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更新日:2024年09月16日
「宗教」「宗家」などなんだか堅苦しいイメージのある「宗」という漢字は、どんな意味があるのかご存知ですか。「宗」とはもともと「祖先信仰」を表している漢字でした。その他にもいろいろな意味や読み方があり、またその意味から名付けにもふさわしい漢字です。
「宗」という漢字は、自分のルーツである「祖先」を意味する言葉です。そのことから「おおもと」「総本家」という意味になりました。のちにおおもとを守る長や頭のことも意味するようになり、そこから尊ぶや貴ぶという意味も持ちました。 「おおもと」を意味する言葉として「宗子」(跡継ぎ、長男)や「宗家」(一門、一門の本家・家元)があり、長や頭を意味する言葉は「宗匠」(大工の頭、棟梁)や「宗主」と言います。 師のことを「宗師」、長老として尊ばれるものを「宗老」と呼び、尊ぶものとします。 また「主だったもの」「重要な物事、人」のことも「宗」とします。「宗臣」(重い役について世間から尊敬されている家臣)、「宗旨」(そうし、主旨のこと)がその意味を表します。 「宗」は一族そのものも表しています。同じ祖先から出た一族のことを「宗門」「宗族」、同じ源から出た流派、学説、教義などを「宗派」とします。
「宗旨」は「そうし」の他に「しゅうし」とも読み、「しゅうし」と読む場合にはその人の主義主張、好みなどを表します。「宗旨を変える」とは、それまでの主義や主張、好みを変えること、そのほかに信じていた学説や信仰していた教義を変えることです。 趣旨は、宗旨と意味も読み方も似ていますが、趣旨の方は「物事をする狙い」「あることをする時の考え、目的」のことを表します。 よく主義主張を変えること、趣味を変えることを、趣旨替えと使うがありますが、これでは「目的を変えること」となってしまいますので、趣味を変える、主義を変えるの場合には、宗旨替えが正しい表記になります。
宗はもともと祖先の霊を信仰する「祖先信仰」を表していました。それから転じて、「祖先をもととする」すなわち、物事の始まりを表す「もと」という読み方や、中心を表す「むね」(胸=心臓のこと)という読み方を持ちました。 宗の表す、御霊屋は先祖を祀る廟のことを言い、この廟が一族の中心であると考えられてきました。そのため、宗は「一族の中心」という意味を持ち、そのおおもと、中心を尊ぶという意味も持ちました。 また「宗」には「祖先の中の有徳者」という祖先の中の、一族を名のあるものにした人物を祀る、尊ぶと意味もあります。
「宗」は「うかんむり」と「示」でできている会意文字です。うかんむりは屋根が覆いかぶさっている形を表しており、家屋を表しています。宗に使われているうかんむりは、神殿です。 うかんむりの中に入っている示は、二が天を表し、下の作りは月、星、日を表しています。このため示は、天が天文によって吉凶を占うものであり、神を表す文字に多く用いられます。 また他の説では、示は足つきの祭壇のことを言い、この祭壇の上に置かれた生贄から血が滴っている様子を表しているとされているそうです。 このことから宗は、神殿の中にある祭壇を意味し、祖先信仰から、神=祖先の霊を祀った御霊屋(みたまや)の意味から、尊い、おおもと、本家を表すようになりました。
宗は「むね」「しゅう」「そう」というのが主だった読み方です。この読み方それぞれに意味があります。 「しゅう」「そう」は音読み、「むね」は訓読みです。 訓読みではそのほかに「尊ぶ」(たっと・ぶ)「貴ぶ」(とうと・ぶ)という読み方もあります。これは、宗は「祖先の御霊屋」(みたまや)という意味を持つため、御霊屋を守る宗家を尊ぶ、本流である本家を貴ぶという意味から、この読み方が付加されました。 また人名で使うものには「尊ぶ」から「たかし」、おおもとから「もと」というように、宗の意味から取られた読み方があります。そのほかにも「かず」や「とき」、「とし」「のり」「ひろ」などの読み方があります。
「むね」という読み方には、「そのものの主とすること」「大事な点」という意味があります。「安全が一番だ」ということを伝えるときに「安全を宗とする」というように言い換えて使うことが可能です。 また「宗と」となるとその意味は、集団の中の「長」や「大将」、重要な人物を指したり、一番重要なこと、というようになります。これは古語に分類されている言葉です。
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