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RMM×パッチ管理で「予防保守」へ:テレメトリ×AIで先回りする次世代IT運用モデル

更新日:2026年02月20日

ITキャリア

1分でわかるこの記事の要約 RMMとパッチ管理を連携させることで、システム障害の予兆を検知し、問題発生前にパッチを適用する予防保守モデルを構築できます。 従来のWSUS運用では対応できないサードパーティ製アプリやリモート […]

1分でわかるこの記事の要約
  • RMMとパッチ管理を連携させることで、システム障害の予兆を検知し、問題発生前にパッチを適用する予防保守モデルを構築できます。
  • 従来のWSUS運用では対応できないサードパーティ製アプリやリモートデバイスの管理がRMMによって可能になり、管理漏れや工数増大の課題を解決します。
  • RMMはPCやサーバーを遠隔から一元的に監視・管理し、収集したテレメトリーデータをAIで分析して障害の微細な予兆を捉えます。
  • この新運用モデルにより、情シス担当者の業務負荷が劇的に軽減され、セキュリティレベルが向上し、企業全体のDX推進が加速します。
  • 中小企業でも導入しやすいSaaS型RMMが増えており、プロアクティブなIT運用への転換はビジネス成長の重要な鍵となります。
「またパッチ適用の案内か…」「障害が起きてから対応するサイクルに疲弊している」。多くの情報システム部門(情シス)担当者は、日々のIT運用業務にこのような悩みを抱えています。OSやアプリケーションの脆弱性を突いたサイバー攻撃が巧妙化する現代において、パッチ管理の重要性は増すばかりです。しかし、手動や従来のツールでの管理には限界があり、インシデント対応に追われる悪循環から抜け出せずにいる企業は少なくありません。もし、システム障害の”予兆”を事前に察知し、問題が表面化する前に「先回り」して対策を打てるとしたらどうでしょう。 本記事では、RMM(Remote Monitoring and Management)とパッチ管理を連携させ、テレメトリーデータを活用することで、革新的な「予防保守」を実現する新しい運用モデルを徹底的に解説します。

従来のパッチ管理が抱える3つの課題

ITシステムの安定稼働とセキュリティ維持に、パッチ管理は不可欠です。しかし、旧態依然とした運用を続けることは、ビジネス全体に深刻なリスクをもたらします。ここでは、従来型のパッチ管理が抱える具体的な課題を掘り下げます。

課題1:手動・WSUS運用による工数増大と管理漏れ

多くの企業、特に中小企業では、手動やWSUS (Windows Server Update Services) でパッチ管理を行っています。しかし、管理対象デバイスの増加や多様化に伴い、これらの手法はすぐに限界を迎えます

  • 手動運用:担当者が一台ずつ状況を確認・適用するため、膨大な工数がかかり、本来注力すべき戦略的なIT業務を圧迫します。
  • WSUS運用:Microsoft製品以外のサードパーティ製アプリケーション(Adobe、Javaなど)には対応できません。また、リモートワークで社外にあるデバイスの管理も困難なため、パッチの適用漏れや遅延が発生しやすくなります。

結果として、システム全体のリスク管理が形骸化してしまう恐れがあります

課題2:後手対応が招く深刻なビジネスリスク

従来のパッチ管理は、脆弱性が公開されたりインシデントが発生したりしてから対応する「リアクティブ(後追い)」な運用が中心です。この”後手”の運用は、深刻なビジネスリスクを内包しています。

  • セキュリティインシデントの発生:脆弱性公表からパッチ適用までの時間差を狙う「Nデイ攻撃(ゼロデイ攻撃など)」により、マルウェア感染や情報漏洩に直結します。
  • 業務停止リスク:事前の影響調査が不十分なままパッチを適用し、基幹システムがダウンするケースも少なくありません。復旧作業で担当者は疲弊し、企業全体の生産性が低下します。
  • コンプライアンス違反:適切なパッチ管理を怠り情報漏洩事故が発生した場合、法的な罰則や高額な賠償金の支払い義務が生じる可能性もあります。

このように、後手対応のパッチ管理は、単なるIT運用の課題ではなく、経営全体を揺るがすリスクとなりうるのです。


次世代IT運用の鍵「RMM」と「テレメトリーデータ」とは?

従来の課題を解決し、プロアクティブ(予防的)なIT運用へシフトするために注目されているのが「RMM」と「テレメトリーデータ」の活用です。これらはシステムの”健康状態”を深く理解し、障害の予兆を捉えるための重要なカギとなります。

RMM(Remote Monitoring and Management)とは?

