IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

【業務別テンプレ付き】IRM/DRMポリシー設計の教科書|情報漏洩を防ぎつつ生産性を落とさない5つの基本と運用術

更新日:2026年02月24日

ITキャリア

1分でわかるこの記事の要約 IRM/DRMは企業の重要情報を保護する上で不可欠であり、適切なポリシー設計が成功の鍵です。 画一的なルールではなく、業務内容や情報の重要度に応じて柔軟にポリシーを設計する必要があります。 ア […]

1分でわかるこの記事の要約
  • IRM/DRMは企業の重要情報を保護する上で不可欠であり、適切なポリシー設計が成功の鍵です。
  • 画一的なルールではなく、業務内容や情報の重要度に応じて柔軟にポリシーを設計する必要があります。
  • アクセス権限、利用期限、印刷制限、再共有制限、文書分類の5つの基本項目を理解します。
  • 経営会議資料や人事情報など、具体的な業務シーン別のポリシー設計テンプレート5選を紹介します。
  • 導入成功にはスモールスタート、定期的な見直し、従業員教育、ログ管理が重要なポイントです。

企業の重要情報を守る情報漏洩対策は、経営の最重要課題です。有効な手段としてIRM/DRMが注目されますが、「ポリシー設計が複雑でわからない」「制限が厳しすぎて業務効率が落ちた」といった声も少なくありません。効果的なセキュリティ対策は、画一的なルールではなく、業務の実態に合わせて柔軟に設計することが不可欠です。

本記事では、セキュリティと業務効率を両立させるIRM/DRMポリシー設計の基本から、すぐに使える業務別の実践的なテンプレートまでを網羅的に解説します。


IRM/DRMとは?情報漏洩対策におけるポリシー設計の重要性

まず、IRM(Information Rights Management)とDRM(Digital Rights Management)の基本と、なぜポリシー設計が重要なのかを理解しましょう。ツールを導入するだけでは情報漏洩リスクを十分に低減できません。自社の業務に合わせた適切な「運用ルール=ポリシー」があって初めて、その真価を発揮するのです。

IRM/DRMの基本機能と目的

IRM/DRMは、文書や画像、設計図といったデジタルファイルそのものを暗号化し、利用権限を詳細に制御する技術です。ファイルがどこにあっても(社内サーバー、クラウド、個人のPCなど)、設定された権限ポリシーが追従し、許可されたユーザーのみが許可された操作(閲覧、編集、印刷など)を行えるようにします。

従来のアクセス権管理が「場所(フォルダ)」を基準にしていたのに対し、IRM/DRMは「ファイル自体」にセキュリティを施す点が大きな違いです。これにより、万が一ファイルが外部に流出しても、権限のない第三者は中身を閲覧できません。主な目的は、内部不正による情報持ち出し、サイバー攻撃によるデータ窃取、メール誤送信といった様々な情報漏洩リスクへの対策です。

なぜ画一的なポリシーではダメなのか?業務効率とのバランス

情報漏洩対策を強化しようと、「すべてのファイルの印刷を禁止する」といった厳格で画一的なポリシーを設定しがちです。しかし、これは現場の業務効率を著しく低下させる原因となります。例えば、営業担当者が顧客に提案書を印刷して渡せない、協力会社とのデータ共有に多大な手間がかかる、といったケースです。

逆に、ポリシーが緩すぎればセキュリティリスクは高まります。重要なのは、企業の持つ情報資産を重要度に応じて分類し、扱う部署や業務内容に合わせてポリシーの強度を柔軟に変えることです。セキュリティガバナンスを効かせつつ、必要な業務は滞りなく進める。この「セキュリティと業務効率の最適なバランス」を見つけ出すことこそが、IRM/DRMポリシー設計の核心なのです。


IRM/DRMポリシー設計の5つの基本項目

効果的なポリシーを設計するには、まずどのような制御項目があるのかを把握する必要があります。ここでは、テンプレートを作成する上で基本となる5つの主要な設定項目を解説します。

① アクセス権限:誰がファイルにアクセスできるか

最も基本的な設定が、誰にどのような操作を許可するかという「アクセス権限」です。単にファイルを開けるかだけでなく、より細かい操作レベルで制御できます。

  • 閲覧制限:ファイルの内容を閲覧する権限
  • 編集制限:ファイルの内容を変更・上書き保存する権限
  • コピー&ペースト制御:ファイル内のテキストや画像のコピー操作の制限
  • マクロ実行制御:マクロ付きファイルのマクロ実行を許可・禁止する権限

これらの権限をユーザーやグループ単位で設定し、「Aさんは閲覧のみ、Bさんは編集も可能」といった柔軟な管理を実現します

② 利用期限:いつまでファイルを利用できるか

プロジェクト単位のファイルや、契約期間中のみ有効な文書など、特定の期間を過ぎたらアクセスを無効にしたいケースは少なくありません。利用期限を設定すると、ファイルは自動的に閲覧・編集ができなくなります

