退職者のリモートワイプとアカウント停止を同時実行する手順|情報漏洩を防ぐMDM運用とポリシー策定
1分でわかるこの記事の要約 退職時の情報漏洩対策として、貸与端末のリモートワイプとクラウドサービスのアカウント停止が必須...
更新日:2026年01月16日
1分でわかるこの記事の要約 MDM/UEM導入時の現場反発は、技術的な問題ではなく、情シスと現場のコミュニケーション不足が主要因である。 反発を避けるためには、プライバシー懸念、利便性低下、目的不理解という現場の心理を深 […]
目次
MDMやUEMを導入し、全社的なデバイス管理を推進しようとした際、「現場から強い反発を受けて計画が進まない」「社員から『監視されているようで不快』『業務がやりにくくなった』といった不満が噴出している」…そんな悩みを抱える情報システム部の担当者は少なくありません。セキュリティとコンプライアンス強化に不可欠なMDM/UEMですが、現場の理解が得られなければ効果は半減し、運用も形骸化します。この問題の本質は、テクノロジーではなく、情シスと現場のコミュニケーション設計にあります。
本記事では、MDM/UEM導入で起こりがちな「現場反発」の根本原因を3つに分けて分析し、それを乗り越えるための具体的なポリシー説明の方法、合意形成のプロセス、そしてすぐに使える説明テンプレートやFAQまでを網羅的に解説します。
情シス部門が良かれと思って進めるセキュリティ施策が、なぜ現場の社員にとっては「ありがた迷惑」になってしまうのでしょうか。その背景には、典型的な3つの理由が存在します。一方的にルールを押し付けるのではなく、まずは反発が生まれる心理を理解することが、円滑な合意形成への第一歩となります。
現場社員が抱く最大の不安は、「会社にプライベートまで監視されるのではないか」という懸念です。特にBYOD(私物端末の業務利用)を許可している場合、この傾向は顕著です。社員のスマートフォンには、家族とのメッセージ、プライベートな写真など、業務と無関係な個人情報が詰まっています。
MDM/UEMの導入により、これらの個人情報が会社に筒抜けになるのでは、という不安や不信感が反発の根源となります。「業務データしか見ていない」と口頭で説明しても、技術的な詳細がわからないユーザーには、漠然とした恐怖感が拭えません。この懸念を払拭するには、MDM/UEMで「技術的に何ができて、何ができないのか」を具体的に、分かりやすく説明し、プライバシー保護の規程を明確に示すコミュニケーションが不可欠です。
セキュリティ強化策は、多くの場合、ユーザーの利便性とトレードオフの関係にあります。例えば、MDMポリシーによって「複雑なパスコードの強制」「一定時間の自動ロック」「業務外アプリのインストール制限」といったルールが適用されると、日々の業務が煩雑になったと感じる社員は少なくありません。
「一手間増えた」「自由にアプリが使えない」といった小さなストレスの積み重ねが、結果として「情シスは現場の仕事を分かっていない」という大きな不満へと発展します。この反発を緩和するには、セキュリティ強化の必要性を丁寧に説明すると同時に、可能な限り利便性を損なわない運用ルールを検討し、セキュリティと生産性のバランスを取る姿勢を現場に見せることが重要です。
情シスの担当者は、日々新たなサイバー攻撃の脅威に晒され、エンドポイント管理の重要性を痛感しています。しかし、その危機感は必ずしも現場社員と共有されているわけではありません。多くの社員にとって、情報漏洩やマルウェア感染は「自分には関係ない遠い世界の出来事」です。
そのため、なぜ厳格なデバイス管理ポリシーに従わなければならないのか、その根本的な目的や必要性が理解できず、「面倒なルールを押し付けられた」としか感じられません。この認識のギャップを埋めるには、導入の目的を「会社のルールだから」で終わらせず、「巧妙化するサイバー攻撃から会社の資産と、ひいては社員自身の雇用や情報を守るため」といったように、自分事として捉えられる説明を尽くす必要があります。
現場の反発を最小限に抑え、MDM/UEMのスムーズな導入を実現するには、技術的な準備と並行して、計画的かつ丁寧なコミュニケーション戦略が不可欠です。導入決定後に一方的に通達するのではなく、導入前から現場を巻き込み、対話を重ねるプロセスが合意形成の鍵となります。
まず、「なぜ当社はMDM/UEMを導入するのか」という目的を言語化し、明確に定義します。例えば、「リモートワーク環境における情報漏洩リスクの低減」「業界のコンプライアンス要件への準拠」「多様なデバイスの一元管理による運用効率化」など、自社の課題に即した目的を設定します。
