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【業界研究】ビール業界の現状・動向・課題について

更新日:2024年11月13日

業界・企業研究

ひとことに「ビール」と言っても、様々なものがあります。ご存知の方も多いと思いますが、まずはビール。そして発泡酒。第3のビール。ノンアルコールビール。これらの製造・販売を事業にしている会社が形成しているのがビール業界です。

しかし、ビール、発泡酒、新ジャンルというビール業界のくくりで比較すると、順位は変化してきます。

「スーパードライ」のブランドが老若男女を問わずを獲得しており、堂々の一位。「スーパードライ以外は飲まない!」という方や、ビールの初心者にとって嬉しいクセのない味わいが好評です。長年にわたり、安定的なシェアを獲得しています。

「ザ・プレミアム・モルツ」が有名です。消費者の節約志向が高まる中で「自宅で贅沢さを感じられるのが嬉しい」という声が多く、ミドル層を中心にファンを獲得。 高級感を追求した広報戦略も功を奏し、多くの消費者から愛され続けた結果が業界第2位につながっています。

「ヱビス」で有名なサッポロ。「男は黙ってサッポロビール」というキャッチコピーがミドル層の心をつかみ、長くサッポロビールを飲む消費者がたくさんいます。根強いが安定的な売上につながり、ニーズの変遷が激しいビール業界においても安定的な売上を残しています。

現状3:平均年収上位3位

ビール業界のシェアとは異なる結果になりました。その要因としては、各ホールディングスがビール以外の商品を発信していることが大きな理由になります。ぜひ、業界研究の参考にしていただけると幸いです。

平均年収は1046万円。「キリンラガービール」「キリン一番搾り」「午後の紅茶」「生茶」など、ビール業界に限らず、清涼飲料水の面でも消費者に愛されている商品を多々発信しており、安定的な売上を残し続けています。

平均年収は1032万円。ビールを柱にしつつ、「サントリー烏龍茶」「ボス」「伊右衛門」など、多種多様な商品を展開しています。

平均年収は1008万円。「スーパードライ」の売上が毎年好調。第3のビール開発にも積極的で、新しい売上の柱を構築しつつあります。子会社にアサヒ飲料などを持っており、幅広い商品を市場に送り出す体制を確立。多くのファンを獲得しています。

業界の動向

国内ビール市場におけるメーカー別のシェアは、アサヒグループホールディングスが独走しています。しかし、業界研究をしてみると、ひとつ興味のあるデータが。アサヒグループホールディングスは海外の売上シェアが1割強。サントリーホールディングスやキリンホールディングスの海外売上が3割であることを考えると、他社よりも海外進出が遅れている傾向があります。

アサヒグループホールディングスもそんな現状に危機感を抱いており、イギリスの大手ビールメーカーであるSABミラー傘下の欧州ビール事業の4社と買収の契約を締結しました。買収額は25億5000万ユーロと巨額。それほど、アサヒグループホールディングスは海外進出が命題であると考えているのです。

ビール業界は国内市場が飽和しているので、これからの拡大におけるキーポイントは「海外進出」各メーカーは海外進出についてどう考えているのか。どのような事業を展開しているのか。そんな観点で業界研究をすることも大切かもしれません。

動向1:市場動向

海外進出の手段として主流になり得るのは、アサヒグループホールディングスの戦略を見てもわかるとおり、M&Aです。しかし、どの企業もM&Aが成功しているかといえば、話は別。

2015年の話になりますが、その明暗が分かれたのがサントリーホールディングスとキリンホールディングスです。前者はM&Aを通じて過去最高の売上高を記録しましたが、キリンホールディングスは赤字になりました。では、2社はどのようなM&Aを実施して、ビール業界での勢力図に影響を与えたのでしょうか。

サントリーホールディングスは2014年に1兆6000億円を投入してアメリカの蒸留酒大手メーカーとして知られているビーム社を買収。ウイスキーをはじめとした蒸留酒事業で世界第3位になりました。この戦略が数字にもあらわれ、2015年の売上高は前期比9.4%アップ。純利益は17.9%を記録。急激な成長を実現しました。

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