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石英/ホウケイ酸ガラスなどの融点一覧・軟化点との違い

更新日:2024年11月21日

趣味

ガラスは様々な分野で広く使用され、家でも職場でも車の中でも、身近に必ず存在しています。私達の日常生活に欠かせないにもかかわらず、ガラスの分子構造や融点など詳しくわかる人は多くないでしょう。今回はそのガラスの種類や性質など、融点を中心に紹介します。

身近にあるガラス

日常よく見るガラスは、下記のようなものがあります。 ・板ガラスは文字どおり板状のガラスで、一般的に厚みの大きなガラスに総称されます。平滑でゆがみの少ない透明板ガラスは、窓ガラスなどに使用されます。 ・安全ガラスは普通ガラスより割れにくく、万一破損しても飛び散りにくいガラスです。衝撃も吸収しやすく、車のフロントガラスなどに使用されます。 ・耐熱ガラスは高熱に強く、レンジやオーブンにも耐えられる調理器具などに用いられるガラスで、調理器具や実験器具などに使用されます。 しかし、それ以外にもたくさんのガラスが開発され、身の回りに存在しています。今回は融点を中心にさまざまなガラスの性質を見てみましょう。また、一体ガラスとは何なのか、というガラスの本質に迫ってみましょう。

ガラスの融点と軟化点の違いについて

「融点」とは、固体が融解して液体になる時の温度のことをいいます。純物質や物質構成が単純で固体から液体になる温度が比較的明確に測定できる場合に使います。 しかし、温度の上昇とともに柔らかくなっていくのがガラスの特徴で、ある温度でガラスが然融けるという現象は見られません。これを軟化といい、その温度を「軟化点」といいます。軟化点は、各種物質が混ざっていてそれぞれの物質の融点が異なるため、徐々に液体に変化するので明確な融点が測定できない場合に用います。 ガラスの軟化を示す温度は粘度で定義されており、ひずみ点と軟化点で表すのが代表的です。また、熱膨張率が曲がる点としてガラス転移点も決められており、一般的にひずみ点と軟化点の間にあります。

種類別ガラスの融点と性質

石英ガラス

石英は二酸化ケイ素が結晶化してできた鉱物で、その形は六角柱状をなすことが多いです。特に無色透明なものを水晶と呼び、昔から珍重されてきました。石英は白色の粉末で、融点は1650℃、密度は2.2グラム/立方センチメートルです。 石英ガラスは二酸化ケイ素の純度が高いものをいいます。溶融石英、溶融シリカ、シリカガラス、無水ケイ酸、シリカなどとも呼ばれています。金属不純物の割合が極端に少ないために、透明度が非常に高いうえ、耐熱性にすぐれ、薬品に侵されにくいという特徴を持っています。そのため、理化学器具から半導体容器、光ファイバーなど幅広く用いられています。

ホウケイ酸ガラス

ホウケイ酸ガラスはホウ酸を混ぜて溶融して、軟化する温度や硬度を高めたガラスで、融点は約820℃です。耐熱ガラス、硬質ガラスとして使用されています。熱膨張率が低く、一般のガラスに比べて熱衝撃に強い性質があります。耐熱性、耐薬品性に優れていることから、理化学器具や台所用品などに用いられています。

パイレックス

アメリカのコーニング社がホウケイ酸ガラスの一つを「パイレックス」と商標を取ったことから、ホウケイ酸ガラスをパイレックスと呼ぶことがありますが、パイレックスもホウケイ酸ガラスの一種です。 パイレックスの組成は石英約80%、酸化ホウ素11~13%、酸化アルミニウム2~3%、酸化カリウム・酸化ナトリウムなど数%で、軟化点は821℃です。 1900年代にコーニング社が旭硝子株式会社、岩城硝子株式会社との間でホウケイ酸ガラス製造技術援助に係わる契約により技術を伝えて日本でもパイレックスが製造され、現在では多くのパイレックス以外のさまざまな耐熱ガラスも作られています。

リン酸塩ガラス

リン酸塩ガラスは、耐水性に問題がありますが、さまざまな分野で使用可能なガラスです。 燃料電池用隔膜、磁性ガラス、生体関連材料としての用途があり、リン酸塩ガラスの耐水性を改善するためには、石英約、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ナトリウムなどを適切に添加することにより達成できます。 原子力分野において、核分裂生成物などの高レベル放射性物質を安定化するための材料として鉄リン酸ガラスが開発されており、このガラスはホウケイ酸ガラスと同程度の物性値を示し、かつ粘性の点ではホウケイ酸ガラスよりも優れています。そのため、幅広い分野で開発が進められているガラスの一つです。 また、金属表面の保護材やガラス同士の接着剤として、低融点ガラスが使用されていますが、その中でもリン酸塩ガラスが注目されています。リン酸塩ガラスは400℃以下まで融点を落とすことができます。

ガラスの融点を下げる要素とその目的

低融点ガラスの用途

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初回公開日:2017年11月26日

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