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更新日:2024年09月15日
レーサム元会長の田中剛氏は、不動産の流動化に先鞭をつけた存在です。こちらの記事では、レーサム会長時代に田中剛氏が手掛けてきたプロジェクトなどを紹介します。不動産業界に変革を起こした株式会社レーサムの取り組みをぜひご覧ください。
目次
不動産会社の株式会社レーサムが創業30周年を迎えました。レーサムはバブル崩壊の1992年に元会長の田中剛氏が会社を設立し、独自のビジネスモデルを築き上げながら邁進してきました。 レーサムは時代の中で価値を失いつつある不動産を買い取り、常識に囚われない視点で大規模改修などを施して再生し、新たな価値を創出するという非常に独特な投資を実行しています。 そしてその物件を投資用として富裕層向けに販売するのがレーサムのビジネスモデルなのですが、そこでさらにユニークなのは、レーサムが提供するのはあくまで「資産運用サービス」で、投資用物件を顧客に販売したのちも資産管理を引き受け、顧客の要望に応えながら価値の創出を持続していく点です。
レーサム元会長の田中剛氏は創業の動機について、「日本においては土地本位の取引が大半 であったことから、建物の二次流通がほとんど機能していないことが大きな社会的損失であ ることを訴え、その市場を自ら創り上げるべく当社を設立しました」と述べています。 また同時にバブル崩壊によって不良債権問題が立ちはだかりましたが、レーサムの田中剛元会長は「その解決なくして市場は生まれないと思い、自らが不良債権の買主となることによって」荒波を乗り切り、「不良債権の回収能力や、担保不動産の処理能力を体得するにいたりました」と、逆境でさらに力を付けたことを回顧しています。 日本は1980年代後半のバブル景気で地価が高騰し、土地神話が生まれました。銀行は土地があれば融資を行い、レーサムの田中剛元会長の言葉のように「土地本位」で経済が回っていました。 ところがバブル景気が崩壊し、巨額の融資が返済できず経営危機に陥る企業が出てきます。銀行は担保の土地を売って融資の焦げ付きを穴埋めしようとするものの、地価が暴落し売るに売れません。こうして、売れない土地は不良債権と化しました。 そんな中で田中剛元会長率いるレーサムは、一つひとつの不動産の利用価値から適正時価を見極めて取得し、物件の価値を引き出して販売することで収益の機会を得ていきます。
レーサム元会長の田中剛氏は、「『そもそも買えない』、『そもそも売れない』また『手間がかかる』と思われるものを、『自ら買って、直し、適正価格で売る』というプロセスを繰り返すことで、利益を自ら創造」してきたと語ります。 その一つのハイライトと言えるものが、2000年のレーサムによる日本初のSPC法を活用した国有財産の証券化でしょう。財務省による証券化前提の国有財産(不動産)の入札で、レーサムはマンションなど建物付き不動産8件を落札しています。 日本で不動産の証券化=流動化は、不良債権処理の施策で一気に浸透しました。SPC法は1998年に制定された「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」の略称で、資産を小口化して投資家に提供する不動産証券化の根拠法です。 国は銀行が保有する土地担保付きの貸付債権=不良債権を買い取る「共同債権買取機構」を1993年に設立しており、さらに売れない不動産の売買を活性化させる目的で2001年に新たな市場を作りました。 これが不動産投資信託、いわゆる「Jリート」です。レーサム元会長の田中剛氏は、こうした不動産の流動化に先鞭をつけた存在なのです。 その一方で、レーサムはこうした証券化の流れから一歩身を引く不動産会社となります。2000年に中断したのち、一時再開するものの、ハイレバレッジ、短期投資はレーサム流ではない、という田中剛元会長の判断から、2011年には新規の組成を取り止めています。 レーサムは市場や不動産ファンドがそのままでは投資対象としづらい物件を、田中剛元会長の言を借りれば「既成の概念の間に埋もれている新しい価値を見出し、それを徹底的に調査して実現させていく」ことで付加価値を高めて販売するビジネスに、さらに注力していきます。 