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更新日:2024年07月01日
テレビなどで時々耳にする「反撃の狼煙」という言葉。聞いたことはあるけれどどのように使えばいいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな「反撃の狼煙」という言葉の意味や語源、そして使い方をご紹介します。
「反撃」とは、「攻めてきた敵の攻撃に対し、防御だけでなく攻撃に転じること」、「追い込まれていた立場から逆転を狙うこと」を言います。類語には、反攻や報復、逆襲などがあります。英語で「カウンター」と言うこともあります。
「狼煙」というのは、主に戦国時代で使われた情報伝達手段です。現代日本では「のろし」と読みますが、漢字のルーツである古来中国では「ろうえん」と読み、狼火(ろうか)狼燧、(ろうすい)とも言います。 どういったものなのかというと、物を燃やし煙を上げ、遠くに居る相手に対しその色や順序で複数の意図を伝えていました。狼煙を上げるための施設、狼煙台というものも存在し、中国では万里の長城にその痕跡が見られます。夜などの煙が見えづらい場合には、火そのものを使うこともありました。 ですが、煙なので天候によってはうまく上がらなかったり、伝えられる情報には限界があったりと欠点もありました。それでも、電話やメールのない時代には馬や人に手紙を託すよりもずっと素早い連絡手段だったので、使わざるを得なかったのでしょう。
狼煙は、基本的には日常会話には使われません。では何を伝えていたのかというと、戦絡みの合図です。具体的には、敵の来襲などを味方に知らせることで、援軍を呼んだりしていました。 このことから、「反撃の狼煙」というのは1人での反撃ではなく、複数での反撃を合図する、という意味を含んでいることが分かります。
狼煙とは「狼の煙」と書きます。狼煙の別名も前述しましたが、それらにも「狼」の字が入っています。それは一体どうしてなのでしょうか?
中国での狼煙の歴史は深く、紀元前500年頃、中国春秋時代の軍事思想家孫武の作である兵法書「孫子」にも登場します。 狼の文字が入る理由は、この中国に由来します。中国では、狼煙に狼のフンを混ぜれば煙が垂直に上がるものとされていました。狼煙は合図として機能しなければ意味が無いので、遠くの相手にもきちんと見えるように煙が垂直に上がる、というのは重要なことだったのでしょう。 ですが、実際に狼のフンを使っていたのか、また使うことで煙が垂直に上がるのか?というと、それは分かっていません。入手が困難である「狼のフン」を使うことが、願掛けのような意味を持っていたのではないかという説もあります。
日本での狼煙は、8世紀初め、奈良時代に成立した歴史書「日本書紀」や同時代の風土記である「肥前国風土記」に登場しているのが最も古い記録とされています。 日本では、もともと狼煙は「烽(とぶひ)」と言われていました。中国から「狼煙」という言葉が伝わってきた際に、「のろ」を野良、「し」を気、または火という意味として「のろし」と呼ぶようになりました。その材料も、ヨモギやワラを使うと決められており、中国などの動物のフンを主としたものとは違うものでした。 燃やし方も、中国など大陸では台の上に置いていたのに対し、穴の中で燃やしていたとされています。他の国との交流が少ないため、独自の扱い方がされていました。
狼煙、当時で言うところの烽は、鎌倉時代の軍記物語である「平家物語」に「烽火(ほうか)」として登場し、平安時代末期の武将平重盛の弁で語られます。 その内容ですが、東洋版の狼少年のようなもので、敵襲がないにも関わらず何度も烽を上げたため、本当に敵襲があった際に烽を上げても兵たちが集まらずに国が滅んでしまった、というものです。この話から、狼煙には誤報がつきものであったことが伺えます。
「反撃の狼煙」と似た言葉に、「狼煙を上げる」というものがあります。似た、というよりも、「狼煙を上げる」に「反撃」が付いたものが「反撃の狼煙」という認識の方が正しいでしょう。 では、この言葉の意味はなんでしょう。大体の方は予想がついているでしょうが、答えは「大きなことの起こる合図となる行動や、その行動を起こすことの表明をすること」です。あくまで合図や意思の表明であって、行動自体ではないというところに注意が必要です。
記載されている内容は2018年02月02日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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