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更新日:2024年07月12日
いつのまにか、使われなくなった「父兄」という言葉。なぜ使われなくなったのでしょう。父兄という言葉が生まれた背景とともに考察してみました。現在、「父兄」の代わりに使われている言葉や、「父兄」以外にも姿を消しつつある言葉についても調べています。
目次
「父兄」は放送禁止用語のひとつです。ただ「放送禁止用語」というのは、テレビやラジオ等、マスメディアにおいて、何らかの理由で「差別用語として使用が禁止されている言葉」を指すもので、法律で明文化されたものではありません。あくまでも「放送事業者の自主規制」によるものです。 テレビ番組などのCM明けや終了間際に、「番組放送中に、不適切な発言がありましたので、お詫びいたします」というコメントが出されることがありますが、番組中に出演者が、意図せず「放送禁止用語」を使ってしまったための「お詫び」になります。 「父兄」は、男女差別につながるという観点から「放送禁止用語」とされ、「保護者」または「父母」「親」など、その場に合った言い方を使うことが推奨されています。
「父兄」は、男尊女卑を連想させるからという理由で、使われない言葉になってきました。ほぼ全部の保育園、幼稚園、学校が「父兄会」ではなく「保護者会」を使っています。「父兄の皆様」と公の場で口走ってしまうと後からクレームやバッシングが待っていることもあります。 またシングルマザー、シングルファーザーも家庭の子どもに配慮し「父の日」「母の日」ではなく「父母の日」としているところもあります。両親ともおらず祖父母の家や施設で育っている子に配慮して「保護者の日」としているところもあります。
父兄という言葉ができたのが、戦前だったと言われています。男尊女卑思想自体は、江戸期代に女は刀を持つこと、侍になることを禁じられたことから存在していたのですが、言葉になったのは、もう少し先です。 戦前は男尊女卑が激しく、今では当たり前にある選挙権すら女性には与えられていませんでした。女性が参政権を持ったのは1946年のことです。女性に選挙権が与えられていないような時代は、子供に何かあった時に学校が一番に伝達・相談するのがその家庭の男子である、父兄でした。 一家の長は父、その父が亡くなった時は長兄が跡を継ぐこととされ、妻や娘など女性は男性に従うべきものと位置づけられていました。女性の地位は低いため、学校の保護者といえば男である父や兄とされてきたのです。
「保護者」が一般的です。性差別は感じられませんし、「保護者」は祖父母や叔父叔母など、子どもに責任を負う全ての人を指しています。父母という言葉も使うことがありましたが、親を亡くしていたり、離婚家庭の増加から離婚して父親か母親どちらかと住んでいる子に配慮して、現在は使わない傾向にあります。 学校からの配布物も、宛名が「保護者各位」「保護者の皆様」が多いでしょう。幼稚園や保育園では「おうちのかたへ」と書くところもあります。
卒業式や入学式の案内板には、「御父兄」と書かれていることもあります。保護者に「御」をつけると「御保護者様」になってしまうので使いにくく、入学式(入園式)や卒業式(卒園式)の規制は緩い印象があります。
漢文では、父兄は「ピンイン」と発音します。「父兄」の意味は①父と兄②家長、年長者となり、日本の「父兄」とあまり変わりはないように見えます。 しかし、②の意味において、中国の「家長」は必ずしも女性を排除したものではなく父親も母親も家長という認識で使われています。中国には「保護者」という言葉はありません。父兄会、日本でいうところのPTAは中国にもありますが、母親も父親も積極的に参加しています。 入試問題によく出題される項王の最期ですが「縦江東父兄憐王我、我何面目見之」という一文を書き下し文にすると「縦(たと)ひ江東の父兄(ふけい)憐(あは)れみて我を王とすも、我何の面目ありてか之に見(まみ)えんとなります。 この一文の訳は、「たとえ江東地方の長老たちが私を哀れんで王として待遇してくれるとしても、私はどんな顔をして彼らに会えばよいのか」となります。ここでは長老、つまり年長者を指しています。
たしかに父兄という言葉は男尊女卑の考えを色濃く残す言葉なので、不快な気分になる人もいるでしょう。しかし、父の日、母の日も触れない学校が増え、少し配慮が過剰ではないかという声もあります。 根底に差別意識があるから言葉に敏感になり、クレームを恐れて当り障りのない言葉を置き換えをしていると思う人も少なくありません。理解することよりも、まず差別にあたりそうな言葉を言い換えるのに必死な印象です。父の日がなくなっても、「お母さんがひとりで育ててくれている」という気持ちの子どもがいるという事実は変わりません。 背景を理解した上で新しい表現を使いたいものです。
記載されている内容は2018年02月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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