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帰属の意味や使い方|法律/化学/土地/会社/心理学・意味の違い

言葉の意味

普段の生活の中で使う機会はほぼ無くても、法律や学術の分野においては当たり前に使われる言葉というのが存在します。得てして難解な表現のものが多く、読み方も解らないようなものすら存在します。今回は、そんな中でも契約書などで目にする機会がある「帰属」について解説します

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「帰属」という言葉について

「帰属」という言葉について

契約書などの中に度々出てくる「帰属」という言葉をご存知でしょうか。日常の中ではあまり見慣れない言葉ですが、そこに含まれる意味は意外に重要なものがあります。今回は、そんな「帰属」について、意味やさまざまな専門分野における使われ方について解説していきます。 まずは、「帰属」の一般的な意味を知っていきましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。

帰属 [名詞] 1 特定の組織体などに所属し従うこと。 2 物・権利などが、特定の人・団体・国などの所有となること。 出典:小学館 デジタル大辞泉

このように、「帰属」とは「ものや人が何かしらの一部となる」といったニュアンスの言葉です。また、その対象は「権利」も含むので、主に法律や契約に関連した書類などの中でよく使われる表現でもあります。

法律における「帰属」の意味

法律の世界で帰属が使われる場合、多くは著作権との関連の中において、「権利の帰属」という形で登場します。 法律上、著作権は原則として「著作者に帰属する」と定められています。この場合、著作者とは「著作物を創作する者」であり、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したもの」と定義されています。 そのため、誰かに文章やロゴなどの作成を依頼し、例えそこでしっかりと対価を支払っていたとしても、契約を結ぶなどして事前に「依頼者と作成者のどちらを著作権の帰属先とするのか」ということ明確に決めておかない限り、著作権を主張できるのは作成者となります。

化学における「帰属」の意味

化学分野における「帰属」が持つ意味はとても複雑であり、専門知識が無いと理解すること自体が困難です。核磁気共鳴 (NMR) 法と呼ばれる「天然有機化合物・合成有機化合物・生体構成成分・高分子化合物などの構造決定および分子間の相互作用の解明のための測定法」ものに関する説明の中で頻出します。

土地に関する「帰属」の意味

土地に関する「帰属」の意味

土地に関する法律や考え方の中でも、「帰属」という言葉が使われています。まずは、「不動産の所有者が存在しない」というケースの場合、民法239条に従い、所有者のない不動産は国庫に「帰属」する=国の「所有物となる」という意味で使われるものです。 「所有者が存在しない」とは、「相続人が存在しないため、法的な意味で所有者不在の状態」となった場合を表しており、これを「無主の不動産」と表現します。 もう一つが、都市計画法第40条にある、公共施設や道路の建設に際して、利用される土地の所有権が最終的には国や地方自治体に移ることを表現するものです。 例えば、道路の拡張をする時に、その道路沿いの個人や会社所有の土地の所有権が、工事を行う国や自治体の所有となるというものであり、この場合、該当する土地の元々の所有者は、所有権を譲る(=所有権の帰属先を国などに変える)にあたっての費用の負担を求められる、というものです。

会社と「帰属」の関係性

会社と「帰属」の関係性

会社「帰属」という言葉が結びつく場合、大きく分けて2つの意味に分かれます。一つ目は、本来の「帰属」の意味の内の「特定の組織体に所属し従うこと」の要素を含み、かつ社員の心理的な面をも含む形で、「会社内での役割を内面化し、それを自分のものとして達成するために努力する」という「帰属意識」という言葉で表されるものです。 もう一つは、「会社に所属するものが開発した技術などの特許権」に関するものです。本来の特許制度では、原始的に特許権は開発者のものとなっており、企業がその特許を利用して事業を行うためには、発明した社員に対して相応の対価を支払う必要があるというのが基本理念でした。 しかし、2014年以降、特許庁が法改正を検討し始めており、今後は、特許そのものは会社のものとする代わりに、開発者に報酬を与えるなどの形へとシフトすることになっていくと考えられています。

心理学における「帰属」の意味

心理学における「帰属」の意味

心理学においての「帰属」とは、「物事の原因や責任を考える事」を表しています。また、「物事の原因」というは大きく2種類に分かれています。物事の原因を「自分のせい」と考えることを「内的要因(行為者本人の性格や態度)への帰属」と言い、反対に、「相手のせい」と考えることを「外的要因(状況や運など)への帰属」と言います。 また、他者の行動について帰属する際には、行為者である相手の態度・性格に原因を求めてしまいがちになり、これは「対応バイアス」「根本的帰属の錯誤」と呼ばれています。逆に、自分の行動について帰属する際は、内的要因よりも外的要因へ帰属しがちであり、この心理傾向は「行為者・観察者バイアス」と呼ばれています。

