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「こやり」の意味と使い方|アルプス一万尺/槍ヶ岳/山/こやぎ

更新日:2024年07月19日

言葉の意味・例文

日本人に愛されるアルプス一万尺の歌詞にある「こやり」の謎に端を発し、名も知らない作者の謎や、こやりで踊るアルペンダンスに思いをはせてみませんか。知っているようで知らないアルプス一万尺のこやりの上を一緒に探してみましょう。

そもそもアルペン踊りとは、あまり聞きなれませんが、どういった踊りなのでしょう。 アルペン踊りとは、大勢で輪になってぐるぐると回りながら踊る民族踊りで、想像するところ、とてもではありませんが、小槍(こやり)の上では、大勢の人数はおろか、一人でも踊れません。 仮に1人でアルペン踊りを踊ったとしても、そんなに険しく狭い山の頂上で、ぐるぐる回って踊るというのは、あまりにも命がけで危険な行為と言えるでしょう。

「アルプス一万尺」の作者について

歌のつじつまが合わないので、違う方向からアルプス一万尺にアプローチしてみましょう。 アルプス一万尺の作詞者は、実は不詳です。日本には他にも昔から歌い継がれてきて、馴染みがある歌でも作者不明という曲は多くあります。例えば「ゆき」や「とおりゃんせ」などもそうです。 しかし原曲はアメリカ民謡の「ヤンキー・ドゥードゥル」という1700年代に作られた独立戦争時の愛国歌で、1978年にはコネチカット州の州歌にもなった有名な曲です。日本にはペリーの浦賀来航で伝わったとされています。 アルプス一万尺が一般的になったのは、1960年代のうたごえ喫茶が流行った頃で、それ以前には作詞されていたことになります。

作詞者は京都大学山岳部の人?

調べるうちに一つの推論を見つけました。このアルプス一万尺は、京都大学山岳部の人が作詞したのではないかとする説です。 作詞された年代を、戦前や戦時中と仮定し、「こやり」が槍ヶ岳の小槍とすると、槍ヶ岳から穂高岳を縦走して上高地を終点とする登山コースをその時代に悠々と登山できたのは、成人や子供では難しく、学生ではないかという推論です。このことから、一番身近で山岳部を有していた京都大学の学生ではないかという説が生まれました。 しかし、この説もあくまで推論でしかありません。後のうたごえ喫茶全盛期に、作詞者が判明しなかったのは、その後作詞者が戦争へ行き、亡くなってしまったのではないかということです。

アルプス一万尺の歌詞は29も存在していた!

アルプス一万尺は、山岳部の人が作詞したのではないかとする説のもう一つの理由は、アルプス一万尺の歌詞の中に、登山者が使う特有の隠語が使われているということもあげられます。 実はこのアルプス一万尺、実に29番まで存在しており、その中の「花摘み」「キジ撃ち」という言葉が、それぞれ女性・男性の排泄行為を指す隠語ということから、登山界をよく理解している山岳部の人の作詞ではないかとする説が生まれました。 それにしても、作詞者不詳の曲で29番もの歌詞があるにもかかわらず、現代まで歌い継がれていることには、脱帽してしまいます。 29番までの歌詞は次のとおりです。

1.アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りを 踊りましょ 2.昨日見た夢 でっかいちいさい夢だよ のみがリュックしょって 富士登山 3.岩魚釣る子に 山路を聞けば 雲のかなたを 竿で指す 4.お花畑で 昼寝をすれば 蝶々が飛んできて キスをする 5.雪渓光るよ 雷鳥いずこに エーデルヴァイス そこかしこ 6.一万尺に テントを張れば 星のランプに 手が届く 7.キャンプサイトに カッコウ鳴いて 霧の中から 朝が来る 8.染めてやりたや あの娘の袖を お花畑の 花模様 9.蝶々でさえも 二匹でいるのに なぜに僕だけ 一人りぽち 10.トントン拍子に 話が進み キスする時に 目が覚めた 11.山のこだまは 帰ってくるけど 僕のラブレター 返ってこない 12.キャンプファイヤーで センチになって 可愛いあのこの 夢を見る 13.お花畑で 昼寝をすれば 可愛いあのこの 夢を見る 14.夢で見るよじャ ほれよが浅い ほんとに好きなら 眠られぬ 15.雲より高い この頂で お山の大将 俺一人 16.チンネの頭に ザイルをかけて パイプ吹かせば 胸が湧く 17.剣のテラスに ハンマー振れば ハーケン歌うよ 青空に 18.山は荒れても 心の中は いつも天国 夢がある 19.槍や穂高は かくれて見えぬ 見えぬあたりが 槍穂高 20.命捧げて 恋するものに 何故に冷たい 岩の肌 21.ザイル担いで 穂高の山へ 明日は男の 度胸試し 22.穂高のルンゼに ザイルを捌いて ヨ-デル唄えば 雲が湧く 23.西穂に登れば 奥穂が招く まねくその手が ジャンダルム 24.槍はムコ殿 穂高はヨメご 中でリンキの 焼が岳 25.槍と穂高を 番兵において お花畑で 花を摘む 26.槍と穂高を 番兵に立てて 鹿島めがけて キジを撃つ 27.槍の頭で 小キジを撃てば 高瀬と梓と 泣き別れ 28.名残つきない 大正池 またも見返す 穂高岳 29.まめで逢いましょ また来年も 山で桜の 咲く頃に

ミステリアスでもっと知りたいアルプス一万尺!

結局のところアルプス一万尺は、こんなにも日本人に知られていながら、作詞者も不明なため、歌詞の本当の意味は謎のままです。今有力なのは、アルプス一万尺で「こやり」といわれるのは、日本の北アルプスの槍ヶ岳にある小槍(こやり)であるということと、京都大学の山岳部の学生が作詞したのではないかという推論があるだけです。 わからないことだらけですが、今も多くのこどもたちによって歌い継がれ、時にはさらなる替え歌も歌われています(地域によって違います)。 「田舎のじっちゃんばっちゃん 芋食って屁こいて パンツが破れて 博物館」 今後もっと研究が進み、色んなことがわかることに期待したい歌です。

初回公開日:2017年11月08日

記載されている内容は2017年11月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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