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意味記憶とエピソード記憶の違いと具体例|人間の記憶のモデル

更新日:2024年06月10日

言葉の意味・例文

「記憶」にはさまざまな種類があります。今回は意味記憶を中心に様々な記憶を説明していきます。どういう記憶がどのような役割があるのかを理解すれば、学習する際、有効だと思います。特に意味記憶は学習に対して大きな役割を果たしているので、是非読んでみてください。

記憶の2重貯蔵モデルとは、記憶には短期記憶と長期記憶という2つの貯蔵庫が存在するというモデルです。具体的には、感覚記憶のうち注意が向けられた情報が短期記憶に送られ、その送られた情報のうち必要だと判断された情報がリハーサルという処理をされ長期記憶に送られると考えます。 2重と言いつつ「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」と3つの記憶が出てきてややこしいですね。

感覚記憶とは

感覚記憶とは、目や耳などの感覚器官で受け取った情報を、一時的に保存するための記憶のことです。 私たちは普段生活しているとき、様々な情報にさらされています。もし、目や耳から入る情報をいちいち記憶していると、脳はすさまじい量の情報処理に追われ、パンクしてしまいます。 そのため、自分にとって必要ない情報や関心のない情報はすぐに感覚記憶から消えてしまいます。

短期記憶とは

短期記憶とは、短期的に保存される記憶です。 感覚記憶のうち、意識された情報が短期記憶に送られます。 しかし、保存される時間は15~30秒とされています。 短期記憶の情報のうち、「リハーサル」された情報のみが長期記憶に送られます。 リハーサルとは、頭の中で復唱したり、反復学習することです。 リハーサルには、情報を処理するのではなく、なんとなく反復するだけの「維持リハーサル」と、 情報をゴロ合わせなどの処理を行い反復する「精緻化リハーサル」があります。精緻化リハーサルのほうが長期記憶に送られる確率は高いです。

長期記憶とは

長期記憶とは、理論上では半永久的に情報を貯蔵できるとされる記憶のことです。 短期記憶のうち関心があり必要とされた情報がリハーサルにより長期記憶に送られると考えられています。 そして、この長期記憶は「手続き的記憶」と先ほど説明した「宣言的記憶」の2つに分けられます。 また、長期記憶に送られた情報は、理論上では半永久的に保存されると考えられているが、あくまで「半永久的」に保存されるのであって永久には保存されません。 ちなみに、長期記憶から情報が忘れ去られる原因について、3つの説が有力視されています。 1つ目は、時間が経過すると共に、記憶から失われていくという「減衰説」 2つ目は、記憶同士がぶつかり合うことにより記憶から失われていくという「干渉説」 3つ目は、記憶を思い出そうとするが、その記憶が失われたわけではなく、適切な思い出し方がなされなかったため、思い出せないという「検索失敗説」が存在します。

2種類の長期記憶

長期記憶には先ほど説明した「宣言的記憶」と「手続き的記憶」の2種類があります。 どちらの記憶も忘れたくてもなかなか忘れられない記憶ですが、脳にある障害を患った人を調査した結果、宣言的記憶と手続き的記憶は脳内の異なった部位が使用されていることがわかり、独立した機能があると考えられています。

手続き的記憶

手続き記憶とは、動作や一連の手続きに関する記憶のことです。 言葉で説明することが難しい場合が多く、反復練習を繰り返せば意識しなくても使うことができます。 いわゆる「身体が覚えている」記憶のことです。 例えば、自転車の乗り方、ピアノの弾き方などが手続き的記憶にあたります。

情報を長期記憶に送るには

このページを開いてくれた方の多くは、記憶力をアップするための効率の良い方法が知りたいと考えているのではないかと思います。 そこで、ここではどのようにすれば効率よく記憶ができるのかを説明します。 「記憶する」ということは、いかに「長期記憶に情報を送るか」と言ってよいと思います。 長期記憶に情報を送るには、記憶したいと思う情報が「必要な情報だ!」と思い込ませることが大切です。 「そんなの当たり前だろ!」「重要な情報だから記憶したいんだよ!」という声も聞こえてきそうですが、ここがポイントです。 長期記憶が重要だと思う情報はどういうものか?ということです。 答えは、ここまで読んでくれた方をガッカリさせる内容なのですが、先ほど書きました「精緻化リハーサル」しかありません。 繰り返し、同じ情報に触れることで、必要な情報だと判断し、記憶が定着していくのです。 過去に勉強した情報ならともかく1回だけ見て聞いて記憶されることはありません。 楽に記憶する方法というのはもしかしたらあるのかもしれませんが、「記憶したければ繰り返しやりましょう」という原始的な方法がもっとも効率が良いのではないでしょうか。 ガッカリさせてしまいすいません。

記憶とは何か

脳内には海馬や側頭葉など記憶を司る部位はありますが、「長期記憶」や「短期記憶」という部位は身体のどこにも存在しません。上述した「意味記憶」や「長期記憶」などは「記憶」という概念をわかりやすく理解するための例え(メタファー)として用いられているだけなのです。 記憶は主に心理学で扱われている領域です。心理学では心という実体のないものに焦点を当てて研究を行います。 例えば、ウィルスに感染したらインフルエンザという病名がつけられますが、気分が優れないからといって心の病なのかというと、そうではありません。記憶もそうです。今は「記憶の2重貯蔵モデル」が「一番シックリくる」という理由で、記憶の基本概念として扱われています。もしかしたら、5年後10年後には、「もっとシックリくる」概念が発見されて、ここで説明したことが全部間違ってることもあるかもしれませんね。

初回公開日:2017年03月23日

記載されている内容は2017年03月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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