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更新日:2024年10月23日
歴史小説や映画、SF、マンガなどで時々目にする「征く」。どのように読むのか、何故この漢字を使うのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では征くの4つの読み方や意味、熟語、同訓意義語と使い方を漢字の成り立ちをまじえながらご紹介します。
漢字には音読みと訓読みがあります。日本に漢字が入って来たとき、中国の書物を理解するために、日本語に翻訳しました。例えば「草」は日本語の「くさ」と訳して読むのが訓読みで、中国式の発音をまねて読む「そう」が音読みです。日本語に訳すことができない漢字は音読みにしてそのまま取り入れました。 「征く」の読み方は訓読みで4つあります。さっそく見ていきましょう。
「いく」は日常的な言い方で、使い方は「戦争に征く」などです。 この漢字は左側の「ぎょうにんべん」と、右側の「正」の字で出来ています。目的地に向かってまっすぐ歩いて行くイメージから「いく」です。 「ぎょうにんべん」は十字路の左半分を表し、道、行く、行いなどと関わることを示す符号です。右側の「正」はまっすぐを表し、上にある「一」を取った「止」は、人の足跡が2つ並んだ形で、もとは「人間の足」の意味でした。
「ゆく」と「いく」は同じ意味で、どちらを使っても間違いではありません。 鎌倉時代までは「ゆく」という読み方が多かったのですが、奈良・平安時代から両方使われていました。「ゆく」には古風で優雅な響きがあり、一般に文語的な表現で使われます。 使い方は「いく」と同じです。「戦地に征く」などです。
【例 文】 「辱(はじ)て辱(はじ)に怯(ひる)むな。ふたたび大都督として戦場に征(ゆ)き、さきの戦訓を生かして、孔明をやぶれ」 三国志:11 五丈原の巻(二次出師表-3)吉川英治著 青空文庫
「征つ」と書いて「うつ」と読みます。使い方は「敵国を征つ」などです。 「正」の話をもう1つしましょう。甲骨文字を見ると「止」の上は「一」ではなく、「□」という形になっています。古代中国で人々が暮らしていた集落は、外敵を防ぐために城壁で囲まれていました。城壁を表す「□」と進むことを表す「止」の組み合わせて、進軍して集落に攻撃を仕掛け、征服することを表しました。
「征る」と書いて「とる」と読みます。今は「取る」と書くのがふつうです。 使い方は「租税を征る」などです。「征(ゆ)く」が敵を討つことを表すことから、力ずくで無理に取るイメージがあります。 古代は長く戦いが続いた時代でした。自分たちの領土を広げるため、あるいは自分たちに従わせるため戦いに征くのです。そのための戦費や兵を民から無理やり取ったのでしょうし、戦場での略奪もあったでしょう。
「征く」は目的地に向かって進んで行く意味から、遠方へ行く意味へ、そして 敵を討ちに行く意味へと広がっていきました。さらに力ずくで求めて取る意味や税金を取り立てる意味、税金の意味をも表すようになりました。
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