RMMとは、PCやサーバーといったエンドポイント端末を、遠隔から一元的に監視・管理するソリューションです。多くはSaaSとして提供されます。各端末に「エージェント」というソフトウェアを導入することで、情シス担当者は管理コンソールから社内外すべてのデバイス状態をリアルタイムに把握できます。

RMMの主な機能

  • CPU・メモリなどのリソース監視
  • IT資産管理
  • ソフトウェア配布
  • リモートデスクトップ
  • スクリプト実行による作業自動化

「監視(Monitoring)」と「管理(Management)」を統合的に行えるのが最大の特徴です。例えば、「CPU使用率が90%超でアラート」→「関連プロセスを再起動するスクリプトを自動実行」といった連携により、IT運用の大幅な効率化が期待できます。

障害予兆検知の要「テレメトリーデータ」とは?

RMMの真価を発揮させる上で不可欠なのが「テレメトリーデータ」です。これは、遠隔地の機器から収集されるパフォーマンスや稼働状況のデータです。RMMエージェントは、CPU使用率やメモリ使用量といった基本データに加え、イベントログ、アプリケーションのエラーログ、サービスの稼働状況など、膨大なデータを継続的に収集します。

収集したデータを時系列で分析することで、システムの「正常な状態」のベースラインを定義できます。そして、ベースラインから逸脱する微細な変化、つまり「いつもと違う」振る舞いを障害の”予兆”として検知できるのです。この予兆検知能力が、革新的な運用モデルの基盤となります。


RMMとパッチ管理を連携させた新運用モデルの3ステップ

RMMのリアルタイム監視とテレメトリーデータの分析をパッチ管理と連携させることで、「障害の予兆」をトリガーに問題が顕在化する前に「先回り」して対策を実行する、全く新しいプロアクティブな運用モデルを構築できます。

ステップ1:テレメトリーによるリアルタイム監視とデータ収集

まず、管理対象の全エンドポイントから、RMMエージェントが継続的にデータを収集します。CPU、メモリ、ディスクといったリソース状況から、OSやアプリケーションのエラーログまで、システムの健全性を測るあらゆる情報がクラウド上のRMMプラットフォームに集約されます。これにより、情シス担当者は多数のデバイスの状態を単一のダッシュボードで一元的に把握できます。

ステップ2:AI/機械学習による障害予兆の検知と分析

収集された膨大なテレメトリーデータは、AIや機械学習エンジンが自動で分析します。AIは過去のデータから各システムの「正常な振る舞いのパターン(ベースライン)」を学習。リアルタイムデータがベースラインから逸脱した際に、それを「異常」=「障害予兆」として検知し、担当者にアラートを通知します。人間では見過ごしがちな微細な変化を捉えることが可能です。

ステップ3:予兆に応じたパッチの特定と自動適用(先回り適用)

障害予兆が検知されると、RMMはアラート内容と既知の脆弱性・パッチ情報を自動で照合し、原因と対策を紐付けます。対策となるパッチが特定されると、RMMの管理機能を使って、問題が発生している、あるいは同様のリスクを抱えるエンドポイントに修正パッチを自動で配布・適用します。

これがユーザーからの問い合わせやシステムダウンの前に実行されるため、インシデントを未然に防ぐ「予防保守」が実現します。


RMM×パッチ管理の連携がもたらす4つのメリット

障害予兆を起点とした先回り適用モデルは、企業経営に直結する多くのメリットをもたらします。

1. 脆弱性対策の高度化とセキュリティレベルの向上

  • 説明: 障害や不安定な挙動といった「予兆」をトリガーに対策を講じるため、脆弱性が悪用される前に対処できます。OSだけでなくサードパーティ製品のパッチも一元管理・自動適用でき、エンドポイント全体のセキュリティレベルが飛躍的に向上します。

2. 情シス・IT担当者の業務負荷軽減と生産性向上

  • 説明: パッチ適用の自動化と障害予防により、インシデント対応件数が劇的に減少します。これにより、情シス担当者は日々のルーチンワークから解放され、DX推進やIT戦略立案といった付加価値の高い業務に集中できるようになります。

3. IT運用のプロアクティブ化とインシデントの予防

  • 説明: IT運用を「壊れてから直す(Break-Fix)」から「壊れる前に直す(Proactive Maintenance)」へと転換します。システムのダウンタイムを最小化し、ビジネスの継続性を確保することで、企業活動全体の土台を強固にします。

