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更新日:2024年08月30日
新聞などで頻出する「見解」という言葉。知ってはいても使い方に自信がないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、その意味と使用例、そして「意見」という言葉との違いについて解説しています。会議での発言に説得力をもたせたいビジネスマンの方、必見です。
あることについて、論拠をもって考え、その結果を人に示すのが「見解を明らかにする」ということの意味です。実際に使われるのは、以下のような場面です。 ・海面の温度や大気の流れの変化について、専門家は、地球温暖化によるところが大きいとの見解を明らかにした。 ・昨年度の町おこしで得られた成果と改善点について、市が公式に見解を明らかにした。 ・捜査関係者は、事故原因について、ステージの設備点検にトラブルがあったとの見解を明らかにした。 「見解を示す」という言い方もされますが、ニュアンスとしては、「見解を明らかにする」の方が、考えや調査結果を公表するという意味合いが強く出ます。何かを尋ねられて軽く答えを返すのではなく、ある問題について調査や熟考をした結果を正式に述べる意味で用いられる表現です。
「見解の相違」は、お互いの根本的な考え方が食い違っていることを意味します。 ・どれだけ話しても平行線をたどる一方で、見解の相違は解消できなかった。 ・企画コンセプトをめぐる見解の相違により、今回の合同プロジェクトは一旦延期となった。 ・それは見解の相違というもので、こちらとしては一切の悪気もなかったと釈明したが、無駄だった。 基本的には公的なシーンで使われることの多い表現ですが、仮にプライベートな痴話喧嘩で「あなたとは考えが合わない」ということをちょっと大袈裟に「見解の相違ね」と言い放つと、皮肉っぽいジョークのようにも受け取られます。 漢字だらけでカッチリとしている分、ひと言そう言ってしまえば多少の腹立たしさや不信感をねじ伏せて相手を黙らせるほど強い言葉です。和解を目指すのであれば、「見解の相違があるようだけれど、こういうふうにしていかないか」という二の句を用意しておくのが賢明です。
case2までは慣用的な表現を見てきましたが、今度は自分が会議で発言する場面をイメージしてみましょう。「私の考えは~です」でもいいところを、わざわざ「私の見解は~です」と言い換えるのですから、根拠に基づいた分析的な思考の発表が求められます。 したがって、専門的な知識や何らかのデータに基づいた発言内容が好ましいでしょう。たとえば、以下のような例文が考えられます。 ・80年代頃から徐々に、デパートよりも専門店に消費者が流れ出していますよね。この傾向を踏まえると、今回の商品もターゲット層を広く設定するのではなく、よりコンセプトを絞ってコアなターゲットに訴求する方が購買率も上がるのではというのが私の見解です。 上の例文では、論拠→結論の流れにのって「見解」という言葉で締めましたが、「まず結論から申しますと、~~というのが私の見解です。と、いいますのも~」と論構成を逆にしても使えます。
自分の発言に説得力をもたせるために、専門家の考えを紹介して、それに依拠する方法をとることが多くあります。プレゼンや会議だけでなく、論文などを作成するときにもよく使われます。そんなときは、たとえば次のような言い方が考えられるでしょう。 ・専門家の見解によると、洗剤を使わない洗濯方法が一般家庭に普及すると、環境問題だけでなく皮膚トラブルを抱える患者数も減少するだろうとのことです。 ・降雨の減少がもたらす影響について、砂漠化の進行や食糧難などが挙げられてきましたが、専門家はさらなる危機が待ち受けているとの見解を示しています。 ・単に資金を集めるだけでなく、集めた資金を今後どう運用していくかが重要だというのが、専門家による見解です。 「私の見解は~」と述べるよりも、さらに公的な意味合いを帯びた表現になります。そのため、主観を入れずに、プロが示したデータや発言内容のみを引用するのがベターです。
ここでひとつ、疑問が浮かんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。「物事に対する考えという意味では、意見も見解もそう変わらないのでは?」と思ったあなたは、言葉に対する感覚が鋭い人です。 確かに、「私の意見では~するべきだと思います」というのと、「~するべきだというのが私の見解です」というのとでは、一見それほど大差なく見受けられます。ですが、よく考えてみると、「~という意見が出ました」という言い方はしても、「~という見解が出ました」とは言いませんし、「他に何か見解のある人はいますか?」という言い方もしないはずです。 実は、「意見」と「見解」という言葉は、意味自体はとてもよく似ていますが、根本的な部分に大きな違いがあります。
「意見」の語誌をさかのぼると、『平家物語』の中で、政務に関する話し合いの場で各人が提出する考えの意味で用いられていたことがわかります。つまり、もともと意見とは、公の場に持ち寄る私的な考えを指していたことになります。 「見解」もまた、物事に対する解釈を意味する言葉ではありますが、冒頭で述べたように仏語と深い関わりのある語です。かつて、お坊さんが語る言葉はそのまま真理として受容され、崇拝されてきた時代がありました。仏教を説く場は公的な場であり、そこで示される見解もまた公的なものと見なされたのでしょう。 つまり、意見に対して見解とは、公的な場で披露するに足る、ある種完成されたものの考え方を意味します。紙面やニュース番組で見解という語が多用されるのは、その内容が公的な情報に基く、公的な場で発表されるものだからです。逆に、ゴシップニュースで見解という言葉がほとんど使われないのは、そのためです。
さて、ここまで解説してきましたが、要は、あることに対して公的な調査やデータを駆使して導き出した、公的な場で発表する考えが「見解」という言葉の意味です。 改まった会議や先方との打ち合わせ、あるいは商談などで、何かもうひと押し意味のあることを言いたい、そんなここぞというときにさらりと口に出せば、話に説得力が増して一目置かれることでしょう。ただし、あまりにも乱発すると「頭でっかちな人」「妙に鼻につく人」と思われかねないので、うまくタイミングを見計らって使うことが大切です。 また、「そういった見解もあるのですね。思い至りませんでした」という使い方をすれば、謙虚さと、相手の主張に対して敬意をはらう姿勢を示すこともできます。使いようによっていくらでも幅を広げられるのが、「見解」という言葉の利点です。 意味と使い方をマスターして、ワンランク上の良識あるビジネスマンを目指しましょう。
記載されている内容は2017年12月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
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