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就職前に知りたい「携帯電話業界」の現状・動向・課題

更新日:2023年12月12日

業界・企業研究

携帯電話業界の市場規模は10兆9,710億円となり、他の業界と比較すると大規模な市場になります。 2017年3月時点の日本企業の時価総額を見ると、携帯電話業界の3キャリアであるDocomo、KDDI、SoftBankは、いずれも有数10位に入り込んでいます。 そのことからも、携帯電話業界は今後の期待度や注目度が高い業界と言えます。

3位のSoftBankは更に下がって、680万円になります。SoftBankは実力主義という社風もあり、稼ぐ人がたくさん稼ぎ、実績が伴わない人は低い給料となってしまう制度になっています。労働環境としては厳しいですが、自分に自身のある方や、実績に応じた給料をもらいたいという方には、他の2社よりも高い給料をもらえる企業風土となっています。

携帯電話業界は、平均年収は比較的高いと言えます。そのため、せっかく同じ時間働くのであれば、高い給料が良い、という方には業界となります。しかし、毎日の仕事がつまらないものだと給料が高くても面白くないので、業界研究をしっかり行い、働く前と実際に働いてからのギャップは少なくしましょう。

業界の動向

市場動向

携帯電話業界の有数を走るNTTドコモ、KDDI、SoftBankの3社は、日本企業の中で有数の売上高を誇る会社となっています。 携帯電話自体の売上は伸び悩んでいますが、様々な業界との連携や、新規事業の開拓で、高い売上を堅調に維持しています。莫大な収益を設備投資にあてることで、技術革新やサービスの質の向上を図り、更なる収益源を確保しようと各社がしのぎを削っています。

今から20年前のこの業界は、携帯電話はほんの一部の富裕層が持っているもので、業界の主な収益源は固定電話やブロードバンドなどが占めていました。 しかし、携帯電話が普及し始めてからは、携帯電話が大きな収益源になりました。このように携帯電話業界というのは時代のニーズに合わせて、提供するサービスを柔軟に変えてきました。

市場のニーズに合わせて、提供するサービスを変えてきた携帯電話業界ですが、近年ではほとんどの日本人が携帯電話を持っている状態にまでなったため、新規の契約が従来通り増えなくなり、更なる変化を求められています。

しかし、MVNO(通信回線のレンタルのようなもの)という手法で、格安携帯を提供する会社を増やしてきています。楽天モバイルやLINEモバイル、DMMMobileなどがMVNOを使って、サービスを提供している会社になります。このような格安携帯を提供する会社が台頭してきて、今までリーチできていなかった層の掘り起こしをし、契約者数を伸ばしています。 もちろん、これらの格安携帯を販売している会社は、NTTドコモやKDDIの通信回線のバックボーンを利用しているので、NTTドコモやKDDIにとっても売れれば売れるだけ収益があがるようになっています。

携帯電話というカテゴリーだけで見ると先は厳しいように思えますが、携帯電話業界はそれ以外にも様々な複合サービスを提供したり、時代のニーズに合わせてサービスを作っているので、今後も伸びていく市場と言えるでしょう。

業界の課題

今では誰でも持っている携帯電話は、「いつでもどこでも繋がり、使いたいときに使える」というのが当たり前のサービスです。 何気なく使っている携帯電話のサービスですが、この安心感を絶え間なく提供していくには、膨大なコストや災害時の対策など様々な課題を持っています。携帯電話は24時間、365日いつでも電波が繋がる状態にしておく必要があります。電波を送る設備を故障させることもできませんし、設備を交換するから、この時間帯は電波が繋がりません、という訳にもいきません。 そのため、常時設備を稼働させておいたり、それを監視しておく人件費など、コストが非常に掛かる業界です。

これらのコストを利用者獲得によって補填しているのですが、日本の人口は年々減少傾向にあり、携帯電話の契約者数がこれ以上伸びていかないという課題を抱えています。これは携帯電話業界の各社が共通して抱えている問題であり、最大のテーマとして取り組んでいる課題となっています。

業界の今後の将来性

日本の人口が頭打ちになり、年々減少を続けていることから、携帯電話の契約者数も上限に達しているのが業界の現状です。 しかし、通信というのは携帯電話だけで使うものではなく、様々なものの中に組み込まれており、それは今後加速的に増えていくと言われています。 最近、IoTという言葉が流行っているように、これまでは通信が入っていなかったようなモノの中に(例えば、冷蔵庫や洗濯機などの家電、自動販売機やガスのメーターなど)通信を組み込むことで、作業効率があがったり、機械の故障予測ができるようになってきています。

また、AIなどの人工知能とも通信は切っても切れないインフラとなるので、携帯電話が頭打ちになったからと言って、今後衰退していく業界とは言えず、むしろ今後もニーズが拡大し続ける業界と言えます。携帯電話業界は通信の頭数を追うだけでなく、通信の質を高めることで新しいサービスの創出をしたり、ビジネスモデルの転換を図ろうとしています。

現在、携帯電話の利用者が使える電波は4G(LTE)と言われるものが最新ですが、近い将来5Gという電波を利用できるようになります。この5Gという電波は、4Gよりも高速で、遅延がないものになります。

この5Gをどのように実生活で活用していくのか、というテーマが世界中で議論されていて、実際にこの電波を利用できるようになった際には、今では想像できない便利な世の中になっていることは間違いありません。人々の生活に直接影響を及ぼすようになった、電波というインフラを扱う携帯電話業界は、将来性が非常に頼もしい業界ではないでしょうか。

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