Jリートや不動産私募ファンドが台頭した当時は、不動産の流動化が進み、首都圏の地価は上昇したものの、証券化は金融商品化しやすい大型物件に集中しており、その限られた投資対象に資金が集中し、価格高騰を生むというアンバランスな構造となっていました。 そうした状況についてレーサム元会長の田中剛氏は、「相場に乗って短期的な利益を追求することはある意味簡単ですが、それでは日本の不動産を本質的に改善することにはなりません」と指摘しました。 そして「われわれは『バブル』から学び得たことを今後、実践に反映して参りたいと思います」とも発言しています。 バブル崩壊のきっかけは1990年に大蔵省(当時)が出した「不動産融資の総量規制」とされますが、その原因となると意見は分かれます。人口ボーナスである団塊世代の住宅購入ブームが沈静化し、需要が続かなくなったためだという説もあります。 地価が投資目的で実体とはかけ離れた価格であったためバブルが崩壊したとするなら、逆説的には不動産業界は実体としての価値を向上させなくてはいけなかったはずです。 不動産の継続的な価値創造は、いま正にレーサムが取り組んでいることだと言えます。
レーサム元会長の田中剛氏は「価値創造は、相場とは一線を画し、人間の能力と同様、一つひとつに集中して取り組むことで生まれます」と説明し、自社の資産運用事業について「地価の上昇に頼ることなく、むしろそれを凌ぐ価値の創造を目指してまいります」との決意を表明しています。 またレーサムの田中剛元会長は、自社が牽引してきた「不動産資産を投資商品として捉える視点」は「現在では金融マーケットにおいても大きなトレンドといえる状況になっている」と分析。 それでも「このような市場環境において、当社は安易にマネーゲームに走るのではなく、いかに企業として『事業力』を高めていくということが大事であるという強い認識をしております」と、「事業力」を追求する姿勢を強調しています。
田中剛元会長は「収益を上げることが事業なのではなく、その事業が社会から必要とされる ことであれば、自ずと収益はあがってくる」と考えているそうです。 また「『不動産を取得することは、不動産に付加価値を付けられること』であり、『不動産を販売することは、不動産を購入して頂けるお客様をつくること』である」という考えも示しています。 レーサム元会長の田中剛氏のこうした考えは、「7つのレーサムイズム」として現在も受け継がれています。 1.真にお客様のためになる不動産は、社会の優良資産にもなる。真に社会のためになる不動産は、お客様の優良資産にもなる。 2.過去の成功体験を捨て、未来からの逆算で考える。そうしなければ、社会に必要とされ、かつ資産価値を生む不動産は創れない。 3.紋切り型を排する。お客様×物件の数だけ理想形がある。1件1件オートクチュール。社内の知を結集し、理想を実現する。 4.”面倒”を厭わず、むしろみずから”面倒”に突っ込む。”面倒”の先にこそ、新しい価値が生まれる。 5.安易なスクラップ&ビルドは、文化と社会を破壊する。受け継ぐべきものを受け継ぐために、全力を尽くす。 6.売って終わりは、お客様と街に失礼。中長期の価値向上に尽くしてこそ、レーサムの仕事である。 7.お客様との信頼関係、地域・社会との信頼関係、そして社員同士の信頼関係。レーサムにとって、これ以上に大切なものは存在しない。 現在レーサムは、事業のセグメントを「資産価値創造事業」「資産価値向上事業」「未来価値創造事業」の3つに整理しています。 「資産価値創造事業」は潜在力のある築古不動産を買い取り、未来の社会を構想して必要とされる用途変更や改修を施し、顧客である富裕層に投資用物件として提供する事業です。 「資産価値向上事業」は、顧客に提供した物件の資産価値を維持向上させる事業で、将来に向けた価値向上プランの提案なども随時行っています。 「未来価値創造事業」は社会課題の解決に事業を通して取り組むもので、ここで得た経験は資産価値創造事業、資産価値向上事業に反映されていきます。 それでは元会長の田中剛氏が創業したレーサムが、どのようにして不動産価値の創造に取り組んでいるのか、「資産価値創造事業」の詳細を見てみましょう。
