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知るの謙譲語「存じます・存じ上げます」の意味と違い・使い方

更新日:2024年03月05日

言葉の意味・例文

敬語表現にはよく似たものがあります。「存じます」と「存じ上げます」もそのひとつではないでしょうか?使っている漢字も同じで、意味合いとしても同じに見える。この機会に「存じます」と「存じ上げます」の意味・違いを知って、適切な使い方を身につけましょう。

「存じます」と「存じ上げます」は同じ意味?

使っている漢字も語感もよく似た「存じます」と「存じ上げます」。 ビジネスシーンでどのような感覚で使っていますか? 普段聞き慣れている表現だからこそ、しっかり意味を確認して誤用を避けたいものです。 まずはそれぞれの意味をみてみましょう。

「知る」の謙譲語

「存じます」「存じ上げます」を使うシーンを思い浮かべると、それが「知る」という意味をもつことは理解できると思います。 目上の人や社外の人に対して、「知っている」ことを伝える際に、「知っています」というのは稚拙に聞こえます。こういう時に、「存じます」「存じ上げます」という言葉遣いがふさわしく、つまり「知る」の尊敬表現(謙譲語)ということになります。

「存じます」の意味

それでは、「存じます」の意味から確認していきましょう。 「知る」の謙譲語ですが、大辞泉ではどのような定義で書かれているのでしょうか。

ぞん・ずる【存ずる】 の意味 出典:デジタル大辞泉 [動サ変][文]ぞん・ず[サ変] 1 「知る」「承知する」の意の謙譲語。「知らぬ存ぜぬでらちがあかない」 2 「思う」「考える」の意の謙譲語。「お変わりなくお過ごしのことと存じます」

「存じます」は「存ずる」という言葉に丁寧語を作る助動詞「ます」がついて変化したものです。「知る・承知する・思う・考える」という意味をもち、「しります・承知します・思います・考えます」が「存じます」の示す意味となります。 そして、大前提として「存じます」は目上の人を敬う謙譲語だということをおさえましょう。

「存じ上げます」の意味

それでは、「存じ上げます」はどうでしょうか。 「上げます」がつくことで、どのような意味になるのかみてみましょう。

ぞんじ‐あ・げる【存じ上げる】 の意味 出典:デジタル大辞泉 [動ガ下一][文]ぞんじあ・ぐ[ガ下二]「知る」「思う」の意の謙譲語。

「存じ上げます」の元になる「存じ上げる」は、「知る・思う」の謙譲語で、「存じる」と全く同じ説明がされています。 表現としてニュアンスの違いはないのでしょうか。 ここでポイントになるのが「上げる」のもつ意味です。助動詞としての働きをもつ「上げる」は「人を敬う意味」を表します。つまり「存じ上げます」というのは、構造上は「謙譲語+尊敬語」という形式を持ち、「知る」内容が「人」である時に使うということです。 使い分けは、後ほどポイントとしてまとめてご紹介します。

「存じます」の使い方

意味を確認したところで、どのように使えばいいのか例文をみてみましょう。 「存じます」は「知っています・思います」という意味がありますが、トーンとしてはかなりフォーマルな表現と言えます。 つまり、文書やメールまたは顧客との電話などで使用し、一般的な会話で頻用すると堅苦しさが出てしまう可能性があります。とは言え、話し言葉として使えないわけではないので、状況に応じて(話す相手に応じて)意味を踏まえて使えるようにしましょう。

具体的なケースとしては、 ・(メールで相手の都合を聞きたい時)  来週のご都合を伺いたく存じます。 ・(電話口で要件を知っていることを伝える時)  お客様のお問合せ内容は存じております。 「知る」という言葉を「知っている」という表現で使うことが多いように、「存じます」も「存じております」と変形させて「知る」という意味を謙譲表現で伝えることができます。

「存じ上げます」の使い方

一方、「存じ上げます」は、相手を敬う意味が強く出ている表現なので、使う場面も「人」に関することを「知っている」ときということになります。 例えば、 ・お名前は存じ上げております。 ・〇〇様のことは存じ上げております。 「存じます」は文書などで書き言葉として使用されることが多いのですが、「存じ上げております」は相手(人)に対して発するものという性格上、話し言葉として使う場面が多いということになります。 意味をそれぞれ知った上で、使われている具体例をみると、とても明確になりますね。

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初回公開日:2016年12月17日

記載されている内容は2016年12月17日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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