、そもそも会社が雇用者の過去の仕事について調べることは許されているのでしょうか。前職調査について、詳しくご紹介していきます。

1分でわかるこの記事の要約
  • 前職調査は採用候補者の前の職場に聞き取りを行うこと
  • 本人の同意なく行われた場合、個人情報保護法違反となる
  • この法律の影響もあり、最近では珍しくなっている

最近では聞かなくなった前職調査ですが、あなたがハイクラス転職をする場合、行われる可能性があります。 事前に正しい知識を持ち、悪い情報を流されないよう、できるだけ円満な退職ができるようにしましょう。転職エージェントを利用している場合は、退職時の対応についても、アドバイスをもらうこともできるでしょう。

前職調査とは

会社が人を雇う場合、履歴書や職務経歴書を提出してもらい、面接で人柄を見て採用を決めます。それだけでは十分ではないと判断した会社が、採用決定前に、求職者が以前勤めていた会社に就労状態を調査します。これを前職調査といいますが、昔はこれを行うことが比較的一般的でした。

前職調査のやり方

最近では個人情報保護法があるため、あまり行われなくなってきています。 前職調査を行う場合は、以前の職場に電話をして確認したり、調査をする専門の会社に依頼したりします。 しかしこれには費用がかかるうえ、個人情報保護法という壁もあるので情報を手にすることが難しく、会社側も積極的とはいえないようです。

調査される項目

現在では前職調査をするのは、その多くが金融業界や警備会社、幹部職採用の場合です。調査される項目は、退職理由・勤務状況・人柄などの評判などがほとんどです。 転職者は経験を買われて新卒より給料が高めに設定される傾向がありますが、高い給料を払うからには、会社側はそのぶん慎重になります。

前職調査は違法になるのか?

前職調査は違法ではないかという疑問は当然あるかと思いますが、 個人情報保護法第23条では「関係事業者は、あらかじめ本人の同意を得ずに、個人データを第三者に提供してはならない」と規定しています。 しかし「本人の同意を得るに当たっては、当該本人に当該個人情報の利用目的を通知し、又は公表した上で、当該本人から口頭、書面等により当該個人情報の取扱いについて承諾する旨の意思表示を受けることが望ましい」となっているため、前職調査をするにあたって、本人の同意書を求めることが普通になっています。

在籍確認のみであれば調べられる

前職調査が在籍確認のみであれば、雇用保険加入履歴から調べることは可能です。しかしこの場合も本人の同意がなければならず、ハローワークでも基本的には問い合わせには応じていません。 また、前職だった会社に問い合わせをしたとしても、上記個人情報保護法により、あまり多くの情報は得られないと考えられます。つまり問い合わせをするという行為は可能であっても、企業が元従業員の個人情報を期待されているほど提供するとはいえないのです。

例外もある

唯一例外があるとすれば、本人が前職調査に同意している場合です。このため、前職調査を行う場合には、本人の同意を得ることが必要とされています。この前職調査同意書については、後述します。 なお、求職者が経歴を詐称して就職した場合、著しく業務に支障をきたすことがあれば、懲戒解雇となる可能性があります。

前職調査のタイミング

では、企業側では、いったいいつ、どのようなタイミングで前職調査をするのでしょうか? 企業側で前職調査をする場合、タイミング的には内定より前です。これはどうしてかというと一旦内定してしまうと、前職調査で悪い評判があったとしても、内定の取消が難しくなるからです。そのため、前職調査は内定前に行うのが、企業側には都合がいいのです。

ある程度応募者が絞られてから行われる

では応募者全員の前職調査をするのかというと、もちろん、そうではありません。前職調査は時間も費用もかかるものなので、ある程度応募者が絞られてから行われます。面接から採否結果の通知までに時間がかかるような会社は、前職調査をしている可能性があると考えられます。 また、前職調査にかかる費用は、1人につき数十万円といわれますから、あまりたくさんの人数を調べる事は現実的ではありません。最終面接後であれば、人数も少なく、また内定前なので絞りやすくなります。

前職調査の方法と内容

第三者である調査会社が調査をする場合

企業が直接求職者の前職調査をする場合もありますが、第三者である調査会社に依頼することも普通に行われています。ちなみに、このことをリファレンスチェックという場合があります。この第三者の機関を使うメリットとしては、前職の会社に転職しようとしている会社名を知られなくてすむという点です。 転職しようとしている会社が前職の会社に調査をしようとすると、どうしても会社名を名乗ることになります。そうすると、応募者がどこに転職しようとしているのか、個人的な秘密を漏洩してしまうことになるので、これはあまり好ましくありません。第三者の機関であれば、この危険を防げます。

