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更新日:2024年09月03日
ビジネスシーンでお金のやり取りをする場面となると、「請求書」を発行することが多くあります。請求書は発注側に敬意を払いたいので「ご請求書」とする場合もあるようですが、果たしてこの「ご請求書」という言葉は正しい日本語なのでしょうか。詳しく解説いたします。
目次
「ご請求書」と書くと一見丁寧な敬語のように見えますが、一方でどこか違和感を感じることもあるのではないでしょうか。もし、自らが請求書を発行することがあれば「ご請求書」と書くか「請求書」と書くか迷ってしまいそうです。 結論から言うと、「ご請求書」という表現は正しい日本語ではありません。ですので、「請求書」と書くのがベストです。しかし、実際の場面で使われるようになってきているのも確かです。 元々「ご」や「お」を使った敬語というのはどういうものなのか、なぜ「ご請求書」は正しくないのか、そして「ご請求書」は実際にどのように使われるか、これからについて説明いたします。
物事を丁寧に表現したいとき、人はその言葉の前に「お」や「ご」をつけて使うことがあります。これは文法的に「敬語」としてみなされます。それでは敬語について説明いたします。
敬語とは筆者の言葉で言えば、「対象となる相手に敬意を払う時に使う言葉」と言えます。 敬語は一般的に尊敬語、謙譲語、丁寧語の3つに分類されます。文化審議会ではこれら3種に丁重語、美化語を加えて5つに分類しています。
3分類 | 5分類 | 特徴 |
---|---|---|
尊敬語 | 尊敬語 | 話題中の人物が目上の人で、その人を敬う表現。 |
謙譲語 | 謙譲語 | 話題中の人物が目上の人で、自分をへりくだる表現。 |
謙譲語 | 丁重語 | 聞き手が話し手よりも上位であることを表す表現で、自分をへりくだる表現。 |
丁寧語 | 丁寧語 | 聞き手が話してよりも上位であることを表す表現で、「です」「ます」「ございます」など。 |
丁寧語 | 美化語 | 上品とされる言い回し・言葉使い。 |
名詞の前に「ご」「お」を付けることで、対象となる相手を高める言葉になります。これを尊敬語といいます。 【例】 ・車→お車 ・亭主→ご亭主 ・心→お心 ・父→ご尊父 ・自宅→お住まい これらの例のように使いますが、どんな名詞にも「お」や「ご」を付ければいいというわけではなく、大体耳にしたことのあるようなものがほとんどですので、決まっているということです。この尊敬語の表現として「ご請求書」という言葉は含まれておりませんので、一般的に「ご請求書」は尊敬語とは言えないでしょう。
謙譲語として名詞に「ご」「お」を付けて言葉を作成することはあまりありません。謙譲語としての名詞には以下のようなものが挙げられます。 ・茶→粗茶 ・品→粗品 ・贈り物→つまらないもの 以上のように一つの単語として成立しているものが多く、普段目にする言葉にもあります。
次のように、向かう先のある名詞には「お」や「ご」を付けた形も謙譲語として用いられます。ただし、あとに謙譲語の表現がつくなどして文章全体で謙譲表現になることが多いでしょう。 【例】 ・手紙→お手紙を差し上げる ・辞退→ご辞退を申し上げる ・連絡→ご連絡を差し上げる また、表現の仕方によって謙譲語とも尊敬語ともなります。 ・先生からのお手紙、お客様からのご連絡→尊敬語 ・先生へのお手紙、お客様へのご連絡→謙譲語 それでは「ご請求書」は向かう先があるので謙譲語ではないのかと思われるでしょう。しかし、実際の文章中での「請求書」の使われ方を考えると、「ご請求書を送付させていただきます」とはせずに、「請求書を送付させていただきます」と「ご」をつけずに書く事が一般的になっています。
丁寧語の中でもとくに美化語といわれる言葉は、話す相手に上品に聞こえるように作られる言葉で名詞に「ご」「お」を付けたり、語尾を変えたりして作られます。 【例】 ・茶→お茶 ・店→お店 ・菓子→お菓子 ・住所→ご住所 ・立派→ご立派 ・めし→ごはん ・腹→おなか 「ご請求書」はビジネスシーンで使われる言葉ですから、上品に表現された美化語ではありません。しかし、「ご請求書」と聞けば丁寧語なのではないかと思われるでしょう。文法的に言えば丁寧語とは「です」「ます」「ございます」に代表されるように、語尾につく表現で、「ご請求書」は丁寧語ではありません。
記載されている内容は2018年02月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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