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月給制で欠勤した場合の給料は?|月給制のメリット・年俸制との比較

更新日:2023年12月10日

社会人常識

企業ごとに、給料体系や給料の支払い体系も異なります。月給制とはどんな制度なのでしょうか。月給制の場合は、欠勤した際どうなるのでしょうか。今回は、月給制で残業した場合の給料がどうなるのかや、月給制のメリットについて紹介します。

月給制とは

月給制といっても様々で、正確にいえば、アルバイトの時間給も、月単位で締めて支払えば月給制といっても間違いではありません。この点から給与の制度について整理します。給与にはいろいろな形態があり、月給制といっても、完全月給制、月給日給制や日給月給制というのがあります。これらは一般的に次のように定義付けられています。

①完全月給制

毎月決まった金額を月次の給与として100%支払うもので、例え欠勤等しても、同額を支払うので完全月給制といわれています。

②月給日給制=月給制

あまり使われていない用語ですが、欠勤や遅刻・早退すると、その分を月額の賃金から控除つまり差っ引くというものです。しかし、遅刻など時間(分)単位で控除することも多々ありますので、日給という表現は、適切な用語とは言えません。日給月給制との混合もありますので、これらも単の「月給制」といっています。 ただ、①のように控除しない月給制の場合、これを明確にするために完全月給制という言い方をします。

③日給月給制

日給は一日働いたら、この金額だけ支払います、というものですが、日給月給制は、これを毎日支払うのではなく、一定の期間を定めて、月一回決まった日に支払うというものです。たとえば、毎月1日から月末まで、1日1万円の日給で計算して、15日働いたので翌月の10日に15万円支払うということです。もちろん計算期間や支払日は、自由に設定できるので、労働契約や規程で定めることが必要になります。

④日給制

上記③も厳密にいえば日給制ですが、一般的に日給制といえば、一日ごとに支払うものをいいます。いわゆる日払いがこれに該当します。

⑤時給制

時給制とは、アルバイトやパートタイマーの働き方のように時間単位で働く場合の支払い方をいいます。時給制には、時給月給制という言い方は聞きませんが、毎日毎日支払うのは大変なことなので、日給制のように日払いはないといって間違いないでしょう。やはり、月単位で時間給の計算して、一定の日に支払うのが一般的ですが、中には人材集めのため1週間ごと、2週間ごととにしているところもあります。

⑥年俸制

年俸制とは、プロ野球選手みたいですが、「年間これだけ支払います」と金額を決めてする労働契約です。しかし、月給制と同じように、決まった金額だけというのでなく、時間外手当や、勤怠(欠勤など)によって金額が変わる場合もありますし、場合によっては追加で業績が良いからボーナスが支給されたりすることもあります。 ただし、支払い方は、労働基準法で、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。」となっていますので、毎月支払うことが必要になり、年俸額を12か月で割ったり、ボーナス月の支払いを決めていれば14で割ったりとして毎月1回以上払うことが必要になります。 年俸制で、残業対象者の残業代や、管理職でも深夜勤務部分についての割増の支給が必要ですのでちょっと複雑になりますが、この点は留意しておくことが必要です。年俸制の会社側のメリット場合は、年間の個人の業績や会社の業績を加味して、給与改定がしやすいこととです。もちろん月給制でも同じではありますが、この点をより社員にアピールすることがしやすく、業績が上がれば大幅アップということも実際にあります。 この場合は、人事考課などでしっかりと評価して、合理的だと思われる基準を作っておくことが必要になります。(給与が下がることは「不利益変更」といって合理的な理由がない限り違法になります)

月給制で欠勤した場合

先にご説明しましたように、完全月給制を採用しているところ以外は、欠勤控除をします。この方が月給制といった場合一般的に、有給休暇が多い現在、欠勤を有給休暇に振り替えることを認めている会社も多く、あまり欠勤控除をされたということはないと思いますが、有給休暇日数を超えて欠勤するようになれば、月給制といえどもゼロになってしまいます。 このため、休職制度というものを設けて、私的理由(私傷病など)で長期間欠勤をせざるを得ない場合、休職扱いをして給与月額の何割(一般的には6割)にする、社会保険で休業補償が支給されることになれば、その分は控除します、と定めているところが一般的です。 社会保険の休業補償と同額にすれば、実質合会社の負担はゼロということになります。では、欠勤控除はどう計算されるのかというと、次のような計算式になります。 【基準となる給与月額×欠勤日数÷月平均所定労働日数】 月平均所定労働日数とは、会社の休日を除いた日数で、大体20日前後になります。欠勤控除以外に、遅刻・早退の場合も勤怠控除として差っ引く会社もあります。 計算式は 【基準となる給与月額×遅刻・早退して勤務しなかった時間÷会社の就業時間÷月平均所定労働日数】 となります。

月給制は残業代なし?

完全月給制であっても、またどのような形態の給与であっても、労働基準法が定める所定の時間(1日8時間、週間40時間)を超える時間外勤務は、時間外手当(いわゆる残業手当)を支給しなければなりません。しかも基準となる基本の金額に割増をした割増賃金を支払わねばならないことになっています。 では、割増賃金とはどのようなものか。月間または年間の残業時間数で細かく区分され、それぞれに割増率が定められています(数字は最低基準で、これ以上出すことは任意です)。 ①1か月45時間以内の時間外労働について ・17時から22時:1時間当たり賃金×1.25(法定時間外労働) ・22時から5時:1時間当たり賃金×(1.25+0.25)(法定時間外労働+深夜労働) ・5時から8時:1時間当たり賃金×1.25(法定時間外労働) ②1か月45時間超~60時間以内又は1年360時間超の時間外労働について ・17時から22時:1時間当たり賃金×1.30法定時間外労働 ・22時から5時:1時間当たり賃金×(1.30+0.25)法定時間外労働+深夜労働 ・5時から8時:1時間当たり賃金×1.30法定時間外労働 ③1か月60時間超の時間外労働について(中小企業には、当分の間、この基準の適用は猶予されています) ・17時から22時:1時間当たり賃金×1.50法定時間外労働 ・22時から5時:1時間当たり賃金×(1.50+0.25)法定時間外労働+深夜労働 ・5時から8時:1時間当たり賃金×1.50法定時間外労働 つぎに、残業手当をどのように計算するのか、具体的事例を挙げて説明します。給与が基本給240,000円+皆勤手当3,000円+通勤手当12,000円=計255,000円とします。住宅手当とか家族手当とか通勤手当など、家族数や家賃や距離などに比例して支給するものは算入されず、一律支給されるものは算入します。ここでは、基本給と皆勤手当の計243,000円が基礎金額になります。 年間の所定休日が122日、1日の就業時間が8時間とします。残業代の算出の基礎となる1時間当たりの賃金は次のようになります。 243,000円÷((365日-122日)×8時間÷12か月)=1,500円となります。 この時間単価に割増率を掛けた金額に、残業した金額を掛け合わせます。たとえば普通の残業を月に20時間した場合、1,500円×1.25×20=37,500円が残業手当として支給されることになります。 なお、労働基準法では管理監督の立場にある人には、時間外勤務手当を支給しなくともよいとしています。ただし、管理職といえども深夜(22時から5時)に勤務した場合、深夜手当として0.25の割増賃金を払わねばなりません。

月給制のメリット

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初回公開日:2017年04月01日

記載されている内容は2017年04月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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