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「偲ぶ」の意味・古文での意味・「故人を偲ぶ」の使い方

社会人常識

訃報などのニュースでよく使われる言葉「偲ぶ(しのぶ)」の意味を正しく知っていますか?今回は「偲ぶ」の意味と使い方を例文を使って、ご紹介します。また、同じ読み方の「忍ぶ」についても意味と「偲ぶ」との違いについて紹介しています。

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「偲ぶ」とは?

「偲ぶ」という言葉を知っていますか。「偲ぶ」は「しのぶ」と読みます。よく「故人を偲ぶ」や「苦労を偲ぶ」などの使われ方をします。聞いたことはあるけれど、はっきりとした意味はよく知らないという方も多いのではないでしょうか?今回は「偲ぶ」の言葉の意味と使い方をご紹介します。

「偲ぶ」の意味

「偲ぶ」という漢字は「人(にんべん)」と「思い」という構成でできています。そして、この言葉の意味をそのまま表現している構成でもあります。 「偲ぶ」(「慕ぶ」と書かれるときもあります)には大きく分けて3つの意味があります。一つは「なつかしく思い出す」という意味です。これは過ぎ去った日々や遠く離れていったことや人、つまり思い出を、なつかしむ気持ちや賞賛・同情の気持ちをもって思い出す、追憶することを意味しています。 二つ目は「慕わしく思う」ということです。「物や人に対して、心惹かれて思いを巡らす」「自分にとって、その物・人が好ましいということが自然と推測される」という意味です。この意味で使うときは「偲ばれる」という形で使います。 三つ目は「愛でる(めでる)」という意味です。目の前にある物の美しさに感心し、賞賛することです。

「偲ぶ」と「忍ぶ」の意味の違いは?

「しのぶ」という読み方をする言葉には「偲ぶ」の他に「忍ぶ」という言葉があります。こちらも、どこかで耳にしたことがある言葉だけれど、意味ははっきりとは分からないという方も多い言葉ではないでしょうか? 「忍ぶ」にも大きく分けて3つの意味があります。3つの意味と例文をつけて、ご紹介します。

1:「こらえる」

一つ目は「辛いことをがまんする」「じっとこらえる」「耐える」という意味です。ここでの「辛いこと」というのは主に肉体的ではなく、精神的な苦痛のことを表しています。 【例:】 「恥を忍んでお願いに参りました。」 「今はこの状況を耐え忍ぶしかない。」 類義語に「耐える」「堪える」がありますが、「忍ぶ」との意味の違いは「苦痛の違い」にあります。「耐える」は「持続的な苦痛」に対して使われ、「堪える」は「肉体的または精神的な苦痛や痛み、おかしさ」に対して使われます。

2:「こっそりする」

二つ目は「自分の存在や行いを、他人に知られないようにこっそりする」「外側から見えないようにして身を投じる、隠れる」という意味です。 【例:】 「二人は人目を忍んで逢瀬を重ねた。」 「これは世を忍ぶ仮の姿に過ぎない。」 類義語には「憚る(はばかる)」があり、これも「目立たないように、こっそりする」という意味ですが、こちらはどちらかというと「人目も憚らずに路上で泣きわめく。」などのように「憚らず」という打消しの形で「目立ってしまうことを気にもせずに」という意味で使われることが多いです。

3:「気持ちを抑える」

三つ目は「自分の気持ちを表すことを抑える・こらえる」という意味です。一つ目に紹介した意味の「こらえる」との違いは「自分以外に向けられた気持ち」という点です。 現代語においては「〜するに忍びず」「〜するに忍びない」という打ち消しの形でのみ使われるので、つまり「自分から見た誰か・何かに対する気持ちを抑えることができない・耐えられない」という意味になります。 【例:】 「思い出の品を捨てるのは忍びなく、いまだに押入れにしまいこんだままです。」 「その時の彼の落ち込みようといったら、見るに忍びないものがあった。」 「忍びない」は「申し訳ない」と同じような意味で使われていることが多いですが、実はこの2つの言葉は似て非なる言葉です。「申し訳ない」は謝罪の意を表しているのに対し、「忍びない」は「自分がその状況に耐えられない」という意味合いも含んでいます。