これにより、古い情報が誤って利用されるのを防ぎ、プロジェクト終了後に部外者となったメンバーが機密情報にアクセスし続けるリスクを排除できます。

③ 印刷制限(Print Control):印刷を許可するかどうか

デジタルデータだけでなく、紙媒体からの情報漏洩も大きなリスクです。IRM/DRMでは、印刷そのものを禁止できます。

また、印刷を許可する場合でも、「透かし(ウォーターマーク)」機能の活用が効果的です。印刷したユーザー名や日時、社外秘マークなどを強制的に印字することで、印刷物の不正な持ち出しやコピーに対する心理的な抑止効果が期待できます

④ 再共有・持ち出し制限:情報の拡散をどう防ぐか

一度共有されたファイルが、意図しない相手にさらに共有(再共有)されることは、情報拡散の典型的なパターンです。IRM/DRMでは、ファイルの転送やメール添付を制限したり、特定のドメイン以外への送信をブロックしたりできます。

さらに、画面キャプチャ(スクリーンショット)を禁止する機能も重要です。これにより、スマートフォンのカメラでPC画面を撮影するといったアナログな情報漏洩手法にも対策できます

⑤ 文書分類(Classification):情報の重要度に応じた管理

社内の全文書を同じレベルのセキュリティで管理するのは非効率です。そこで重要になるのが「文書分類(Classification)」です。ファイルを「極秘」「社外秘」「部内秘」「公開」のように重要度で分類し、その分類(ラベル)に基づいて定義済みのポリシーを自動的に適用します。

例えば、ユーザーがファイルを「社外秘」として保存した瞬間に、自動で「印刷禁止」「利用期限30日」といったポリシーが適用されます。これにより、ユーザーはポリシーを意識することなく、組織としての情報管理ガバナンスと内部統制を強化できます


【雛形5選】すぐに使える業務別IRM/DRMポリシー設計テンプレート

ここからは、前述の基本項目を組み合わせた、具体的な業務シーン別のポリシー設計テンプレートをご紹介します。これを雛形として自社の状況に合わせてカスタマイズし、迅速かつ効果的なポリシーを策定しましょう

テンプレート1:経営・役員会議資料

  • 対象ファイル: 取締役会議事録、中期経営計画書、M&A関連資料など
  • 対象者: 役員、経営企画部、監査役など限定されたメンバー
  • アクセス権限: 閲覧のみ(編集は作成者のみ許可)
  • 利用期限: 会議終了後7日間でアクセス不可
  • 印刷制限: 原則禁止。必要な場合は透かし(利用者名・日時)入りで許可
  • 再共有・持ち出し制限: 再共有、スクリーンショット、外部への持ち出しは全て禁止
  • ポイント: アクセスを必要最低限のメンバーと期間に絞り込み、あらゆる手段での情報拡散をブロックします

テンプレート2:人事・評価情報

  • 対象ファイル: 従業員名簿、給与データ、人事評価シートなど
  • 対象者: 人事部担当者、評価者(対象者の上長)
  • アクセス権限: 閲覧・編集は職務権限に応じて厳密に設定
  • 利用期限: 評価期間終了後、または人事異動後に自動的に失効
  • 印刷制限: 原則禁止。業務上やむを得ない場合は許可制
  • 再共有・持ち出し制限: 再共有禁止、人事システム外へのデータ持ち出し制限
  • ポイント: 権限設定を個人の役割ベースで管理し、異動や退職時には速やかに権限が剥奪される運用が重要です

テンプレート3:研究開発・設計図面

  • 対象ファイル: 製品設計図(CADデータ)、研究開発データ、ソースコードなど
  • 対象者: 研究開発部門、設計部門のプロジェクトメンバー
  • アクセス権限: プロジェクトメンバー内では閲覧・編集を許可
  • 利用期限: プロジェクト期間に連動。終了後は閲覧のみに移行
  • 印刷制限: 原則禁止。製造委託先への提出時は透かし入りで許可
  • 再共有・持ち出し制限: 部署内での共有は許可。外部への再共有や持ち出しは禁止
  • ポイント: テレワーク環境も考慮し、社外からのアクセスでも社内と同等のセキュリティが保たれるポリシーが不可欠です

テンプレート4:営業・提案資料(社外秘)

  • 対象ファイル: 提案書、見積書、契約書ドラフトなど
  • 対象者: 営業部門、および共有先の顧客担当者
  • アクセス権限: (社内)編集可能、(顧客)閲覧のみ
  • 利用期限: 見積有効期限や商談期間に合わせて設定(例:30日間)
  • 印刷制限: 顧客による印刷は許可(透かし入りを推奨)
  • 再共有・持ち出し制限: 顧客による再共有は禁止
  • ポイント: 社外ユーザーとファイルを共有する際のポリシーを明確に定義し、データ活用とリスク管理のバランスを取ります

テンプレート5:広報・プレスリリース(公開前)