レーサムの資産価値創造事業では、中古の不動産を買い取り、用途変更や大規模改修を含む抜本的な改良を自社負担で行い、新しい時代における不動産価値を創造します。そして顧客である富裕層に、資産運用のための物件として提案します。 レーサムでは「過去の成功事例を未来に敷衍することは、完成時点ですでに陳腐化している危険がある」という田中剛元会長の教えを元に、「未来の社会を構想し、そこに必要とされる不動産を生み出す」ことを目標として、プロジェクトごと100%オートクチュールで企画を立案します。 また、物件単体で構想を練るのではなく、コミュニティ、自治体、地域文化、環境保全といった視点で多角的に考慮し、街全体にとって意味のある不動産の創出を目指します。 資産価値創造には、実のところ権利調整や用途変更などで、様々なハードルが存在します。レーサムには多種多様なスペシャリストが存在し、そうしたスペシャリストの知識・経験を総動員し、価値を具現化していきます。レーサムは、そのノウハウと実績は国内随一だと自負しています。 そうした価値創造の結果、多くの物件で近隣標準を上回る家賃や高い稼働率等を実現し、レーサムはそれらの投資用物件を購入した顧客と、長期にわたり良好な関係を継続しています。 主な物件規模は10億円から100億円で、商業施設・オフィス・マンション・宿泊施設・教育施設など、幅広い分野をカバー。個人富裕層の顧客を中心に、法人とも取引しています。 なお、レーサムが手掛ける物件には大型プロジェクトもありますが、主なターゲットは都内を中心とした中小物件です。特に築年数が古いオフィスビルがターゲットとなる事例が多く 見られます。 延床面積300坪以上の主な用途がオフィスであるビルについての調査(※)では、東京23区のオフィスビルは2022年末時点で、賃貸面積ベースで1,298万坪あるとされています。 うち延床面積300坪以上5,000坪未満の中小規模ビルは607万坪で、全体の47%に当たります。なお棟数ベースでは東京23区全体で9,378棟、うち中小規模ビルが8,620棟(92%)で、ストックの大部分は中小規模ビルとなります。 都内のオフィスビル全体の平均築年数は32.9年となっており、規模別では中小規模ビルが33.6年、大規模ビルが24.9年と、築30年以上の古い中小規模ビルが増加していることがわかります。 この数値はレーサムのビジネスモデルが、今後益々必要とされる可能性を示しています。 (※https://soken.xymax.co.jp/2022/01/12/2201-stock_pyramid_2022/)
レーサムの価値創造の事例として、注目すべき物件を紹介します。 ・レスピール三鷹:「リファイニング手法」により寄宿舎を最新の賃貸マンションに再生吉祥寺・三鷹エリア、井の頭公園の南にある住宅街に立地する築44年の寄宿舎を、レーサムは解体することなく最先端の手法で全面刷新し、最新の賃貸マンションとして生まれ変わらせました。 「リファイニング手法」は、既存構造躯体の約80%を再利用しながら、耐震性能を建物の軽量化や耐震補強によって現行法レベルまで向上させ、建て替えの約60~70%のコストで内外観とも新築と同等のクオリティを実現できる新しい手法です。 大胆なデザインの転換や用途変更が可能で、廃材も大幅に削減できるなど、利点は多岐にわたります。 リファイニングは新しい手法なので、現状では完成後に当局から検査済証を取得できない可能性も少なからずあります。そのため施工事例は極めて限られています。 しかしレーサムの田中剛元会長の思想を受け継ぐレーサムは、そうしたリスクがあっても、日本社会の将来を見据え、あえて積極的に採用しています。 中古不動産がリファイニングにより、機能的・耐震的に新築と同等な存在と扱われるようになれば、既存建築ストックの有効な活用が期待できます。 また建築物が長寿命化し100年、200年と使い続けられることが可能になれば、土地ではなく、建築物そのものが価値を保ち続けることもできるのです。
記載されている内容は2022年08月02日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
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