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前略を使う際の注意点と例文・草々と早々・拝啓との違い

更新日:2024年07月10日

書類の書き方

『前略』と『拝啓』はどう違うのか?『前略』はどんなときに使うのか?前略を使う際の注意点は?さらに『草々』と『早々』はどう違うのか?など、例文を交えながら解説します。手紙の基本形式(構成)や、頭語や結句と呼ばれる手紙言葉についても、あわせて解説します。

前略の使い方

「前略」は頭語です。頭語とは手紙の始めに書く手紙特有の挨拶言葉です。頭語には他にも「拝啓」や「急啓」などがあり、それぞれが意味を持っていて使い方も決まっています。「前略」の意味は、「前文を省略します」となります。使い方は、では、「前文」とは何かという事になりますが、それを説明する前に手紙には基本の形式があるという事をお伝えしましょう。 手紙は、前文(頭語を含む)・主文・末文・後付けから成るとされています。簡単に説明しますと、「前文」とは挨拶。「主文」は手紙の要件。「末文」は終わりの挨拶。「後付け」は日付・署名・宛名などを記す部分です。「副文」、いわゆる追記を含めて基本構成とする見方もありますが、目上の方に出す手紙の場合には失礼とされる事もありますのでここでは採用しません。 「前略」は先でも申し上げましたが、この基本構成のうち「前文」を略しすぐに本文に入る際に使用される頭語です。「前文」は時候の挨拶や、相手の安否を尋ねる挨拶などで構成されます。これらの挨拶を省き、すぐに要件に入りたいと宣言していることになります。これは、いつでも許されるわけではなく、使い方には注意が必要です。 頭語は手紙の内容や送る相手によって決められます。手紙を受け取る相手に手紙についての見識があれば、頭語を見てその手紙がどのような内容なのかが分かります。そういう意味で頭語はその手紙自体を象徴していると言えます。 あなたが形式に沿って手紙を書くならば、今からあなたが書こうとしている手紙の内容や、その手紙を受け取る相手に最も適した頭語とその使い方を選ばなければなりません。そのためには、手紙というジャンルにおいて、何が良しとされ、何が悪とされるのかを知る必要があります。 手紙の書き出しは頭語ですが、それよりも前に選択することがあります。それは横書きか縦書きかということです。ここで手紙の性質は、ほぼ決まります。

横書き

手紙を送る相手が誰なのかという事を、まず考えなければいけません。横書きのが手紙はカジュアルな印象を与えます。知人や友人、家族など親しい相手に出す手紙は親しみを込めて、横書きで書くと良いでしょう。「前略」として、前文を略したり、頭語を省いたり、段落ごとに一行空けるなどの工夫も許されます。手紙を構成する要素を、ある程度柔軟に自分と相手に合った使い方にアレンジしましょう。 反対に改まった手紙や目上の方に送る手紙に横書きは不向きです。しかし、ビジネス文書や数字が多く入る手紙は、横書きの方が読みやすく分かりやすいので、この限りではありません。 横書きの手紙の場合には、相手のことを想像したり、手紙の内容を踏まえた上で頭語の使い方も考えましょう。相手が手紙について知識がなければ頭語を使ったりすると、よそよそしい、必要以上にあらたまった印象を与えてしまうかもしれません。

縦書き

手紙の基本は縦書きです。目上の方への手紙や、あらたまった手紙は縦書きで書きましょう。また、頭語の使い方や、それを含む手紙の基本形式・構成は縦書きの手紙を基礎としています。そこから、手紙を出す相手や内容によって省略や簡略が行われます。 親しい相手にも、縦書きの手紙を書くこともあります。内容によっては、あらたまった手紙を書くこともあるでしょうから、縦書き、横書きは相手と手紙の内容の掛け合わせで使い方を選びましょう。

改行の使い方

頭語は、最初の行頭(行の先頭)から書き始めます。その後、一字分空けて前文、前文を省く場合は、主文へと書き進めます。頭語のあと、改行する場合は一字分下げてから書き始めます。頭語を省略する際は、最初の行から一字分下げて書き始めます。横書きも縦書きも同様です。 改行に関して最も気にしなければならないことは、相手の名前が文末に来ないようにすることです。相手の名前が文末に来そうな時は改行して調整します。段落が変わるわけではないので次の行頭から書き始めます。また自分の名前が文頭に来る場合には、その前に改行して調整するか、自分の名前を小さく書きます。 他にも、文節の区切りがいいところで改行します。句読点や語尾が行頭に来ないように調整するなど、読みやすさと見た目の美しさを考えながら改行しましょう。行の最後まで書き埋める必要はありません。手紙を美しく読みやすく空白の使い方も気にしましょう。改行の使い方として最も大切なのは相手を立てる、読みやすさを演出する、ということです。

前略を使う際の注意点

「前略」というのは、「前文を略します」という意味ですから、その後に挨拶を続けるのは使い方としは間違いになります。他にも「前略」の使い方には注意するべきことがあります。それは送る相手が誰なのかということです。前略の使い方の注意点としては、ここに尽きると言えます。

目上の方には前略は失礼?

目上の方に出す手紙は前文を略さず基本の形式で書きます。急を要する内容ならば前文を略すこともありますが、その際は「前略」ではなく「急啓」という頭語を使いましょう。「急啓」は、「取り急ぎ申し上げます」という意味で、急用の手紙であることを示します。その後に、失礼を詫びてから要件に入るようにしましょう。

ビジネス上での「前略」

特に、社外の方へ出す手紙は、礼節をわきまえ形式にのっとった文章で書きます。もちろん「前略」とせずに、時候の挨拶、相手の安否を気づかう挨拶を述べます。さらに、日頃の感謝を伝える言葉も添えます。

お詫びでは「前略」「急啓」

お詫びの手紙は、速やかに、率直に、が大切な要素になります。内容によっては挨拶を省き、謝罪の言葉から述べることもあります。知人や友人に出す手紙では「前略」を使えますが、ビジネス上の取引先や目上の方には「急啓」や「取り急ぎ申し上げます」と、した方がいいでしょう。 既に事態が収束してから、あらためて手紙を出す場合には「前略」ではなく、「拝啓」や「謹啓」を頭語として、時候の挨拶から書き始めましょう。

前略の使い方・例文

「前略」は、その認知度の割に使用範囲(使い方)が限られています。あらたまった手紙には不向きですし、そもそも手紙の基本形式を簡略するために用いられます。体裁よりも内容や態度が重視される場合に限って使うようにしましょう。では、前略の使い方として適切なのは、どんな場面でしょう。

メールで「前略」を使う場面

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初回公開日:2017年10月24日

記載されている内容は2017年10月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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