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第三債務者の陳述書の書き方|催促/無視/相殺/差押/仮差押

更新日:2024年01月10日

書類の書き方

第三債務者とは何か、なんの債務者なのか、借金返済を求められるのか、財産を差押えられるのか、不安な思いだけが先行しがちですが、本来の「第三債務者」の意味と役割、果たすべき義務を理解すると不安はなくなります。難しい言葉と思わず、具体的な事例を見つつ考えましょう。

第三債務者とは何でしょう?

第三債務者の意味

強制執行の時には債務者が持つ債権を差し押さえ、そこから債権者が直接弁済を受けます。なので、強制執行は債務者が持つ債権の債務者に対して行われます。 分かりやすく言えば、債務者の収入源なり財産なりを管理している人にその収入源や財産を借金返済のために差し押さえますよ、と言うのが強制執行です。 この時、債務者の収入源や財産などを管理している人を第三債務者と言います。 強制執行は、この第三債務者がはっきりわかっていないと実行できません。なので、金銭の貸す時には、相手の取引先の金融機関なり勤務先などをしっかり教えてもらっておくことが重要です。

債権の種類第三債務者になる人
給料給料を支払う雇用主
預金預金している金融機関
人に貸している賃貸料借主
商売の売掛金取引相手
売買の時の売上債権買った人

「第三債務者」という言葉の使い方

強制執行が行われる債権について債権者をAさん、債務者をBさんとすれば、Bさんがもっている債権(例えば、給料、賃貸料、預金、売上の売掛金など)の相手方が第三債務者です。 AさんはBさんとの間の金銭消費貸借に関して、Bさんが取り決められたとおりの支払いに窮した場合に、Bさんの財産である債権を差し押さえて、そこから弁済を受ける権利をもっていますが、この権利が執行されるのは、第三債務者がBさんに対してもっている債権の範囲内のみです。 例えば、Bさんの1月分のお給料が20万円で、AさんとBさんの間で結ばれた金銭消費貸借のうち返せなくなったのが100万円としても、Aさんが第三債務者に対して強制執行できるのはお給料の分20万円だけです。 つまり、債務者であるBさんと第三債務者との間にある債権の範囲を超える責任を、第三債務者は負うことはありません。

第三債務者と陳述書について

第三債務者がすべきこと

債務の支払いが滞り督促に対して支払いを履行してもらえないときには、まず裁判所に訴えを提起して支払い命令などを出してもらいます。それも守ってもらえないときは強制執行となります。その流れは次のようになります。 まず、支払いの訴えを提起した裁判所で手続きを行い、「確定証明」「送達証明書」「執行文」を取得します。 それから債権差押命令書を裁判所に提出します。これには、「申立書」「請求債権目録」「当事者目録」「差押債権目録」を添付します。 また、第三債務者に対し裁判所書記官から差押債権の有無などについての陳述催告を受けた場合は、正しく陳述しなければなりません。嘘をついたり、嘘をついたことで債権者に損害が生じた場合には損害を賠償することになります。

第三債務者の陳述書の書き方

陳述書の催告の中身は次のようなものです。 ①差押にあっかる債権の存否 ②差押債権の種類・額 ③弁済意思の有無 ④弁済範囲、または弁済しない理由 この陳述書の催告は、差押命令の送達と同時もしくは遅くとも差押命令書が発送される前に申し立てをしなければいけません。催告書と一緒に陳述書(回答書)も送付されますので、なるべくそれを使用して誤りや嘘が無いように記載します。 ①債権の存否というのは、例えば既に何らかの理由で該当する債権が他に譲渡されるなどして、第三債務者のものではなくなっている場合などには「ない」として、譲渡などの理由について詳しく記します。 ③弁済意思の有無④弁済範囲については、意思がない場合はその理由を記載し、また当該債権者よりも優先する債権者が居る時は、それについて詳細に記載します。 陳述書は、差押命令正本送達の日から2週間以内に書面で作成します。

第三債務者と供託とは?

供託とは?

供託とは供託所に財産を提出し管理してもらい、供託所を通じて権利者に債務の弁済や裁判の保証などをしてもらう制度です。 第三債務者に対して複数の債権者から差押の申し立てがあった場合には、第三債務者は該当する債務を供託する事で、弁済の優先順位をつけたりする煩わしさや弁済が遅れて遅延賠償金が発生する危険から逃れる事ができます。

第三債務者が行う供託の方法

差押命令書が届いたら第三債務者は、自身の持つ該当する部分の債務の金額相当分の金銭を持って供託という方法をとる事で、余計な弁済遅延などの事態から逃れる事ができます。

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初回公開日:2018年02月20日

記載されている内容は2018年02月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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