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シアンってどんな色?|色の説明・ウェブカラーについて・毒の色?

更新日:2024年07月07日

社会人常識

シアンという色をご存知でしょうか。シアンは水色に近い青緑色で、柔らかく爽やかな色です。聞き慣れない色の名前ですが、印刷やウェブデザインでは欠かすことのできない重要の色の一つです。今回は、シアンの名前や由来について詳しくご紹介します。

三原色とは、色の基本となる三つの色を指します。三原色は、他の色を混ぜても作り出せない色で、この三つの色を混ぜてさまざまな色を表現します。 三原色には「光の三原色」と、「色の三原色」が存在しており、それぞれ違った特性を持っていることが理由となっています。シアンは「色の三原色」に含まれる色で、色を構成する上で重要な役割を持つ色です。「光の三原色」「色の三原色」と、色を認識する仕組みを解説します。

光の三原色

テレビの画面やパソコンのディスプレイなどの発光体の色は、「光の三原色」を用いて色を表現しています。「光の三原色」は、「赤」「青」「緑」の三色を指し、この三色を混ぜ合わせることでさまざまな色の光を作り出すことができます。光の三原色を混ぜ合わせると色が明るくなり、全て混ぜ合わせると白色になるため、この混色方法は「加法混色」と呼ばれます。

色の三原色

プリンターのインクや絵の具などは、「色の三原色」を用いて色を表現します。「色の三原色」は、「マゼンタ」「シアン」「イエロー」の三色を指し、印刷やプリンターはこの三色に加え、黒のインクを用いてさまざまな色を作り出します。色の三原色は混ぜ合わせると色が暗くなり、全て混ぜ合わせると黒く濁るため、この混色方法は「減法混色」と呼ばれます。 学校の授業で、色の三原色は「赤」「青」「黄」と習う人も多いでしょうが、これは授業を行う上で簡略化して指導しているためであり、色の三原色は「マゼンタ」「シアン」「イエロー」が正しい色です。

色を認識する仕組み

光は三原色全ての色を混ぜ合わせると白くなります。太陽の光や電球の光は、三原色全てが混ざっているので、白い光に見えます。 物体を見て色を認識するとき、実は物体そのものの色を見ているのではなく、物体に反射する光の色を見ています。例えば、印刷物で「シアン」を認識するときは、太陽光や電球などの全ての色が混ざった光がシアンのインクに当たり、赤の光がシアンのインクの色に吸収され、シアンを構成する緑と青の光を反射するため、「シアン」と認識します。 シアンは赤の光を吸収する性質を持ち、マゼンタは緑の光、イエローは青の光を吸収する性質を持っています。この性質を生かし、インクや絵の具を混色して色を作り、物体に着色します。

ウェブカラー

ウェブカラーとは、パソコンやスマートフォンの画面で表示される色や、ウェブコンテンツで表示される色を指します。ウェブカラーを扱うためには、色を数値化して読み解く知識と、ウェブ技術の理解が必要です。

数値

色を数値化して表すことにより、どんなテレビやパソコンのディスプレイでも意図した通りの色を作り出すことが可能となっています。 最もポピュラーなのが、「赤(R)」「緑(G)」「青(B)」の割合で色を指定する「RGB」です。それぞれの色の成分がどの割合で含まれているのかを数値化する方法です。0から255までの数字で表し、数値が高いほど明るく鮮やかな色になります。シアンをRGBで表すと、「0,255,255(左から順番に赤・緑・青の割合を表している)」となります。 「RGB」に加え、コンピューターグラフィックスには欠かせない「HSV色空間」というものもあります。「HSL」とは、「色相(H)」、「彩度(S)」、「明度(V)」を数値化して表す方法で、より色を立体的に表すことができます。「色相(H)」は0から360°、「彩度(S)」は0から100%、「明度(V)」は0から100%という数値で表されます。シアンをHSVで表すと、「180°, 100%, 100%」となります。

コード

ホームページやウェブコンテンツなど、デザインしたものをウェブ上で見える形にすることをコーディングと言います。HTMLやCSSなどの技術を使ってウェブコンテンツを作り上げていきますが、意図した色を表示させる場合には、色を表すコードを使用して表示させます。 色を表すコードはさまざまな表記法があり、16進表記、10進表記、パーセンテージ指定、直接の色指定などを、適切に使い分けてコーディング作業を行います。例えば、シアンを16進表記で表すと、「#00FFFF」となります。

フォトショップで写真データを扱うときの注意点

デジタルカメラで撮った写真や画像データは、ディスプレイ上で見ることを前提としているため、光の三原色である「赤(R)」「緑(G)」「青(B)」で色を構成する「RGBモード」で保存されています。 しかし、紙に印刷するときにはインクを使用するため、色の三原色である「シアン(C)」「マゼンタ(M)」「イエロー(Y)」に、理想的な黒を作るため「ブラック(K)」を加えた「CMYK」で混色し、印刷を行います。 ディスプレイ上の画像と印刷では混色法が違うため、デジタルカメラで撮った写真や画像データをそのまま印刷すると、ディスプレイで見ていたときと違う仕上がりになる可能性があります。 デジタルカメラで撮った写真や画像データを印刷に出す前には、フォトショップでCMYKモードに変換して色補正を行ってから印刷に出すと、仕上がりの差異が少なくなります。印刷会社に依頼する場合は、画像をCMYKモードに変換してから入稿することを義務付けているところもあるので、忘れずに行うようにしましょう。

シアンという名前は、「シアン化合物」という非常に強い毒性を持つ化学物質の名前にも用いられています。 シアン化合物は、主に金属の精錬や焼き入れなどの工業目的で使われる物質で、日本では青酸と呼ばれています。 非常に強い毒性を持ち、一定量を摂取すると中毒症状によりめまいや嘔吐、頭痛を引き起こし、多量に摂取すると死に至るケースもあります。直接摂取していなくても、シアン化物が含まれた吐瀉物への接触や、気体を吸入することでも中毒症状を引き起こすので、毒性が非常に強く、取り扱いが難しい大変危険な化学物質です。

名前の由来

シアン化合物は無色透明の物質ですが、なぜ青色を表すシアンという名前が使われるようになったのでしょうか。正確な由来は明らかになっていませんが、「プルシアンブルー」という青系統の顔料が由来となっていると言われています。シアン化合物に含まれるシアン酸は、プルシアンブルーと水酸化ナトリウムなどを混合し、シアン化物イオンを得て作られます。 プルシアンブルーは紺に近い青色をした結晶をしています。シアンの色名の由来になっている、「暗い青」という意味の古代ギリシア語「cyanos」は、元は藍色を指す単語だったため、青色を表すシアンという名前が用いられた、という説が有力と言われています。

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初回公開日:2017年10月21日

記載されている内容は2017年10月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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