連載4回目 当事者として、自分の所属する会社の将来を考える ~転職をしないという選択~

SE出身の田邊氏が語る「今後SEのが描く未来の選択肢」の第四回。転職をせずに社内でキャリアを積む方法はないのか?同士が考え、実行した社内キャリアの探し方とは。

転職をしないという選択肢

前回は、「転職してコンサル業を選ぶこと」を前提に話をしましたが、そもそも「転職しない」という選択肢もあります。
下図に転職活動をしていた当時のことを思い出して、論理ツリーを作ってみました。
すべてを網羅させようとして書いたわけではありませんので、あくまでさまざまなパスを考えるうえでの参考までにご参照ください。

「転職をする」と「転職をしない」の違い

転職を考えていたとき、転職活動と並行して自社内でできることをやってみました。会社そのものが嫌だったわけではなかったですし、やはり転職にはリスクが伴います。
転職してうまく実力を発揮できるか、人間関係はうまくいくか、転勤はないか、企業年金はあるか、福利厚生は充実しているか、労働環境は悪くないか、人事制度はどうか、企業の将来性はどうか、楽しい業務が増えるか、などなど。

普通に考えれば、転職して同じ年収なら、リスクを考えると割に合わないと思います。
転職することにそれだけの魅力が本当にあるのか、将来に渡って、自分のやりたいことや進みたいキャリアに合っているか、自社では本当にやりたいことができないのか、などを考えることが私は大事だと思います。

自社の他部署のことや慣習等を知っていますか?
私が社内で行ったことは、まず、人事部長に相談することでした。今思うと良かったのか悪かったのか、両方の気持ちがあります。結果的に転職を決めた時に少し申し訳ない気持ちになったからです。
ですが、自社についての理解が不十分で、自社内で何もアクションを起こさずに辞めていくのは嫌でした。自社についてしっかりと知ろうという思いがありました。

人事部長に相談しました。

もともとSEとしてキャリアを積んでいくこと、周りと同じようにキャリアを進むことを考えておらず、人と違うことがやりたい。
MOTを取得したこともあり、もっと上流工程に特化したような部署や、経営に関われるような部署はないかと、質問しました。

それから実は自分がよく知らない魅力的な部署があるのでは、と思い、実際のところ何をやっているか詳細がよくわからない部署についてどんなことをやっているのか尋ねました。

質問に対して丁寧な回答をもらったあと、まずは社内で人脈を作ることが大事だとアドバイスを受けました。
そして自分の部署の部長や本部長に相談してみてはというアドバイスもいただきました。直接人事部が介入するのは、やはり難しい様子でした。
社内で人脈を作るのは、何かあった時に声をかけられやすいためで、部長や本部長に相談するのは、部をまたぐ際にスムーズに行くためです。地道に動いていくしかないようでした。

相談に伺ったとき、「今度野球観戦を企画しているんだけど来る?」と誘われました。その場の乗りで参加させていただき、相談したとき話題に出た部署の方と話をすることができました。
また私は、以前から部署をまたがった全社的なイベント等にはたまに参加していました。英語の勉強会やビジネスプランコンテスト等の社内公募、社長や会長が企画する座談会、フットサル大会など。

様々なイベントを通して自社の魅力を感じていたものの、経営的観点まで含めた課題解決に取り組むコンサル会社の方が、将来の自分のキャリアを考えてよいと感じました。
さらに、「社内で人脈を」とか「部長に相談して」とかやるのは、今の状況を変えるのに遠いなと感じました。今すぐ変わりたいと思っていたし、転職も考えていた自分にとって、部長に相談するなどこれ以上社内の人に関わるのは、転職をしないと決めない限りはちょっとやりづらいと思いました。

当事者として考えられるか

よくある会社への不満として、「上司が独裁的」「給料が低い」「休めない」「帰れない」「助けを求めても助けてくれない」などがあるかと思いますが、これを誰かに解決してほしいとばかり思ったり、上司や会社は何もやってくれないと思ったり、何もしてくれないからちっとも状況が良くならないなどと、他人任せにして文句ばかりを言うのと、自分がそれを解決するんだという風に考えるのとでは、その後に起きることが全然違います。

はっきり言えば、前者は転職してもしなくても、きっとうまくいかないでしょう。後者の場合は、自分を当事者として考えているため、いい転職ができるか、あるいは転職しなくてもいい方向に向かっていくと思います。
まぁ、ブラックな企業にいる場合は、あれこれ考えずスパッと辞めてしまってもよいと思いますが。

また、自社の将来について、自分がどうか関わっていくかというのを一度考えるのもよいと思います。同じ部署、あるいは別の部署でステップアップしていく自分や、自社の将来の中に自分の姿が想像できない場合は、転職の道を歩むのがよいと思います。

私の場合、社内の様々な人との会話、自社でやっていること、自分がやってきたこと、そしてこれから進みたい方向を総合的に考えると、転職しITコンサル系の企業に行く方が、成長していく自分を想像することが出来ました。

さて、次回でこの連載も最終回です。
連載全体の統括と、コンサルに転職し今後迫られるであろう、将来の選択について考えてみようと思います。

[筆者プロフィール]

田邊 圭介
ITコンサルタント。独立系SIerにて約8年間システムエンジニアをし、その後ITコンサルタントへ転職。SE時代には、某大手銀行の大規模情報系Webシステムの開発等に従事し、要件定義から設計、開発、テスト、導入、保守までを先導した。

一方働きながら社会人大学院に通い、2012年に技術経営修士(専門職)(MOT: Master in Management ofTechnology (Professional))を取得。MOTでの研究テーマは、「クラウド時代におけるシステムインテグレータの戦略」。

現在はSE時代の知識を活かし、某大手銀行の業務効率化等に取り組んでいる。