4. DX推進を支える安定的でセキュアなITインフラの実現

  • 説明: プロアクティブな運用モデルは、システムの安定稼働を高いレベルで実現し、企業が安心してDXに投資できる環境を整えます。これにより、IT部門はビジネス成長を牽引する戦略的パートナーへと進化できます。

RMM連携ソリューション導入を成功させる3つのポイント

この新運用モデルの導入を成功させるためには、計画的な進行が不可欠です。

  1. 自社の環境と課題に合ったツールの選定

    まず、管理対象のデバイス(Windows, Mac等)やOS、既存ツール(Microsoft Intune, EDR等)との連携性を洗い出しましょう。その上で、自社の管理対象をカバーし、日本語のサポート体制が充実しているかなど、スキルレベルに合ったツールを選定することが重要です。

  2. スモールスタートから始める導入プロセス

    いきなり全社展開するのではなく、特定の部門やサーバー群など、範囲を限定した「スモールスタート」を推奨します。パイロット導入で効果を測定し、成功体験を積みながら段階的に適用範囲を拡大していくアプローチが最も確実です。

  3. 運用ルールの策定と体制の構築

    ツールを導入するだけでは機能しません。「クリティカルな脆弱性パッチは即時自動適用する」など、具体的な運用ルールを事前に策定しておく必要があります。誰がアラートを監視し、誰が最終判断を下すのかといった体制を明確にすることで、効果的なプロアクティブ運用が実現します。


まとめ:RMMとパッチ管理で「守り」から「攻め」のIT運用へ

本記事では、RMMとパッチ管理の連携による、障害予兆検知と先回り適用という新しい運用モデルを解説しました。

後手後手のインシデント対応に追われる旧来の運用から脱却し、テレメトリーデータを活用してシステムの健全性をプロアクティブに維持する。この変革は、単なるIT運用の効率化に留まりません。脆弱性の脅威からビジネスを守り、システムの安定稼働という土台の上で企業のDXを加速させる、「攻めのIT」への転換を意味します。

クラウドベースのSaaSとして提供されるRMMソリューションも多く、中小企業でも導入しやすくなっています。未来の安定したIT環境を築く第一歩として、この新しい運用モデルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


よくある質問(FAQ)

Q1: RMMツールは既存のウイルス対策ソフトやEDRと競合しますか?

A1: 競合するのではなく、連携してセキュリティを強化する関係にあります。RMMがシステムの監視・管理・自動化を担い、EDR(Endpoint Detection and Response)はマルウェア検知やインシデント対応に特化しています。多くのRMMはEDR製品と連携し、RMMが検知した予兆に対しEDRが調査したり、EDRが検知した脅威に対しRMMがパッチ適用を実行したりと、相乗効果が期待できます。

Q2: 中小企業でも導入するメリットはありますか?

A2: むしろ、情シス担当者が限られている、あるいは「一人情シス」状態の中小企業にこそ、導入メリットは大きいです。手動でのパッチ管理や障害対応の工数を自動化で大幅に削減できます。SaaS型であれば初期投資を抑えて利用できるため、費用対効果の高いセキュリティ対策・運用効率化の手法となります。

Q3: WSUSからRMMベースの管理に移行する際の注意点は何ですか?

A3: 段階的なアプローチが重要です。まず、RMMエージェントを展開してWSUSと並行稼働させ、監視機能に慣れます。次に、テストグループにのみRMMからのパッチ配信を有効にし、動作を確認します。問題がなければ徐々に対象を広げ、最終的に全端末の管理がRMMに移行したらWSUSを停止します。移行前に、パッチ適用のポリシー(適用タイミング、再起動の扱いなど)をRMM上で再設計しておくことが成功の鍵です。

この記事のまとめ
  • RMMとパッチ管理の連携により、IT運用は「壊れてから直す」から「壊れる前に直す」予防保守へと転換します。
  • テレメトリーデータをAIで分析し障害予兆を検知することで、脆弱性悪用前の「先回り適用」が可能になり、インシデントを未然に防ぎます。
  • この新しい運用モデルは、情シス担当者の業務負荷を大幅に軽減し、より戦略的な業務へ集中できる環境を提供します。
  • 企業全体のセキュリティレベルを飛躍的に向上させ、DX推進を支える安定したITインフラの実現に貢献します。
  • クラウドベースのSaaS型RMMソリューションも多く、中小企業でも導入しやすいため、ぜひプロアクティブなIT運用への移行を検討しましょう。

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初回公開日:2026年02月20日

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