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【業界研究】ネット広告業界の現状・動向・課題について

更新日:2024年11月12日

業界・企業研究

2014年のインターネット広告(ネット広告)市場ははじめて1兆円を超え、それにともないたくさんの企業が参入しているのがこのネット広告業界になります。

そのなかでも、スマートフォン広告市場は2014年で3450億円と推定され、ネット広告費の約30%を占めるようになりました。広告効果をモニタリングできるようになったことが広告主のニーズに合い、数字の伸びにつながりました。

東京オリンピックがある2020年には、スマートフォン広告市場は7000億円を超えると予想されています。

業界の課題

レッドオーシャン化の恐れ

1兆円の市場規模を超えたネット広告業界ですが、その上位企業のほとんどがこの市場全体の拡大に引っ張られる形で売上を伸ばしているため、何らかの変化でネット広告業界全体が一気に変容してしまうという危険性も存在しています。

そしてネット広告業界自体の好調を受けて、多数の企業が参入しており、市場がレッドオーシャン化(競争が激しくなること)する恐れも心配されています。

出稿業種がいつも同じ

2014年は、予約型広告に代表される枠売り広告が一般運用型広告に取って替わられるという動きになったものの、広告主が自社のブランドイメージを訴求する目的で活用する大型広告やリッチ型広告が目立って出稿されました。

ただし、このバナー広告の出稿業種は「IT業種」と「製造業」で全体の約半分を占めており、ここ数年その業種に変化がないとも指摘されています。

具体的には、ネット広告(バナーおよび動画広告)の出稿動向はIT業種623.0億円、製造業308.7億円、その他のサービス302.9億円、住宅・不動産168.5億円、メディア144.0億円、小売専門店125.5億円、金融・保険業92.7億円、その他66.5億円となっています。

つまり、いつも同じような企業の広告ばかりが表示され、広告主と消費者の双方にとってメリットのない状態になってしまっているので、もう少し幅広い業種に出稿してもらえるように改善していかなくてはいけないということになります。

業界の今後の将来性

動画配信サービスが根付くかどうか

ネット広告の進化にともなって、その媒体も変化するなか、2015年に地上波民放キー局が共同で開始した見逃し番組配信サービス「TVer」が注目を集めています。そして、Netflixも日本でサービスを開始しました。

インターネット動画の普及で、消費者の視聴がテレビの付加価値向上に結びついていくのかどうか、そういった流れのなかでネット広告が正確に機能するのかどうかが動画配信サービスの成功不成功を含めて、大きな鍵となっています。

企業のマーケティングに対応していけるか

日本の広告市場は約6兆円の規模であり、大別すると「マスコミ4媒体」「インターネット」「プロモーションメディア」の3カテゴリーで構成されています。企業の広告費に上限はあるので、結局この3つのカテゴリーのなかで分配しているだけに過ぎず、大きな伸びしろを見出すことが難しい状況であることは否定できません。

各企業が持つ多様化するマーケティングの課題を、ネット広告会社がさらに適切な手法で解決することができれば、企業の広告費の上限そのものを引き上げることも可能となり、そうすればネット広告業界全体でさらなる市場へ邁進することもできるようになるでしょう。

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