そして、この目的について経営層の承認を得て、全社的な方針であることを明確にしましょう。経営トップから「セキュリティ強化は会社の重要課題である」というメッセージが発信されることで、施策の正当性が担保され、現場も「会社としての方針なのだ」と受け入れやすくなります。
一方的な「決定事項」の通達は、最も反発を招きます。本格的なポリシー設計に着手する前に、必ず現場の意見をヒアリングする機会を設けましょう。各部署の代表者や、デバイスの利用頻度が高いユーザー、ITリテラシーに差がある社員層を選んで、グループインタビューやアンケートを実施します。
ヒアリングでは、「現在のデバイス利用で困っていること」「新しいルールで業務にどのような影響が出そうか」といった点を具体的に聞き出します。ここで得られた現場のリアルな声や課題をポリシー設計に反映させることで、「現場を無視したルール」になるのを防ぎ、社員の納得感を高めます。
全社一斉導入の前に、特定の部署やチームを対象としたパイロット導入(試験導入)を実施することを強く推奨します。IT部門など、協力的なチームから始めるのがスムーズです。パイロット導入の目的は、設計したポリシーが実際の業務に与える影響を評価し、技術的な問題点や運用上の課題を洗い出すことです。
この段階で得られたフィードバックを基にポリシーを改善することで、全社展開時のトラブルを未然に防げます。また、参加ユーザーからの「思ったより不便じゃない」「むしろ安心して使える」といった肯定的な声は、他の社員への強力な説得材料となり、導入への心理的ハードルを下げる効果も期待できます。
現場との合意形成で最も重要なのが「説明」の質です。情シスの論理ではなく、現場のユーザーが理解・納得できる言葉で、丁寧に伝える必要があります。
ユーザー向けの説明は、必ず「Why→What→How」の順番で構成します。いきなり「ルール(What)」から話すと、押し付けられている印象を与え、反発を招きます。
1. なぜ(Why):なぜこのポリシーが必要なのか? 背景と目的を最初に伝えます。「最近、取引先を装ったウイルスメールが増えている」「カフェのWi-Fiから情報が盗まれる事件があった」など、具体的な事例を交え、セキュリティ脅威が身近な問題だと伝えます。その上で、「皆さんを、そして会社を脅威から守るために、新しいデバイス管理の仕組み(MDM/UEM)を導入します」と目的を明確に語ります。
2. 何を(What):具体的に何が変わり、何を遵守すべきか? 次に、具体的なルールを説明します。「スマートフォンには6桁以上のパスコード設定をお願いします」「会社が許可したアプリ以外はインストールできなくなります」など、ユーザーが守るべきことを簡潔に伝えます。この際、「LINEや個人の写真はこれまで通り自由に使えます」といった変わらない点も伝えると、ユーザーの不安を和らげられます。
3. どうする(How):もし困ったらどうすればいいか? 最後に、不明点や問題が生じた場合の対処法を案内します。「業務で使いたいアプリがインストールできない場合は、こちらの申請フォームからお願いします」「操作方法が分からなければ、情シスの〇〇まで」など、具体的な問い合わせ先や手順を示すことで、ユーザーを孤立させず、安心して移行できるようサポートします。
説明会を実施する際の、基本的なプレゼンテーション資料の構成案です。自社の状況に合わせてご活用ください。
説明会資料の構成案
説明の際は、「エンドポイント管理」「コンプライアンス」といった専門用語を避け、「スマホやPCの安全対策」「会社の決まり事」のように、誰にでも分かる言葉に置き換えましょう。また、「〇〇を禁止します」という禁止事項の羅列ではなく、「これを導入すれば、カフェや出張先でも安心して仕事ができます」「万が一スマホを落としても、顧客情報が流出するのを防げます」といった、社員一人ひとりにとってのメリットを強調することが効果的です。
説明会だけでは伝えきれない疑問や不安に対応するため、FAQを作成し、社内ポータルなどでいつでも閲覧できるようにしておくことが極めて重要です。ここでは、特に質問が多い項目についての回答例をご紹介します。
A1: いいえ、一切見られませんし、アクセスすることもできません。 MDMの仕組みは、スマホの中に「仕事用の領域」と「個人用の領域」を仮想的に作るものです。会社が管理できるのは「仕事用の領域」にある会社のメールやデータ、アプリのみです。皆様のLINEのやり取り、プライベートな写真、電話帳といった個人領域に会社がアクセスすることは技術的に不可能ですのでご安心ください。
