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アファーマティブアクションとは何か?問題点や日本での導入事例2つを紹介

マネジメント

社会的・歴史的に差別や迫害・抑圧を受けてきたマイノリティがマジョリティと同じ地位や環境を得られるように、マイノリティを優遇する政策のことをアファーマティブアクションと言います。この記事ではアファーマティブアクションについて特集しているのでご覧ください。

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アファーマティブアクションとは?

「アファーマティブアクション」という言葉を社会科や歴史の授業で習ったことがある方も多いことでしょう。 社会的・歴史的に差別や迫害・抑圧を受けてきたマイノリティがマジョリティと同じ地位や環境を得られるように、マイノリティを優遇する政策のことをアファーマティブアクションと言います。 白人によって迫害を受けてきた歴史を持つアメリカの黒人や、男性から抑圧・差別を受けてきた女性などがその対象となります。

海外での別の呼び方

では、アファーマティブアクションは海外でどのように呼ばれるのでしょうか。 そもそもアファーマティブアクションとはアメリカで生まれた用語ですので、海外でもこの呼び方をされるのが一般的ですが、時には「ポジティブ・アクション」という呼び方をされることもあります。 迫害や抑圧を受けてきたマイノリティを教育や雇用を通じて優遇し、彼ら・彼女らの置かれた環境や社会的地位を積極的(ポジティブ)に改善していくからです。

アファーマティブアクションの目的

アファーマティブアクションは公民権運動や女性解放運動が盛り上がりを見せた1960年代のアメリカで生まれた概念で、白人や女性といったマイノリティがマジョリティと同等の権利と地位を獲得することを目的としていました。 黒人や女性に生まれただけで、白人や男性が手に入れられる教育や雇用の機会が自動的に与えられない状態を変えるため、教育や雇用で優遇をすることで、生まれつき奪われた機会を回復させることができます。

アファーマティブアクションの事例2つ

以上では、アファーマティブアクションの歴史的背景やその意味・目的などについてご紹介してきました。 ここからは、アファーマティブアクションについてより理解を深めるために、その具体的な事例を2つピックアップしてご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください。

アファーマティブアクションの事例1:教育現場

アファーマティブの事例としてまず挙げられるのが、教育現場でのケースです。 たとえばアメリカでは黒人や先住民の人々は白人によって激しい迫害と差別を受けてきたため教育を受ける機会が不十分で大学入学ができないケースが多く存在しますが、このような状態を是正するためにマイノリティを優先的に入学させる措置が取られています。

アファーマティブアクションの事例2:雇用体制

女性は歴史的に男性によって差別的な扱いを受け、ビジネスシーンにおいても女性というだけで排除されてきたため、このような状況を是正するために、女性を積極的に登用するというアファーマティブアクションが存在します。 たとえば、同じ能力の男性と女性がいれば、マイノリティであるというだけで機会を奪われてきた女性を優先的に雇用するという方針を掲げている職場もあるほどです。

アファーマティブアクションの問題点3つ

アファーマティブアクションは、マイノリティを優遇することで、マジョリティによって長年正当な権利を奪われてきたマイノリティに同等の権利と社会的な地位を取り戻させることを主眼としています。 しかし、そんなアファーマティブアクションには批判が向けられていることもまた事実です。ここからは、アファーマティブアクションの問題点について見ていきましょう。

アファーマティブアクションの問題点1:不利な立場の利用

アファーマティブアクションの問題点としてまず挙げられるのが、マイノリティや社会的弱者であるという立場を利用して、不当に優遇を得ようとする人が一部存在するということです。 マイノリティがマジョリティによって迫害され、さまざまな権利を奪われてきたのは事実ですが、裕福で社会的地位があるマイノリティも存在しており、そのような人々がマイノリティであるというだけで不当に優遇措置を享受する可能性もゼロではありません。

