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【完全版】端末管理 設計書テンプレート|IT資産のライフサイクルを一元管理

更新日:2026年02月13日

ITキャリア

1分でわかるこの記事の要約 端末管理の属人化や非効率は、情報漏洩などの重大なセキュリティリスクに繋がります。 デバイスの導入から廃棄まで一元管理する「端末管理の設計書」が課題解決の鍵となります。 設計書により標準化・セキ […]

1分でわかるこの記事の要約
  • 端末管理の属人化や非効率は、情報漏洩などの重大なセキュリティリスクに繋がります。
  • デバイスの導入から廃棄まで一元管理する「端末管理の設計書」が課題解決の鍵となります。
  • 設計書により標準化・セキュリティ強化・可視化が実現し、情シス業務の効率が飛躍的に向上します。
  • MDM/UEMツールとの連携、定期的な棚卸し、担当者教育が設計書運用の成功に不可欠です。
  • 本記事のテンプレートを参考に、自社に合わせた設計書を作成し、継続的に改善していきましょう。
「あのPC、今誰が使っているんだっけ?」「リモートワーク用の端末設定、手順が担当者ごとにバラバラ…」「管理台帳のExcelファイルが乱立し、どれが最新か分からない」。情報システム部門の担当者であれば、一度はこのような悩みに直面したことがあるのではないでしょうか。端末管理の複雑化は、業務の非効率を招くだけでなく、重大なセキュリティリスクにも繋がりかねません。 この課題を解決する鍵が、デバイスのライフサイクル全体を貫く「端末管理の設計書」です。本記事では、端末の導入・登録(Enrollment)からポリシー適用(Policy)、日々の運用、そして最終的な廃棄までを一元管理するための設計書テンプレートと、その構築・運用のポイントを徹底的に解説します。この一枚の設計書が、貴社の端末管理を標準化し、セキュリティと効率を飛躍的に向上させる羅針盤となるはずです。

なぜ今、端末管理の「設計書」が不可欠なのか?

働き方の多様化やクラウドサービスの普及に伴い、企業が管理すべきPCやスマートフォンなどのエンドポイントは増加の一途をたどっています。こうした状況下で、従来の場当たり的な管理手法は限界を迎えており、体系的な設計書に基づく管理体制の構築が急務となっています。

【課題】Excelでの属人化?端末管理でよくある4つの問題点

よくある課題

  • 管理台帳の属人化と陳腐化: 担当者が個人で管理しているExcelファイルは、その担当者が異動や退職をすると誰も更新できなくなり、すぐに実態と乖離してしまいます。
  • 管理対象デバイスの多様化: リモートワークやBYODにより、オフィス外で利用される端末が増加し、管理の目が行き届きにくくなっています。
  • セキュリティポリシー適用の漏れ: キッティング手順が標準化されていないと、必要なセキュリティ設定が適用されず、脆弱なエンドポイントを生み出す原因となります。
  • 運用フローの非効率性: 導入から廃棄までの各プロセスが分断され、手作業に依存していると、情シス担当者の工数が圧迫され、人的ミスも発生しやすくなります。

設計書がもたらす3つのメリット|標準化・セキュリティ強化・可視化

設計書の主要メリット

  • 標準化による効率化: 誰が作業しても同じ品質のキッティングが可能になり、MDM/UEMツールと組み合わせることで自動化も実現できます。
  • ガバナンスとセキュリティの強化: 全端末に適用すべきセキュリティポリシーを明記し、適用状況を管理することで、組織全体の情報セキュリティレベルを底上げします。
  • ライフサイクル全体の可視化: IT資産の現状を正確に把握でき、遊休資産の発見や計画的なリプレイスによるコスト最適化に貢献します。

【テンプレート付】デバイスライフサイクル管理 設計書の5フェーズ

優れた端末管理設計書は、デバイスのライフサイクル全体を俯瞰できる構造になっています。ここでは、その中核となる5つのフェーズと、各フェーズで定義すべき項目について具体的に解説します。

フェーズ1:導入・登録(Enrollment & Provisioning)

このフェーズは、新しいデバイスを組織の管理下に置くための入口です。ここでのフローが曖昧だと、管理漏れやセキュリティホールが生まれる原因となります。

  • 管理対象デバイスの定義: 会社支給のPCやスマートフォンはもちろん、BYODを許可する場合はその範囲や条件も定めます。
  • 購入申請から納品までのフロー: 誰が承認し、誰が発注・検品するのかを文書化・定義します。
  • 登録(Enrollment): デバイスが手元に届いたら、MDM/UEMツールへ登録します。Apple Business Manager、Android Enterprise、Windows Autopilotといった仕組みを活用すれば、「ゼロタッチ導入」も実現可能です。
  • キッティング手順書の整備: OSの初期設定、必須アプリのインストール、Wi-Fi設定など、必要な作業項目をリストアップし、標準化します。このProvisioningプロセスが導入作業の品質を担保し、効率化を図ります。

