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更新日:2024年09月05日
「肝いり」の本当の意味をご存知ですか。「これは社長肝いりの案件だ」といった使い方をしている人は、もしかしたら、この言葉を誤解しているかもしれません。この記事では誤解されがちな「肝いり」の意味や語源、正しい漢字表記について解説しています。ぜひご覧ください。
「聞いたことはあるけど、意味はうまく説明できない」 「実は、なんとなく使っている」 「『肝煎り』と『肝入り』って両方見かけるけど、どっちが正しいんだろう」 日常生活やビジネスの場でしばしば「これは社長肝いりの案件だ」といった言葉を聞いた覚えのある人は多いでしょう。 ですがその意味を正確に理解している人は、実は少数派かもしれません。 今回はこのような疑問を持った方のために、「肝いり」の正しい意味や漢字表記、使い方や注意点などについて解説します。 この記事を読んでいただけば、なんとなくの理解で使われがちな「肝いり」という言葉を本来の意味で正しく使えるようになります。 目からウロコが落ちるような再発見があって、もっと日本語に興味が持てるようになるかもしれません。 ぜひ、最後までご覧ください。
「肝いり」にはおもに以下4つの意味があります。
「社長肝いりの案件」「首相肝いりの政策」といった使い方をする場合、あまり「双方の間を取りもって」というイメージがないため、驚いた方も多いのではないでしょうか。 なお、現代においてはほとんどの場合1の意味で使われ、2~4の意味で使われることはまずありません。 ただし、2と3の意味は後述する「肝いり」の語源に関わってきますので、覚えておいて損はないでしょう。
「肝いり」という言葉の由来は、江戸幕府の役職名にあるといわれています。 江戸幕府には、「高家肝煎(こうけきもいり)」という役職があり、高家(江戸幕府において儀式や典礼を司る役職)の中でも、まとめ役といえるポジションでした。 詳しくは後述しますが、「肝いり」が地位・権力のある人に対して使われるニュアンスを持つのは、ここが関係しているようです。 また「肝いり」という言葉は、「町の代表者」「皆の世話役」を指す言葉としても使われていました。「世話役・仲介役(またはその行為)」の意味は、ここから生まれたようです。
この項目では、「肝いり」の正しい漢字表記について解説します。 「肝煎り」と「肝入り」どちらの漢字表記も見かけることがあります。そのため、いままで意識して区別していなかった方も多いでしょう。これまで無難に「肝いり」と書いていた人もいるかもしれません。 ぜひ正しい漢字表記を確認してみましょう。
語源と漢字の意味からして、本来は「肝煎り」が正式な漢字表記です。 語源については先ほど触れたとおりです。 では「肝」と「煎」の漢字のそれぞれの意味について、見ていきましょう。 「肝」は内臓(特に心臓や肝臓)を表します。(また、そこから転じて「物事の重要な部分」という意味もあります。) 「煎(る)」は、「材料を火にかけ、動かしながら水気が少なくなるまで熱する」ことを意味します。 実際にやってみるとわかりますが、焦がさないよう水気がなくなるまで材料を熱するためには、注意深さと根気を必要とします。 つまり、「肝煎り」という表現は、心臓を煎るように注意深く、大変な思いで、人の世話をすることを意味する言葉なのです。 こうして考えると「社長肝煎りの案件」に対する、社長の苦労も垣間見えるような気がしてきますね。
一部の辞書には、「肝煎り」に加えて「肝入り」が併記されているものがあり、どちらを使っても問題ないというのが結論です。 これは、意味を勘違いした人が「肝入り」の表記を誤って使うことが多々あったため、時代とともに「肝入り」の表記が市民権を得たためです。 「社長肝入りの案件」と書くと、「社長が自分の心臓を込めた案件」といったようにも見えますね。 このような使い方をするときは、ひょっとするとこちらの表記の方がしっくりくる人もいるかもしれません。(辞書に掲載された本来の意味ではありませんのでご注意ください) ちなみに、これと似た有名な事例として「重複」の読み方があります。 元々は「ちょうふく」と読んでいましたが、「じゅうふく」と誤読する人があまりにも多く、いつしか「じゅうふく」も正しい読み方として定着しました。 このように日本語の意味や使い方は、時代の流れとともに変化していくものなのでしょう。
この項目では「肝いり」の使い方をご紹介します。 日常生活やビジネスの場でもしばしば耳にする言葉ではありますが、使い方に特徴があります。 この項目を参考に、使い方を確認してみましょう。
「肝いり」という言葉は、仲裁役が人同士(あるいは組織同士)の間に立ち、あれこれと気配りをして仲介や世話を焼く行為を表します。 双方の友人や弁護士など、フラットな第三者の立場の人が間に立って、双方が良好な関係を築けるように世話を焼くようなイメージです。 本来辞書に載っている意味の、プラスなイメージを与える使い方です。
記載されている内容は2022年10月03日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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