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更新日:2024年11月21日
ガラスは様々な分野で広く使用され、家でも職場でも車の中でも、身近に必ず存在しています。私達の日常生活に欠かせないにもかかわらず、ガラスの分子構造や融点など詳しくわかる人は多くないでしょう。今回はそのガラスの種類や性質など、融点を中心に紹介します。
ガラスは耐熱性ばかりに目が行きがちですが、実は低い融点をもつガラスも広く使われています。低い融点をもつ低融点ガラスは、下記のような用途に用いられています。
低融点ガラス成分の中心が酸化物であることから、低融点ガラスによる金属表面の酸化や化学薬品に対する保護剤として使用されています。
電子材料、セラミックス、合金などの接着・封止に低融点ガラス接着剤が用いられます。現在は車載用の気密端子部品としての需要が拡大しています。
低融点ガラスが単なる電気絶縁材料というより、抵抗体、コンデンサ、トランジスタなどのエレクトロニクス部材を、直接低融点ガラスでシールして、湿度その他の外界からの影響を防ぐために用いられています。
低融点ガラスは、酸化物ガラスでホウ酸塩系、ケイ酸塩系、ゲルマネート系、バナデート系、リン酸塩系、ひ酸塩系、テルライド系などがあり、一般には各系のガラス形成酸化物が組成の半分以上を占めるので、その溶融点の高低がそれらのガラスの融点に大きく関係します。 ガラス形成酸化物の溶融点は二酸化ケイ素1650℃、酸化ホウ素450℃、リン酸358℃、酸化ゲルマニウム1085℃、酸化テルル450℃で、安定した網状構造を持っている二酸化ケイ素や 酸化ゲルマニウムが高溶融点を示し、平面状網状構造の酸化ホウ素やリン酸などは低いです。酸化テルルは非対称構造であるため、この系のガラスも低融点です。 このように、低融点ガラスは種類も豊富でさまざまな分野で、かつさまざまな用途で広く利用されているため、今後も開発が進むでしょう。
ガラスに触ると当然硬い感触が得られますが、実はガラスは「固体」 ではありません。 固体とは分子が規則正しく並んだ構造をとる結晶を意味します。物質を構成する分子の間には分子間力と呼ばれる引力が働き、分子が規則正しく並びます。しかし、ガラスの内部はランダムに分子が詰まった構造であり、化学的に言えば「液体」と言えます。 「動きが凍結した液体」のことをガラス状態と言いますが、液体を融点以下に冷却していくと分子が詰まっていき、各分子が運動できなくなり、周囲の分子を巻き込んで協同的に動くようになり、どんどん動きにくくなっていきます。この動きが遅くなった状態の極限がガラス状態です。
ガラス状態は粘性が極端に大きな液体にすぎないのか、それとも「ガラス状態」という新しい状態なのか、長い間正確な答えが出ていませんでした。しかし、少し前の「ガラスは液体がそのまま固まった状態」と考える説から、現在は「アモルファス状態」にある固体である、と定義が一般的になりつつあります。 一方、すべての分子がガラス状態になるわけではなく、水のように融点以下に冷却すると、すぐに結晶化する物質も多く存在します。結晶化する物質とガラスになる物質の間に何の差があるのか、この問題もいまだ解明されていません。
ガラスの融点の一覧を見てみましたが、いかがでしょうか。身近には多種多様なガラスが見られ、かつガラスにはいまだに解明されていないこともあります。今後さらなる研究が進んで、ガラスの性質の解明や物理的、科学的特性の応用も期待されます。また、ニューガラスという新しい性質をもつガラスも開発され、新たな転換期を迎えるでしょう。
記載されている内容は2017年11月26日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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