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「いろはにほへと」から始まるいろは歌とは?歴史や由来も紹介

更新日:2024年02月21日

言葉の意味・例文

「いろはにほへと」から始まる「いろは歌」を知っていますか。本記事では、いろは歌にまつわる歴史や由来、いろは歌の作者の謎などをご紹介します。いろは歌に興味がある方や、いろは歌を覚えたい方は、是非この記事をチェックしてみてください。

「いろはにほへと」と言えば、「いろはかるた」を思い浮かべる方もいるかもしれません。「いろはかるた」は、江戸時代後期に広まったとされるかるたの一種で、いろは歌の47字に「京」の文字を加えた48字で構成されています。 いろは歌やいろは順をご存知の方は、いろはかるたでは「いろはにほへと」の並びの最後に「京」の字が加えられていることに疑問を抱いたことがある方もいるのではないでしょうか。現代に伝わるいろは歌は47字であるものが主流ですが、実は、鎌倉時代頃には「京」の字を加えた48文字のいろは歌があったという文献が残されています。 47字で成り立っているいろは歌に、なぜ「京」の文字が加えられたのでしょうか。 いろは歌に「京」の文字が加えられた理由には諸説あります。一説には、いろは歌は47文字すべてが直音で構成されているため、子供に拗音の発音を覚えてもらうために「京」の字を加えたと言われています。手習いのために伝わったと言われるいろは歌らしい理由ですね。

文献上最古の用例としては「金光明最勝王経音義」

いろは歌が確認できる最古の文献は、平安時代に成立した「金光明最勝王経音義(こんこうみょうさいしょうおうきょうおんぎ)」です。 「金光明最勝王経音義」は、「金光明最勝王経」という仏教の経典の発音や意味を解説したもので、いろは歌は経典を読む際のアクセントやトーンの参考として用いられていたと考えられています。 「金光明最勝王経音義」の成立が承暦3年(1079年)であることや、いろは歌の構成に平安時代に流行した「今様(いまよう)」という歌の形式が用いられていることから、いろは歌は10世紀末~11世紀中ごろまでに作られたものと推測されています

現代でも用いられている

いろは歌として伝わってきた「いろはにほへと」で始まる47字の文字の並びは、現代でも「いろは順」として用いられています。 また、いろは歌の最初の三文字である「いろは」は、現代では物事の初歩や基礎を表す言葉としても使われています。 紅葉で有名な栃木県日光市の「いろは坂」もいろは歌から付けられた名前です。このいろは坂は、初期の頃に48箇所のヘアピンカーブがあったことから命名されたと言われています。道路整備が進んだ現代でも、下り専用の第一いろは坂と上り専用の第二いろは坂を合わせて48箇所のカーブで構成されており、カーブにはそれぞれ「いろはにほへと」の順で標識が付けられています。

いろは歌が作られた理由は?

様々な場面で用いられてきたいろは歌ですが、実際のところ、一体何のために作られたのかは解明されていません。 ここからは、いろは歌が作られた理由についていくつかの説を紹介します。

手習いのために作られたという説がある

いろは歌が作られた理由の一説に、手習い、つまり字の練習のために作られたというものがあります。 これ明治時代の国語学者・大矢徹によって唱えられたもので、この説によると、作ったのは仏教の僧侶で、子女の字の練習のついでに自分の宗派の教えを広めようとする狙いがあったとされています。 この大矢による説が主流となり、いろは歌は手習いのために作られた歌であるというのが流布されています。しかし、いろは歌が確認できる最古の文献である「金光明最勝王経音義」の用例とは異なることから、この説を否定する見方もあるようです。

中国語のアクセント練習のために考案された説もある

いろは歌は漢字音のアクセントを習得するために作られた歌であるという説を唱える学者もいます。 最も古いいろは歌とされる「金光明最勝王経音義」のいろは歌は漢字で記されたものであり、その漢字一つ一つにアクセントを示す声点が付いています。このことからいろは歌は、声点に従って口ずさむことで、中国語独特の抑揚を身に付け、漢語の声調を習得するために作られたとする説が生まれたようです。 またこの説では、いろは歌が七五調であることや47音が重複しないことについても、七五調が漢語のリズムを身に付けるうえで都合の良いまとまりであり、音を重複させないことでどの音が高いか低いかを明確にする意図があったという理由が付けられています。

いろは歌の覚え方

ここまで、いろは歌の歴史や由来を紹介してきました。いろは歌への理解が一層深まったのではないでしょうか。 ここからは、いろは歌を覚えてみたいという方に向けて、いろは歌の覚え方を紹介します。小学校や中学校の国語の時間に覚えたという方もいるかもしれません。小学生でも覚えることができるのですから、難しいことはありません。肩の力を抜いてチャレンジしてみてください。 まず一つ目の覚え方は、リズムよく何度も口ずさんでみることです。いろは歌は七五調の繰り返しで構成されているので、口馴染みが良く、慣れてくるとテンポよく読めるようになります。何度も口ずさんだ歌を自然に覚えることができるように、いろは歌も何回か口に出して読んでみると、自然と諳んじることができるようになるでしょう。 二つ目の覚え方は、漢字に置き換えて、意味や風景を想像しながら覚えることです。漢字に置き換えたものをもう一度見てみましょう。 色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔いもせず 漢字にするとシンプルでわかりやすく、風景のイメージが湧きやすくなったのではないでしょうか。ひらがなのいろは歌との大きな違いは、濁音があることや「ゐ」「けふ」「ゑ」などの歴史的仮名遣いが見えなくなったことです。 色(いろ)は匂(にほ)へど 散(ち)りぬるを 我(わ)が世(よ)誰(たれ)ぞ 常(つね)ならむ 有為(うゐ)の奥山(おくやま) 今日(けふ)越(こ)えて 浅(あさ)き夢(ゆめ)見(み)じ 酔(ゑ)いもせず 漢字にフリガナを振ってみると上のようになります。漢字の現代読みで韻やリズムを覚えてから、歴史的仮名遣いのいろは歌を覚えるのもいいかもしれません。

天才的な作品といえるいろは歌

ここまで、47文字を重複させることなく組み合わせ、意味を持った歌詞として成立させている稀有な歌であるいろは歌を紹介してきました。 日本人には馴染みの深い「いろはにほへと」には、単なる仮名手習いの見本では収まりきらない、深い意味とミステリアスな魅力があります。 いろは歌から派生した少し怖い都市伝説や、実は暗号が隠されているのではといった説がまことしやかに囁かれるようになり、現代でもいろは歌が色あせることはありません。 いろは歌を覚えているという方も、これから覚えてみたいという方も、いろは歌の情景を思い浮かべながら、諳んじてみてください。

初回公開日:2018年01月28日

記載されている内容は2022年11月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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