A2: 会社の重要な情報を守るため、セキュリティ上のリスクが確認されているアプリや、業務との関連性が低い一部アプリのインストールを制限しています。ご理解ください。もし、制限されたアプリが業務上どうしても必要な場合は、代替となる安全なアプリをご案内するか、個別にリスク評価の上で利用を検討しますので、まずは情報システム部までご相談ください。
A3: ご不便をおかけし申し訳ありません。指紋認証や顔認証は利便性が高く、私達も利用を推奨しています。しかし、生体認証が利用できない場合に備え、最後の砦として、第三者が容易に推測できない複雑なパスコードの設定をお願いしています。これは会社の情報セキュリティ規程で定められた重要なルールですので、何卒ご協力をお願いいたします。
A4: 個人の端末であっても、会社のメールや顧客情報といった重要な情報資産にアクセスする以上、会社支給の端末と同等のセキュリティ対策が必要です。これは、万が一の事態が発生した際に会社が社会的責任を果たし、事業を継続するためです。そして会社の情報を守ることは、結果的に皆様ご自身の雇用を守ることにも繋がります。この考えにご同意いただけない場合は、恐縮ですが私物端末の業務利用をお控えいただき、会社支給の端末をご利用ください。
作成したFAQは、社員がいつでも手軽にアクセスできる状態にしておくことが浸透の鍵です。社内ポータルサイトの目立つ場所に専用ページを設けたり、社内チャットツールにFAQを回答するチャットボットを導入したりするのも有効です。
MDM/UEMの導入はゴールではなく、運用のスタートです。一度決めたポリシーを固定化せず、ビジネス環境や現場の状況に合わせて柔軟に見直す姿勢が、長期的な成功に繋がります。
導入後、ポリシーによって業務に支障が出ていないか、利用状況や現場からのフィードバックを収集する仕組みを構築しましょう。定期的に利用者満足度アンケートを実施したり、各部署との定例会でヒアリングの時間を設けたりすることが有効です。集まった意見を分析し、ポリシーの改善に繋げていくことで、現場との信頼関係を維持・強化できます。
新しいOSの登場、新たなセキュリティ脅威、ハイブリッドワークの定着など、企業を取り巻く環境は常に変化しています。古いルールのまま運用を続けると、ポリシーが形骸化し、新たなセキュリティホールを生む原因になりかねません。情シス部門は、少なくとも年に一度はデバイス管理に関する規程やポリシー全体を見直し、実態に即した内容にアップデートしていくことが重要です。
MDM/UEM導入時の現場反発は、多くの場合、技術的な問題ではなく、情シスと現場のコミュニケーション不足や認識のズレが原因です。セキュリティ強化という「正しさ」を一方的に押し付けるのではなく、なぜそれが必要なのか(Why)を丁寧に説明し、現場が抱える懸念や不満に寄り添う姿勢が不可欠です。
導入前から現場の声をヒアリングし、双方向の対話を重ねることで、セキュリティポリシーを「押し付けられたルール」から「みんなで会社を守るための共通の約束事」へと変えることができます。本記事でご紹介したテンプレートやFAQをたたき台として、ぜひ自社の状況に合わせたコミュニケーションプランを設計し、現場と一体となったエンドポイント管理を実現してください。
記載されている内容は2026年01月16日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
1分でわかるこの記事の要約 退職時の情報漏洩対策として、貸与端末のリモートワイプとクラウドサービスのアカウント停止が必須...
1分でわかるこの記事の要約 パッチ適用率の向上には、状況の「見える化」と明確なKPI設定、役割分担の徹底が不可欠です。 ...
1分でわかるこの記事の要約 Excelによる手入力のIT資産管理は、情報陳腐化やセキュリティリスクを招き、現代では限界を...
1分でわかるこの記事の要約 ABM/ASMは、Apple端末の法人管理を効率化し、運用の負担を軽減する無料Webポータル...
1分でわかるこの記事の要約 構成プロファイル運用の安全には、厳格な変更管理とロールバック計画が不可欠である。 変更管理は...

履歴書の「趣味特技」欄で採用担当者の心を掴めないかと考えている方もいるのではないでしょうか。ここでは履歴書の人事の...

いまいち難しくてなかなか正しい意味を調べることのない「ご健勝」「ご多幸」という言葉。使いづらそうだと思われがちです...

「ご査収ください/ご査収願いします/ご査収くださいますよう」と、ビジネスで使用される「ご査収」という言葉ですが、何...

選考で要求される履歴書。しかし、どんな風に書いたら良いのか分からない、という方も多いのではないかと思います。そんな...

通勤経路とは何でしょうか。通勤経路の届け出を提出したことがある人は多いと思います。通勤経路の書き方が良く分からない...