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【業界研究】運送業界の現状・動向・課題について

更新日:2024年06月29日

業界・企業研究

運送業界を誰にでも分かりやすく説明すると、物を国内外へ運ぶ会社、と言うことができます。物を運ぶ手段には、トラック、鉄道、航空機、船などの種類がありますが、多くの割合をトラックが占めています。

運送業界全体の平均年収は約514万円という水準ですが、運送業者の9割以上は地域に根ざした小規模な会社が多いためです。上記を見て頂ければ分かる通り、運送業界の有数企業は比較的高い年収であるともいえるでしょう。

3の日立物流、2の近鉄エクスプレスは比較的多い給料をもらえます。ディングスは、センターこのように大手どころは荷物の元請けであることもあり、利幅を確保できる位置にあることから、多い給料を社員に支払えるようになっているとも言えます。

業界の動向

動向1:市場動向

運送業界を語るうえで欠かせないことは、国内物流の輸送においては、トラックによる運送が6割以上を占めていることです。そのため、このトラックによる運送の動向が業界全体に及ぼす影響が大きいことになります。

運送業界は、消費者の消費動向に密接に関連してきます。東日本大震災の買い控えの影響で、運送業界は一時的に業界の売上が下がりましたが、今般のインターネット通販の勃興によって上昇傾向が続いているとも言えます。

これまでトラック運送は、国内の経済成長を糧に発展してきました。それによって、経済活動には欠かせない存在にまでなりましたが、いわゆる物流2法という法律の施行がされてからは、免許制から許可制に移行し、それが原因で競争が一気に激化しました。

物流2法は、貨物運送取扱事業法と貨物自動車運送事業法の2つを合わせて呼ぶ通称で、自動車運送事業の事業行為を規定する法律です。この法律の制定によって新規参入が容易になったことに加えて、トラックの燃料である軽油の価格高騰が原因で、一つの荷物を運ぶことに対する利益の幅がどんどん少なくなってきています。

さらに追い打ちをかけるように、送料無料、全国一律料金などと謳うインターネット通販業者のプロモーションによって、荷物を出す人への価格転嫁ができず、運送業者へのしわ寄せが益々加速してきています。

しかし、このインターネット通販業者の拡大による荷物量の増加で恩恵を受けている面があるので、運送業界としては何とも言えない状況になっています。

動向2:業界の課題

運送業界が抱える重要な課題はいくつかありますが、そのひとつが物流2法の制定による参入障壁の低さがもたらした、競争過多です。運送事業を運営するには、許可を得られればすぐに営業を開始ができるようになったことから、参入してくる業者がどんどん増えて荷物の取り合いになってしまっている現状があります。

その証拠に、大型トラックの運転手というのはこれまで比較的稼げる職種として考えられていましたが、熾烈な価格競争による運送料金の低価格化によって、以前ほどとは言えなくなってしまいました。

そして、競争過多に陥っているにも関わらず、運送業界というのは他社との差別化をすることが難しい業種と言われています。運送業者は預かった物を管理して、届け先に運ぶ仕事です。

そのロジスティクスの部分などには業界独自のノウハウがありますが、各社ごとに大きく異なった特色があるという業界ではありません。よって、他社との競争はノウハウや技術ではなく安易に価格競争になってしまい、自分で自分の首を締めるような状況に陥ってしまう問題もあります。

運送業界の利益を圧迫している要因は競争過多だけでなく、荷物の再配達という業界独特の問題もあります。荷物を届けに行った際に不在にしていると、業者は再度配達に行かねばならず、それが利益を大幅に圧縮しているのです。

この再配達という制度は日本だけで、海外の他の国では不在にしていた場合はユーザーが自ら運送業者の拠点に取りに行くことが当たり前となっています。しかし、きめ細かいサービスを展開する日本の運送業界は、再配達という制度を導入し、この過剰なサービスが業界を苦しめてしまっています。

過剰な競争原理が働いている運送業界ですが、増え続ける荷物に対するドライバーの数は年々減少してきており、慢性的な人材不足に悩まされています。特に、長距離輸送を担う大型トラックのドライバーはかなり不足しています。

給料が低くなったのにも関わらず、過酷な労働をあえてしようという人が減ってきており、さらにドライバーの高齢化が進んでいて、将来の運送を担う若い人材の確保が難しくなってきています。人材をいかに獲得し、獲得した人材をどう留まらせるか、ということが運送業界全体の課題になっています。

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