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「悪法も法なり」の意味と使い方・例と法哲学での意味

更新日:2024年02月26日

言葉の意味・例文

「悪法も法なり」という言葉を聞いたことがありますか。この「悪法も法なり」は、法治主義や法治国家が法を守らなければならないということの説明としてよく出てきます。「悪法も法なり」の意味や使い方、この言葉のもととなった言葉についてまとめましたので、ご参照ください。

「悪法も法なり」の意味と使い方

「悪法も法なり」という言葉を知っていますか?この「悪法も法なり」とは、「悪法もまた法なり」という言い方もしますが、ギリシャの哲学者であるソクラテスの言葉が由来とされている言葉です。意味としては、たとえ悪法だとしても、法律として守らなければならないというたとえで、いくら悪い法だとしても、法治国家であれば勝手に法を破ってはいけないという考え方です。

「悪法も法なり」の使い方

前述のように、「悪法も法なり」とは、あまり良くない法でも法律を守らなければならないというたとえとして使われます。以下に、こういった使い方をするという例文をご紹介します。 (例文) 「こんなことを学則で決めているなんてひどいよ。プライバシーの侵害もいいとこだよ。」「悪法も法なりっていうじゃない。守らないと損をするのは、自分だよ。」

「悪法も法なり」の例

「悪法も法なり」という例えは、いやな規則でも守らなければならない、理不尽なことでも受け入れないとといった忠告や、慰めのような場合に使われます。以下に、「悪法も法なり」を使った例文をご紹介します。 (例文) 1.「まったく受け入れがたいが、これも悪法も法なりということだな。」 2.「こんなことが禁じられるなんて世も終わりだけど、悪法も法なりだからね。」 3.「いくら悪法も法なりと言っても、君の言うことはあんまりだよ。」 4.「悪法も法なりというけど、こんなに横暴なことがまかり通るなんて信じられない。」 5.「あなたには受け入れがたいことでしょうが、悪法も法なりということです。」

「悪法も法なり」の法哲学の意味

「悪法も法なり」という考えの根本になっているのは、「法は守られなければならない」という法哲学的な考え方です。あるルールを法で定めたとして、その法を絶対的に守らなければ秩序は保てません。しかし、その法自体が悪法だった場合はどうなるのでしょうか。

法哲学上の悪法問題

悪法問題を説いたものとして、ソクラテスが言ったとされる「悪法も法なり」という言葉が取りあげられます。法哲学の上では、法は守らなければならない、守られることが前提のものなのですが、その基礎になる法そのものの正当性については規定されていません。法改正が幾度となく行われていることを考えれば、ちょっとおかしな規定(悪法)は、いままでも多数あったといえます。 しかし、法治国家においては、法が多くの人からおかしいと考えられているからといって、守らなくても良いとはならないということです。その法がおかしな悪法であれば法改正されるべきであって、法改正されるまでは守られなければならないという考えが一般的で、それを表す言葉として「悪法も法なり」という言葉が使われるということです。

法治主義者

法治主義者とは、国家において全ての決定や判断は、国家が定めた法律によって下されるべきという主義の者をいいます。法治主義者にとっては、形式的に法形態が整っていれば、どんな理不尽で良くない法だとしても守るべきものだという考えです。「悪法も法なり」という言葉は、法治主義者にとってとても都合の良い言葉として、よく使われます。

「悪法も法なり」の出典

「悪法も法なり」の言葉のもととなった、ソクラテスの言葉は、プラトンの「パイドン(Phaedo)」の出典がもとと言われています。

「悪法も法なり」の原文

この中で、ソクラテスが言った言葉として以下の言葉があります。「obey and do not do otherwise」この言葉が、日本語として「悪法も法なり」と訳されていると考えられますが、これは直訳すれば、「従う、それ以外のことはしない」です。 この言葉の前には、投獄されて死刑を言い渡されたソクラテスに、弟子たちが脱獄や刑の執行を遅らせようと進言しているのに対して、ソクラテスが言ったと記されています。直訳からすれば、「自分の哲学から、死を選ぼう」という意味であって、「悪法も法なり」とは言ってません。

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初回公開日:2017年11月20日

記載されている内容は2017年11月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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