IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

危惧の意味・使い方や例文|危惧される/危惧の念を抱く

更新日:2024年03月06日

言葉の意味・例文

ニュースや新聞などでよく見聞きする「危惧」という言葉。知っているつもりでも、正しい意味や使い方がいまいち掴めていないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、「危惧」の意味と適切な使い方を解説しています。日本語力のセンスを高めたい方は、要チェックです。

「危惧」ってどんな意味?

新聞やニュースなどで耳にすることの多い「危惧(きぐ)」という言葉は、物事を危ぶみ恐れることや、気がかりを意味する名詞です。たまに「危機」と混同されることがありますが、危機は、悪い結果が出るかもしれない不安なときや、危ない状態などを意味する全く別の言葉です。 危機が不安で危ない状態を指すのに対して、危惧は、事が悪い方へと転ぶのではないかと恐れ、気がかりに思う心を表す意味合いが強いといえます。それではいったい、危惧はどんなときに使うのが適切な言葉だといえるのでしょうか。

例文で「危惧」の使い方を確認しよう

危惧という言葉を使うのに適切なシーンはどんなときなのでしょうか。口頭で使うことはあまりないでしょうが、少し硬めの改まった文書を書く際には用いることもあるでしょう。 「危惧される」「危惧する」「危惧の念を抱く」という三つの言い回しを例に、使い方をシミュレートしていきましょう。

case1:危惧される

物事に対して自分がストレートに危機感を示しているのではなく、あることに対して自分は第三者の視点から論じる立場にあるときに用いられることの多い表現です。 たとえば、ある町で過疎化が進んでいたとします。大人はもちろん、子どもの人数も激減し、このままでは二つある小学校を一つに統合しなければなりません。そんな背景があるとすれば、「過疎化の影響で一つの小学校の廃校が危惧されている」というように状況を表すことができます。 また、成長した子どもたちが仕事を求めて町から都会へ流出するようになった場合、「若者離れが深刻で、町の平均年齢が一気に上がるのではないかと危惧されている」という事態に陥ることもあるでしょう。 このように、自分自身だけが物事に対して危機感を抱いているというのではなく、多くの人たちが抱いている危機感を自分が話者の立場から表明する場合に「~が危惧される」とするのが一般的だといえます。

case2:危惧する

あることに対して自分自身(話者や筆者)が危機感を抱いている場合に使う表現です。 たとえば、大学に進学したはいいものの、毎日サークル仲間と飲み歩いてばかりで講義にも出席せず、単位を落としてばかりいる学生がいたとします。そんな学生には、「遊び惚けてばかりいる息子の前途を危惧する」母親がいる場合もあるでしょう。 ところがその学生は、なんとか四年生まで進級し、就職活動に励むようになりました。エントリーシートを書いては面接に向かいますが、なかなか内定をもらうことができません。そのような毎日を過ごしているうちに、彼は「自分自身の将来を危惧するようになった」という状態に陥ることもあり得ます。 危惧するということは危機感を抱くということであり、ほとんどの場合、主語は自分(話者や筆者)です。自分自身が何かに対して不安を抱き、気がかりに思うことを意味する言い方として覚えておくとよいでしょう。

case3:危惧の念を抱く

「危惧の念を抱く」ということは、要するに危機感を抱いているという意味であることは変わらず、それを文語的に表現した言い回しになります。 たとえば、近頃急激に技術が進んでいるAIについて、人間の仕事を奪うものと論じる人がいます。その人たちの考えは、「AIの普及によって人間の雇用が減少するのではないかと危惧の念を抱いている」と表現することができます。 あるいは、AIが単純作業を担うことで人間はよりクリエイティブな仕事、質の高い仕事をこなさなければならなくなるということを憂う声があるとするならば、それは「AIが普及することで、人間はより創造性に富んだ高度な仕事を要求されるようになり、近いうちに能力の限界が訴えられるようになるのではないかと専門家は危惧の念を抱いている」と表すことができるでしょう。 少し硬い表現である分、内容もそれに見合った公的なものや社会性のある話題に用いる方が自然です。

危惧の類語について意味の違いを知って使い分けよう

物事を不安に思い、危ぶみ気がかりに思うことという意味の「危惧」には、いくつも類語があります。ニュアンスは似ていますが、それぞれ少しずつ意味に違いがあるため、それらを把握して使い分けられるように練習していきましょう。 ここでは、「懸念」「心配」「憂慮」「寒心」「危疑」という言葉を例に挙げて解説していきます。

その1:「懸念」の意味と使い方

「懸念」という言葉にはいくつかの意味があります。 古くから仏語としては、一つのことに心をかけて他を考えないということや、あることに執着することという意味で用いられてきました。また、仏語ではありませんが、江戸時代には、気をまわして考え推察するという意味で使われていた言葉です。 「危惧」の類語としての意味には、気にかかり不安に思うことや、その様子などが挙げられます。また、気がかりや心配事そのものを指して使う場合もあります。 会議で新しい企画をプレゼンする際に、「この企画によって平常時の倍以上の集客が見込めますが、一方で、現状のままでは清掃員の数が足りないことや来場者同士のトラブル増加などが懸念されます」などと使うこともできるでしょう。または、「懸念事項としては以下のことが考えられます」と最初に提示する方法もあります。 「危惧」に比べると口頭でも使いやすい言葉だといえるでしょう。

その2:「心配」の意味と使い方

「心配」もまたいくつかの意味をもつ言葉です。 心づかいや配慮を意味することもあれば、何かを斡旋し奔走することを意味する場合もあります。「危惧」の類語として意味を確認するならば、これから何かが起こるのではないかと気にして不安がることを表します。 たとえば、友人の結婚式でスピーチを任され、「緊張でうまく話せないのではないかと心配する」こともあるでしょう。あるいは、本人のそういった不安をよそに、周囲は「あの人がスピーチをするとなると、勢いづいて長引くのではないかと心配だ」という思いを抱えている場合もあるでしょう。 他にも、「明日の朝起きられるか心配だ」「来週のイベントを成功させられるか心配だ」「帰りが遅れて、事故に遭ったのではないかと母に心配をかけた」など、多くの場面で用いられます。 いずれも、まだ起こっていない悪いことが実現するのではないかと不安に思う際に使われる言葉といえるでしょう。

次のページ:「危惧」は物事を気がかりに思うことを表す書き言葉と覚えよう
初回公開日:2018年01月10日

記載されている内容は2018年01月10日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

関連タグ

アクセスランキング