フェーズ2:ポリシー適用・運用(Policy Management)

デバイスが管理下に置かれたら、組織のルールである「ポリシー」を適用します。セキュリティ確保とユーザーの生産性のバランスが重要です。

  • 基本ポリシー: パスワードの複雑性、画面ロックの時間、ストレージの暗号化の強制、機能制限(カメラ、USB等)を定義します。
  • セキュリティポリシー: Wi-Fi/VPN設定、電子証明書の配布、OS・アプリの更新プログラム適用ルールなどを定めます。これにより、エンドポイントのセキュリティレベルを一定に保ちます
  • アプリケーション管理ポリシー: 業務に必要なアプリは自動インストールし、リスクのあるアプリや不要なアプリのインストールを禁止します。

これらのポリシー適用は、Microsoft Intune、VMware Workspace ONE、Jamf ProといったUEMツールを活用することで、遠隔から自動で強制的に行うことができ、運用負荷を大幅に軽減します。

フェーズ3:資産・構成管理(Asset Inventory & CMDB)

「どのデバイスが、どこで、誰によって、どのように使われているか」を正確に把握するのが、このフェーズの目的です。

  • IT資産管理台帳の項目定義: 管理番号、利用者名、部署、デバイス型番、シリアル番号、OSバージョン、購入日、リース期間などの基本情報を定義します。
  • インベントリ情報の自動収集: 最も重要なのは、これらの情報を手動ではなく、MDM/UEMツールで自動収集する仕組みを構築することです。これにより、常に最新の正確な情報を維持できます。
  • 構成管理データベース(CMDB)との連携: さらに進んだ管理を目指すなら、CMDBとの連携が有効です。デバイス情報だけでなく、紐づくソフトウェア、ユーザー、ネットワーク情報などを関連付けて管理することで、障害発生時の影響範囲特定などが迅速に行えます。

フェーズ4:例外対応と変更管理

全てのデバイスに画一的なポリシーを適用するのが理想ですが、業務によっては「例外」が必要になるケースもあります。

  • 例外の申請・承認フロー: 開発担当者が一時的に管理者権限を必要とする場合など、例外を無秩序に認めるとセキュリティホールになります。「誰が申請し、誰がリスクを評価して承認するのか」というプロセスを明確に定めます。
  • 理由と期間の記録: 例外を適用する際は、その理由と期間を必ず記録し、期間が過ぎたら元のポリシーに戻す運用を徹底します。
  • 変更管理プロセスの定義: OSのメジャーアップデートなど、デバイス構成に大きな影響を与える変更のプロセスも定義します。事前の影響調査、テスト、ユーザー通知、実行後確認といったフローで、トラブルを未然に防ぎます。

フェーズ5:故障・紛失・廃棄(End of Life)

デバイスライフサイクルの最終段階である、故障、紛失、廃棄のプロセスを管理します。

  • 故障時の対応フロー: 問い合わせ窓口(ヘルプデスク)、切り分け手順、修理手配、代替機の貸し出しプロセスなどを定めます。
  • 紛失・盗難時の対応フロー: インシデント発生時には、MDM/UEMツールで即座にデバイスをロックし、必要に応じて遠隔でデータを消去(リモートワイプ)する手順を確立します。これは情報漏洩を防ぐ最後の砦です。
  • 廃棄時のデータ消去プロセス: リース満了や故障による廃棄の際は、データ漏洩を防ぐためのデータ消去が不可欠です。専門業者による物理破壊や、信頼性の高いデータ消去ソフトの利用など、組織のポリシーに準拠した方法を定義します。
  • 台帳の更新: デバイスが廃棄されたら、必ずIT資産管理台帳のステータスを「廃棄済」に更新し、管理対象から正式に外すことで、ライフサイクル管理が完結します。

設計書を形骸化させない!運用フロー構築の3つのポイント

優れた設計書を作成しても、実際の運用に根付かなければ意味がありません。設計書を「生きたドキュメント」として活用し続けるためのポイントを紹介します。

1. MDM/UEMツールとの連携を前提とする 現代の端末管理では、数百台以上のデバイスを手動で管理することは非現実的です。設計書で定義したポリシー適用、インベントリ収集、セキュリティ対策は、Microsoft IntuneなどのMDM/UEMツールによる自動化を前提に考えましょう。ツールと設計書は車輪の両輪であり、両者を連携させて初めて効率的な運用が実現します。

2. 定期的な棚卸しとレビュープロセスの確立 IT環境は常に変化します。年に1〜2回、管理台帳の情報と実機を照合する「棚卸し」を実施しましょう。また、適用中のポリシーが現状に即しているか、より効率的な運用方法はないか、といった「レビュープロセス」を定例化することで、管理体制の継続的な改善が可能です。

3. 担当者への教育と手順書の周知徹底 設計書は情シス部門だけのものではありません。デバイスを利用する全従業員、人事部門、経理部門など、関係者全員が運用フローを理解・遵守することが重要です。設計書に基づいた具体的な手順書を作成し、いつでも誰でも参照できるようにしておくことも、運用の定着には不可欠です。