気になる前職調査の内容

前職調査をする内容は企業によってさまざまですが、調査会社に依頼する場合は応募者の履歴書と職務経歴書から前職の企業をリストアップし、その企業に関して調査を依頼することになります。また、職務経歴以外にも、家族構成や人柄を調べることが多いです。 気をつけたいのは、借金がある場合です。お金を扱う金融業界では、借金があるというのは良い印象を持ちません。そのため、借金の有無が採否結果に影響することがあります。 その他にも懸念点があれば、【転職エージェントに聞いてみる】と良いでしょう。

応募した会社が独自に前職調査をする場合

会社みずから調査を行う場合もあります。その場合、前職の会社への調査も行う場合もありますが、社会保険の加入履歴や雇用保険の加入履歴を調べることが一般的です。 しかし、本人の同意がなければ、このような情報が勝手に開示されることはありません。そのため、前職調査の同意書が求められます。

前職調査同意書とは

前職調査を行う場合は、書面で本人の同意を得る必要があります。 同意する場合には署名・捺印をしますが、個人情報保護法では「関係事業者は、あらかじめ本人の同意を得ずに、個人データを第三者に提供してはならない」と定められているので、本人の同意なくして前職調査をすることは、個人情報保護法の観点から言うと違法行為にあたります。 このため、本人が前職調査に同意したということを書面で承諾の意思表示をしてもらうことになります。前職調査への同意を確認するのは、口頭での説明があれば望ましいのですが、説明がなく書類のみ渡されることもあるようです。

応募者を調査する権利はあるの?

個人情報保護法の観点から、本人の同意なくして元従業員の情報を提供するのは違法だとお話しました。ここで違法とされているのは「本人の同意なく情報を提供すること」です。 人材を採用するために会社が「調査」をすることを禁じているわけではありません。したがって、応募した会社が調査しようとすることは、問題がないのです。しかし、無断で情報を提供することは問題があるのです。

前職調査で内定取消になることはある?

前職調査で内定取消になることはそう多くはないですが、新卒で入社予定だった人が学校を卒業できなかった場合や、職務に支障をきたすような経歴の詐称があった場合は、内定を取消すのに適切な理由とされます。 また、入社後であっても、経歴を偽って入社したことが発覚した場合には、懲戒解雇などの厳しい処置がとられることがあります。 内定を取り消した場合は労働契約を解約したことになります。この労働契約の解約というのは、解雇と同等に扱われますので、会社側としても簡単に内定の取消はできません。

始期付解約権留保付労働契約について

会社側が内定を決定して本人も入社の意思を示して双方がこれを確認したとき、「始期付解約権留保付労働契約」が成立することになります。 始期付解約権留保付労働契約というのは、すぐに入社するのではなく、入社までしばらく時間があり、その間にやむを得ない事情が発生すれば、採用を取り消しにすることがあるというものです。

前職調査とは別の方法で過去を知られることもある

前職調査を行わなくてもある方法を通じて過去の経歴等が知られてしまう場合もあるので、知っておくといいでしょう。 前職調査以外の方法として2つあり、社会保険関係の履歴と知人を通じてバレてしまう場合が挙げられます。どちらも身近に起こりうるケースなので、油断して詐称していると思わぬところで信頼を失ってしまうことになるので注意しましょう。

最近ではあまり行われない前職調査

昔は前職調査をすることが比較的多く、調査を受ける前職の会社でも回答することがあったのですが、個人情報について厳しい管理が求められる現在ではこのような前職調査は珍しくなっています。 だからといって経歴を詐称していいわけではありません。スキルや経験などは転職する場合には有効な武器となるものですので、自分で持っている武器を利用して、自分にふさわしい職場を見つけたいものです。 もしも前職調査について疑問に思うことがあれば、労働基準監督署で相談できます。

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この記事のまとめ
  • 前職調査は採用候補者の前の職場に聞き取りを行うこと
  • 本人の同意なく行われた場合、個人情報保護法違反となる
  • この法律の影響もあり、最近では珍しくなっている

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初回公開日:2017年04月01日

記載されている内容は2017年04月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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