古文での「偲ぶ」の意味

古文においても、和歌や随筆に「偲ぶ(または「慕ぶ/賞ぶ」」という言葉は多く見受けられます。意味は現代と同じで、「懐かしく思う」「物の美しさを褒め称える」という意味で使われていました。 平安時代より前は「しのぶ」は「忍ぶ」を表し、「偲ぶ」は「しのふ」と言い、清音になっていました。 しかし、「忍ぶ」は「こらえる、こっそり行動する」という意味ですが、「偲ぶ(しのふ)」がもつ「遠く離れてしまった人を思い起こす」という意味と、そのつらさを「じっとこらえる(忍ぶ)」こととが通じるものがあるとし、「しのふ」も「偲ぶ(しのぶ)」と同じ読み方になったと言われています。

古文での「偲ぶ」例文

季節の草花や風景の美しさについて和歌を詠むことは平安時代の貴族にとっての娯楽であったため、「物の美しさを褒め称える」という意味を持つ「偲ぶ」は多くの古文に使われています。 ここでは国語の授業でも習う有名な「万葉集」と「徒然草」から例文をご紹介します。 【例文】 「黄葉(もみつ)をば取りてそしのふ」(出典:万葉集) 訳文:黄色く色付いた葉を手に取って、その美しさを賞美する。 「浅茅(あさぢ)が宿に昔をしのぶこそ」(出典:徒然草) 訳文:茅が茂った荒れている家に、昔を思い出すことこそ

「偲ぶ」を使った例文と使い方

上記では「偲ぶ」の意味について、お話ししましたが具体的にどのような使い方をするのかを例文を使って、一つずつご紹介します。

「故人を偲ぶ」

ニュースで訃報が伝えられたときなどに「故人を偲ぶ」という言葉をよく聞きますが、これは上記でご説明した意味を当てはめると「なつかしく思い出す」になります。つまり、亡くなってしまい、もう二度と会えなくなってしまった大事な人との思い出を懐かしんで、回想するということです。 【例】 「故人を偲ぶために、写真やゆかりの品を飾ることにした。」 「故人を偲ぶ懐かしい思い出話をみんなで語り合った。」

「偲ぶ会」の意味

最近ではお葬式や告別式とは別に「偲ぶ会」を催す場合も多くなっています。 「お葬式」は「故人を弔う」ための正式な儀式であり、厳粛な雰囲気の中行われるのが一般的です。多くの場合、その家の宗教や宗派の影響が濃く、決まり事やマナーも細かく決められています。 「偲ぶ会」は「故人を偲ぶ」ことが目的ですので、リラックスした雰囲気で故人との思い出を集まった人たちで語り合ったりします。服装も喪服ではなく、平服(普段着)での出席を指定されることも多いです。 また、開く時期にも決まりはなく、お葬式の後であれば、いつ開いても構わないです。多くは、故人のことが話題にあがりやすい故人の誕生日や一周忌に前後して催される場合が多いです。

「苦労を偲ぶ」

「苦労を偲ぶ」は「(人の)苦労してきた日々や気持ちに同情して思い返す」という意味です。こちらの場合は「懐かしむ」というよりも、その人の苦労に対する「賞賛」や「同情」の気持ちが強いです。 【例:】 「今のような科学が発達していないころの、先人の苦労を偲ぶ。」 「歴史博物館には当時の苦労を偲ぶ資料がたくさん保存されている。」

「人柄が偲ばれる」

「人柄が偲ばれる」は「(人・物などが自分にとって)好ましいことが推測される」という意味をもっています。この意味で使う場合は「偲ばれる」という形で使います。「偲ぶ」を「れる」という助動詞をつけた形にすると「尊敬」「受け身」「自発」の意味合いが強くなります。 【例:】 「暖かな家の雰囲気に家主の人柄が偲ばれる。」 「誕生日にこんなにたくさんの人が集まるとは、彼の人柄が偲ばれる。」

大切なものを偲ぶ時間を・・・

今回は「偲ぶ」という言葉の意味や使い方をご紹介しました。なかなか、日常会話の中では自分では使わない言葉ですが、ニュースなどで見聞きすることもあるので、意味を知っておくにこしたことはない言葉です。 毎日仕事や育児やさまざまなことに追われて忙しく日々を過ごしていると、疲れてしまいます。そんなときに、大切な人たちとの思い出や大切な場所などを偲んでみるのはいかがでしょうか。きっと、「また頑張ろう」と前向きな気持ちになれるはずです。

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