  • 対象ファイル: プレスリリース草稿、発表会資料など
  • 対象者: 広報部、関連部署の承認者
  • アクセス権限: 公開日時までは関係者のみ閲覧・編集可能
  • 利用期限: 公開日時をもって自動的に制限を解除、または公開用ポリシーに移行
  • 印刷制限: 公開日時まで禁止
  • 再共有・持ち出し制限: 公開日時まで禁止
  • ポイント: 時限的なポリシー設定が非常に有効なケースです。手動での設定変更ミスを防ぎ、コンプライアンスを確保します

IRM/DRMポリシー導入・運用を成功させる4つのポイント

優れたポリシーを設計しても、組織に根付かなければ意味がありません。導入から運用を成功させるための重要なポイントを解説します。

1. スモールスタートで段階的に導入する

全社一斉導入は現場の混乱を招くリスクがあります。まずは情報漏洩リスクが高い部門や、影響範囲の少ないプロジェクトからスモールスタートで導入するのが賢明です。そこで得られた知見を元にポリシーを改善し、徐々に対象範囲を拡大しましょう。

2. 定期的なポリシーの見直しと棚卸し

ビジネス環境や組織は常に変化します。年に1〜2回など、定期的にポリシーの内容を見直し、必要に応じて更新する「棚卸し」のプロセスを運用に組み込むことが重要です。形骸化したルールはセキュリティホールを生む原因となります。

3. 従業員への教育と周知徹底

IRM/DRMの導入は、従業員にとって不便さを伴う場合があります。なぜ制限が必要なのか、その目的(会社の情報資産と従業員自身を守ること)を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが不可欠です。情報セキュリティに関する研修を定期的に実施し、組織全体の意識を高めましょう。

4. ログ管理と監査体制の構築

「誰が、いつ、どのファイルに、何をしたか」という操作ログを収集・監視する体制は、内部統制の観点から非常に重要です。インシデント発生時の原因究明を迅速化できるほか、ログ取得の事実そのものが不正行為への強力な抑止力として機能します


まとめ

IRM/DRMのポリシー設計は、単なる機能設定ではなく、企業のセキュリティガバナンスと業務効率を両立させる戦略的な取り組みです。重要なのは、画一的なルールではなく、本記事で紹介したテンプレートのように、業務内容や情報の重要度に応じてきめ細かく権限を設計することです。

効果的なポリシーは、情報漏洩リスクを最小限に抑え、安全なデータ活用を促進し、企業の競争力を高める基盤となります。ぜひ、このテンプレートを自社の状況に合わせてカスタマイズし、堅牢かつ柔軟な情報管理体制の構築にお役立てください。


よくある質問(FAQ)

Q1: IRMとDRMの具体的な違いは何ですか?

A1: もともとDRMは音楽や映像などの著作権保護に使われた技術ですが、IRMは企業の情報資産保護に特化した概念として発展しました。現在では技術的な境界は曖昧で、企業向け情報漏洩対策ソリューションを指す言葉として、ほぼ同義で使われることが多くなっています

Q2: ポリシーが厳しすぎて業務に支障が出る場合はどうすればよいですか?

A2: まずは現場の管理者や情報システム部門に相談してください。多くのIRM/DRM製品では、一時的に権限を緩和する申請・承認ワークフローや、特定の業務用の例外ポリシー設定が可能です。セキュリティを維持しつつ業務を進める代替案を検討することが重要です

Q3: クラウドストレージの標準的な権限設定だけでは不十分ですか?

A3: クラウドストレージ(Microsoft 365, Google Driveなど)の権限設定も有効ですが、限界があります。これらの設定は主に「サービス内」でのアクセスを制御するものです。一度ファイルがダウンロードされると、その後のコピーや転送は制御できません。IRM/DRMはファイル自体を暗号化するため、ダウンロード後もセキュリティポリシーが維持される点が大きな違いであり、より強固な対策を実現します

この記事のまとめ
  • IRM/DRMは企業の機密情報保護に不可欠であり、画一的ではない柔軟なポリシー設計が成功の鍵です。
  • アクセス権限や利用期限、印刷制限、再共有制限、文書分類の5つの基本項目を基にポリシーを策定しましょう。
  • 経営会議資料や人事情報、研究開発データなど、業務内容に合わせたテンプレート活用が効率的です。
  • 導入成功には、スモールスタート、定期的な見直し、従業員への教育、ログ管理の徹底が不可欠です。
  • セキュリティと業務効率のバランスを取り、企業の競争力を高める堅牢な情報管理体制を構築しましょう。

マモリスのご紹介

マモリス(Mamoris)は、企業の情報資産を守るためのセキュリティサービスです。
端末上の操作や各種ログをもとに、社内不正や情報漏えいにつながりやすいリスクの“兆し”を可視化し、状況に応じた対策につなげます。
セキュリティと業務効率のバランスを大切にしながら、現場で運用しやすい形で「見える化 → 判断 → 改善」を進められるのが特長です。
詳しくは公式サイトをご覧ください:mamoris-secure.com
初回公開日:2026年02月24日

記載されている内容は2026年02月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

関連する記事

アクセスランキング