IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

「すべからず」の意味と使い方・本来の意味・漢文での使われ方

更新日:2024年01月17日

言葉の意味・例文

「すべからず」という言葉、少し古風な感じで、厳しくいさめるような感じを受けます。なんとなく「すべからず」をの意味をわかっているようにも思いますが本当に正しく理解していますか?間違えやすい似た言葉も交えて「すべからず」をもう1度見直してみます。

「すべからず」の意味と使い方

少し古めかしい感じのする「すべからず」という言葉。強くいさめられる感じがする言葉です。「すべからず」という言葉を正確に理解していますか。

「すべからず」とは意味が違う「すべからく見よ」

「すべからく」は「すべからず」と似ている感じがしますが、意味は全く違います。「すべからく」は「当然」「ぜひとも」という、必ずやらなければいけないという意味で使われます。「須く」と書きます。 「すべからく見よ」は「幻想魔伝最遊記」というアニメで、次回の予告の時のきめゼリフとして使われていました。「すべからく」を「すべて」と解釈し「みんな見て」という意味にとると間違いです。正しい意味は「当然、見るべき」です。「すべからず」と「すべからく」は語感が似ていますが、「すべからず」と「すべからく」は意味が違います。

漫画「はじめの一歩」の「すべからく努力しておる」

「はじめの一歩」というボクシングを題材にした漫画があります。過酷な減量をおこない世界戦に挑む鷹村にセコンドの鴨川会長が言った言葉でも「すべからく」は有名になりました「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし、成功した者は皆すべからく努力しておる。」後にこのセリフは漫画を出版している講談社の標語にもなりました。 この鴨川会長の発した「すべからく」も「全て」「ことごとく」と解釈すると間違いです。鴨川会長のセリフは「努力した者がすべて報われるとは限らない。でも成功した者は皆、当然なこととして努力している。」という意味になります。もちろんここで使われている「すべからく」も「すべからず」とは、その言葉の持つ意味が異なります。

「すべからず」の本来の意味

「すべからず」の本来の意味は、ある行動に対してはいけないと禁止する、駄目だと言う、許さない、許可しないということです。「してはいけない」「するべきではない」、そんな意味をあらわす言葉です。「するべからず」とも言います。文章を書くときに使われる言葉、文語です。 「すべからず」の「す」は「する」の意味、「べからず」は助動詞「べし」の打消しです。「べし」には推量、意思、可能、当然、命令、適当の6つの意味があり、「べからず」はその否定形となります。

「すべからず」が使われていることわざ

ことわざにも使われています。「好機逸すべからず」です。よい機会、チャンスを逃してはならない、という意味です。ここでも「すべからず」は好機を逃すことを「してはいけない」という意味で使われています。ちなみに「好機逸すべからず」と同じようなことわざに「思い立ったが吉日」「善は急げ」があります。 「天機もらすべからず」の「天機」は神の秘密=重大な秘密のことで、大切な秘密はどんなことをしても人に知られないようにしなければいけないという意味です。

「すべからず」の漢文での使われ方

「一寸の光陰軽んずべからず」

「すべからず」は漢文でも使われています。「少年老易学難成 一寸光陰不可軽 枕上未醒芳艸夢 階前梧葉已秋声」という有名な漢詩があります。「少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず 未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢  階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声」と読みます。 詩の内容は「若い時はすぐに過ぎて、学問を成就させることが難しい。ちょっとした時間も大切にしなければいけない。池のそばに咲く春草の夢も覚めないうちに、あっと言う間に青桐の葉が秋の訪れを知らせている。」 ここから「少年老い易く学成り難し」(すぐに年月がたって歳を取り何も学べなく終わってしまうので、まだ先があると思わずに若いうちから勉学に励むべし)ということわざができました。

「よらしむべし、しらしむべからず」

孔子の論語「子曰、民可使由之。不可使知之」の一文です。読み方は「子(し)曰(い)わく、民(たみ)は之(これ)に由(よ)らしむべし。之(これ)を知(し)らしむべからず。」です。 「人民は黙って政治につき従わせておくべきだ。内容をその都度説明するべきではない。」という意味で使われることもありますが、本当の意味は「政治に従わせることはできるが、1人1人にその内容を正確に理解してもらうことは難しい。」という意味だと言われています。

「すべからず」の類語

次のページ:「すべからず」と「すべからづ」の意味の違い
初回公開日:2017年11月21日

記載されている内容は2017年11月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

関連タグ

アクセスランキング