「帰属」と似た言葉について

「帰属」と似た言葉について

「帰属」という言葉の意味を調べていると、字面や意味が似通った言葉が多く出て来ます。ここからは、似た言葉の意味を掘り下げるとともに、「帰属」との違いについて触れていきます。

所属

「帰属」の意味を調べた際に、類語として出てくる代表的な言葉が「所属」です。まずは、「所属」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。

所属 [名詞] 個人や事物などが、ある団体・組織にその一員・一部として加わっていること。 出典:小学館 デジタル大辞泉

一見すると「帰属」の意味そのままにも見えてしまう「所属」ですが、実際には大きな違いがあります。「帰属」には、「属しているものに対して従属的である」という意味合いが強く、また、権利など人ではない事柄に対しても使われるという点から、単に「その団体などの一員である」ということを意味しているだけの「所属」とは意味に明確な差があります。

寄付

「寄付」という言葉は日常的に聞く機会が多いものですが、その使われ方から、「帰属」と関連するとは考えにくいのではないでしょうか。どのような違いがあるのかを知るために、まずは「寄付」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。

寄付 [名詞] 公共事業や社寺などに、金品を贈ること。 出典:小学館 デジタル大辞泉

こちらは、あくまでも金品などを譲る「行為」を指す言葉であり、「権利が移る」という点において、「帰属」と近しいとも考えられます。この2つの言葉のつながりがわかりやすい例が、上記の「土地に関する「帰属」の意味」の項に出てくる土地の所有権に関する部分です。 公共の道路や施設を作る際に、私道の一部分(「後退部」などと表記される)や、提供する土地に設置されていて、新たに施設が建った後にも使う可能性のあるもの(ごみ置き場や集会所など)を国などに譲る場合で、かつ土地協力金の交付対象外のとき、登記上は「寄付」という記載になります。 言葉本来の意味こそ違いますが、このような場合、「土地の最終的な権利が誰(どこ)にあるか」を表すものが「帰属」、「土地などを、費用を求めない形で国などに提供し所有権を譲る(=所有権の保有者を変える)行為」を表すものが「寄付」と考えることで、意味としてのつながりが見えてきます。

譲渡

こちらも、「寄付」と同じく、字面からでは「帰属」との関連性が見えてこないのではないでしょうか。どのような違いがあるのかを知るために、まずは「譲渡」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。

譲渡 [名詞] 権利・財産、法律上の地位などを、他人にゆずりわたすこと。有償・無償は問わない。 出典:小学館 デジタル大辞泉

「譲渡」も、上記の「寄付」と同じく、「所有権を譲る」という意味を持つ言葉であり、それによって、「所有権の最終的な保有者が変わる」ことを表すという意味で、「帰属」との関連性が生まれる言葉です。 ただし、こちらには「有償」の場合も含まれるため、「無償で渡す」の意味を含む「寄付」とは明確に違う言葉です。

所有

ここまでで挙げた言葉の中で、「帰属」と極めて混同しやすいのが「所有」という言葉でしょう。「所有権の帰属」などといった表記も見受けられるため、正確な意味の違いを知らないと混乱してしまいます。まずは「譲渡」の意味を調べてみましょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。

所有 [名詞] 自分のものとして持っていること。また、そのもの。 出典:小学館 デジタル大辞泉

「所有」と「帰属」の最大の違いは、「それを有する権利を持っているのが誰・何なのか」という部分です。「所有」の場合は「自分自身の支配下にあるもの」を指しており、自分以外の存在にはそれを自由に扱うことはできません。 対して、「帰属」の場合は「特定の誰・何かの支配下あり、それが定めたルール上でしか扱えない(=自分の意思で自由には扱えない)」状態を指します。

全ての存在は必ず何かに「帰属」する

全ての存在は必ず何かに「帰属」する

ここまで、「帰属」という言葉に関して解説してきました。どのような分野においても、どのような対象であっても、それは何かに含まれ、所有されている状態を表すものなのだというのがお分かりいただけたのではないでしょうか。 例えば、人であれば、身近なものなら会社や家族、もっと広くは国家・世界に「帰属」しているからこそ、存在でき、認知されるのだと言えます。 ある意味では、「単独では存在できず、他から認知されない」という「万物の本質」を端的に表しているのが「帰属」という言葉だとも考えられるのではないでしょうか。

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