【Excel対応】いますぐ使える!端末管理 設計書テンプレート項目例

ここでは、ExcelなどでIT資産管理台帳を作成する際にベースとなる、具体的な項目例を紹介します。これらを基に、自社の要件に合わせてカスタマイズしてください。

基本情報セクション

  • 管理番号(資産番号)
  • デバイス種別(ノートPC/デスクトップPC/スマートフォン/タブレット)
  • ステータス(利用中/保管中/修理中/廃棄済)
  • 利用者名
  • 社員番号
  • 所属部署
  • 役職
  • 利用開始日
  • メーカー名
  • 製品名(型番)
  • シリアル番号
  • OS種別・バージョン
  • CPU・メモリ・ストレージ容量
  • 購入日・購入元・購入金額
  • 資産計上区分(購入/リース)
  • リース会社名・リース開始日・リース満了日

ライフサイクル管理セクション

  • MDM/UEM登録日
  • 最終ログイン日時
  • 最終インベントリ収集日
  • 修理履歴(日付、内容)
  • 廃棄予定日・申請日・承認者
  • 廃棄日・廃棄方法(返却/データ消去後廃棄/物理破壊など)
  • データ消去証明書の有無

ポリシー適用セクション

  • 適用ポリシーグループ名
  • 暗号化(有効/無効)
  • アンチウイルスソフト名・定義ファイルバージョン
  • 例外適用の有無・内容・理由
  • 例外申請日・承認者
  • 例外適用開始日・終了日

構成情報セクション (CMDB連携/インベントリ情報)

  • ホスト名
  • IPアドレス(有線/無線)
  • MACアドレス(有線/無線)
  • 主要インストール済みアプリケーション一覧
  • ソフトウェアライセンス情報(Microsoft Office等)
  • 備考(特記事項)

まとめ

端末管理の設計書は、単なるIT資産の管理台帳ではありません。それは、複雑化するIT環境において、セキュリティとガバナンスを維持し、業務効率を最大化するための戦略的な「羅針盤」です。Enrollmentから廃棄に至るまで、デバイスのライフサイクル全体を可視化し、標準化された運用フローを構築することこそ、現代の情シス部門に求められる重要な役割です。

本記事で紹介したテンプレート項目や運用ポイントを参考に、まずは自社の現状を整理し、小さな範囲からでも設計書の作成を始めてみてください。そして、一度作って終わりではなく、ビジネスの変化に合わせて継続的に改善していくことが、端末管理を成功に導く唯一の道です。


よくある質問(FAQ)

Q1: 端末管理の設計書はExcelで管理できますか? A1: はい、可能です。特に管理対象デバイスが数十台程度の小規模な組織では、Excelは手軽で有効なツールです。しかし、デバイス数が100台を超えてくると、手動更新の限界や同時編集の難しさといった課題が生じます。その場合は、専用のIT資産管理ツールや、MDM/UEMに付属するインベントリ管理機能、クラウドベースのデータベースへの移行を検討することをおすすめします。

Q2: BYODの端末はどのように管理すれば良いですか? A2: BYOD端末の管理は、セキュリティとプライバシーのバランスが重要です。設計書では、BYOD専用のポリシーを別途定義する必要があります。一般的には、MDM/UEMのMAM(モバイルアプリケーション管理)機能を活用し、デバイス全体ではなく、業務で利用するアプリとデータのみを「コンテナ」として分離・管理する手法が取られます。Enrollmentの際には、規約への同意を必須とし、紛失時や退職時には会社データのみを遠隔消去できる仕組みが不可欠です。

Q3: ポリシーの例外はどの程度認めるべきですか? A3: セキュリティガバナンスの観点からは、原則として例外は認めないというスタンスが理想です。しかし、研究開発部門など、やむを得ないケースは存在します。例外を認める際は、「申請・承認フローの厳格化」「リスク評価の実施」「期間の限定」という3つの原則を徹底することが重要です。なぜ例外が必要で、どのようなリスクが発生するのかを明確にした上で、責任者が承認し、その記録を管理台帳に必ず残す運用をルール化しましょう。無期限の例外は極力避けるべきです。

この記事のまとめ
  • 端末管理の設計書は、複雑化するIT環境におけるセキュリティ確保と業務効率化の羅針盤です。
  • デバイスの導入から廃棄まで、ライフサイクル全体を可視化し標準化する運用が求められます。
  • 設計書はMDM/UEMツールと連携し、定期的な棚卸しとレビューで「生きたドキュメント」として活用しましょう。
  • 担当者への教育と具体的な手順書の周知徹底が、設計書を形骸化させないための鍵となります。
  • 本テンプレートを参考に自社に最適な設計書を構築し、継続的な改善を通じて成功へ導きましょう。

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初回公開日:2026年02月13日

記載されている内容は2026年02月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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