アファーマティブアクションの問題点2:逆差別の発生

逆差別が発生するというのも、アファーマティブアクションが内包する問題点のひとつとして挙げられるでしょう。 たとえばマイノリティを優先的に入学させるという教育現場でのアファーマティブアクションは、ともすれば白人男性などのマジョリティを不当に逆差別し、彼らが入学をして学習をする正当な権利や機会を奪ってしまうことになりかねません。

アファーマティブアクションの問題点3:人種差別の助長

アファーマティブアクションの問題点のひとつとして知っておきたいのが、人種差別を助長し得るということです。 アメリカにおけるマイノリティである黒人や先住民の人々が教育や雇用で一部優遇されるということに見当違いな怒りを向ける白人も少なくなく、そのような人々は「黒人や先住民は努力もせずに優遇されてばかりいる」と人種差別的な憎悪を掻き立てようとします。

日本にアファーマティブアクションの導入例5つ

アメリカで1960年代に生まれたアファーマティブアクションは、実は日本社会においても取り入れられているということをご存知でしたでしょうか。 ここからは、日本におけるアファーマティブアクションの導入例についてご紹介していきます。

日本にアファーマティブアクションの導入例1:男女共同参画基本計画

日本のアファーマティブアクションの事例としてまずご紹介したいのが、男女共同参画基本計画です。 日本は先進国の中で最も男尊女卑や女性差別が激しいことで知られており、女性というだけで男性と同じように働くことも給料を得ることもできませんでした。 女性も男性と同じ人間として扱われるようにすること、女性であるというだけで雇用や出世の機会を奪われたり給料を低く設定されないための指針が、男女共同参画基本計画です。

日本にアファーマティブアクションの導入例2:男女共同参画2000年プラン

男女共同参画プランも、日本におけるアファーマティブアクションの導入例です。 2000年までに政治や職場などの公的な領域における女性差別を改善するとともに、「家事や育児は女性の仕事」という差別的な性別役割分担意識を改善させることを目標とした政府の指針です。 ただ、これは女性に対する差別を改善させるための指針であって、女性を積極的に優遇する指針ではないことにも注意が必要でしょう。

日本にアファーマティブアクションの導入例3:女子差別撤廃条約

女子差別撤廃条約も、日本におけるアファーマティブアクションの導入例のひとつとして挙げられます。 女子差別撤廃条約は国連において1979年に調印された国際条約であり、日本は他の国々に送れること6年の1985年になってようやく批准を行いました。 この結果男女均等機会均等法などが成立しましたが、これに関しても女性差別の改善が目標であって、女性の優遇や男性への逆差別が実施されているわけではありません。

日本にアファーマティブアクションの導入例4:男女共同参画社会基本法

男女共同参画社会基本法は1999年に施行されたものであり、男性も女性もお互いを尊重し合いながら、性別に関係なく個々の能力を発揮できる社会の実現を謳ったものです。 この基本法にもとづいて生み出された男女共同基本計画では、女性の管理職の割合を増やすことなどが目標として掲げられてはいますが、あくまで努力目標であって、強力に女性を優遇するというものではありません。

日本にアファーマティブアクションの導入例5:男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法は、女性であるというだけで雇用や出世の機会が阻まれていた女性に男性と同等の権利を与えることを目的として成立した法律です。 これに関しても女性を優遇するというよりも、女性に対するさまざまな差別やセクハラを撤廃し、男女間で性差別にもとづく賃金格差があることなどを解消することが目的であるため、純粋なアファーマティブアクションとは言えない側面もあります。

アファーマティブアクションの導入によって逆差別も発生している

今回はアファーマティブアクションについて特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。近年では、アファーマティブアクションによってマジョリティが逆差別を受けるといった批判が出始めています。 マジョリティへの逆差別は許されることではありませんが、依然としてマイノリティがマジョリティのような権利や環境を得られていないことを忘れてはなりません。 より公平で公正なアファーマティブアクションの運用が求められます。

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