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更新日:2024年10月11日
普段の生活の中で使う機会はほぼ無くても、法律や学術の分野においては当たり前に使われる言葉というのが存在します。得てして難解な表現のものが多く、読み方も解らないようなものすら存在します。今回は、そんな中でも契約書などで目にする機会がある「帰属」について解説します
「帰属」の意味を調べた際に、類語として出てくる代表的な言葉が「所属」です。まずは、「所属」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。
所属 [名詞] 個人や事物などが、ある団体・組織にその一員・一部として加わっていること。 出典:小学館 デジタル大辞泉
一見すると「帰属」の意味そのままにも見えてしまう「所属」ですが、実際には大きな違いがあります。「帰属」には、「属しているものに対して従属的である」という意味合いが強く、また、権利など人ではない事柄に対しても使われるという点から、単に「その団体などの一員である」ということを意味しているだけの「所属」とは意味に明確な差があります。
「寄付」という言葉は日常的に聞く機会が多いものですが、その使われ方から、「帰属」と関連するとは考えにくいのではないでしょうか。どのような違いがあるのかを知るために、まずは「寄付」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。
寄付 [名詞] 公共事業や社寺などに、金品を贈ること。 出典:小学館 デジタル大辞泉
こちらは、あくまでも金品などを譲る「行為」を指す言葉であり、「権利が移る」という点において、「帰属」と近しいとも考えられます。この2つの言葉のつながりがわかりやすい例が、上記の「土地に関する「帰属」の意味」の項に出てくる土地の所有権に関する部分です。 公共の道路や施設を作る際に、私道の一部分(「後退部」などと表記される)や、提供する土地に設置されていて、新たに施設が建った後にも使う可能性のあるもの(ごみ置き場や集会所など)を国などに譲る場合で、かつ土地協力金の交付対象外のとき、登記上は「寄付」という記載になります。 言葉本来の意味こそ違いますが、このような場合、「土地の最終的な権利が誰(どこ)にあるか」を表すものが「帰属」、「土地などを、費用を求めない形で国などに提供し所有権を譲る(=所有権の保有者を変える)行為」を表すものが「寄付」と考えることで、意味としてのつながりが見えてきます。
こちらも、「寄付」と同じく、字面からでは「帰属」との関連性が見えてこないのではないでしょうか。どのような違いがあるのかを知るために、まずは「譲渡」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。
譲渡 [名詞] 権利・財産、法律上の地位などを、他人にゆずりわたすこと。有償・無償は問わない。 出典:小学館 デジタル大辞泉
「譲渡」も、上記の「寄付」と同じく、「所有権を譲る」という意味を持つ言葉であり、それによって、「所有権の最終的な保有者が変わる」ことを表すという意味で、「帰属」との関連性が生まれる言葉です。 ただし、こちらには「有償」の場合も含まれるため、「無償で渡す」の意味を含む「寄付」とは明確に違う言葉です。
ここまでで挙げた言葉の中で、「帰属」と極めて混同しやすいのが「所有」という言葉でしょう。「所有権の帰属」などといった表記も見受けられるため、正確な意味の違いを知らないと混乱してしまいます。まずは「譲渡」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。
所有 [名詞] 自分のものとして持っていること。また、そのもの。 出典:小学館 デジタル大辞泉
「所有」と「帰属」の最大の違いは、「それを有する権利を持っているのが誰・何なのか」という部分です。「所有」の場合は「自分自身の支配下にあるもの」を指しており、自分以外の存在にはそれを自由に扱うことはできません。 対して、「帰属」の場合は「特定の誰・何かの支配下あり、それが定めたルール上でしか扱えない(=自分の意思で自由には扱えない)」状態を指します。
ここまで、「帰属」という言葉に関して解説してきました。どのような分野においても、どのような対象であっても、それは何かに含まれ、所有されている状態を表すものなのだというのがお分かりいただけたのではないでしょうか。 例えば、人であれば、身近なものなら会社や家族、もっと広くは国家・世界に「帰属」しているからこそ、存在でき、認知されるのだと言えます。 ある意味では、「単独では存在できず、他から認知されない」という「万物の本質」を端的に表しているのが「帰属」という言葉だとも考えられるのではないでしょうか。
記載されている内容は2018年01月14日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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