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是正処置報告書の書き方|是正処置での再発防止方法の考え方

更新日:2023年10月29日

書類の書き方

是正処置が必要になった際、言葉のイメージから「なんとなくこれでいいだろう」と是正処置に至っていない単なる「処置」にとどまってしまうことがあります。「是正処置」とは何なのか、本来の定義と作られた背景からまずはみていきましょう。

「是正処置」とは?

「是正処置」という言葉をご存知でしょうか。是正、処置、一つ一つの言葉はなじみ深いですが、「是正処置」という一つの単語になると少し違った意味を持ちます。中にはオフィスで既に日常的に使っているという方もおられるでしょう。まずは以下より元の意味からみていきます。

「是正処置」はISO規格で定められたもの

「検出された不適合またはその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置」(JIS Q 9000) これはJIS規格で定められた「是正処置」の意味です。JIS規格とはISO規格を日本語に翻訳したものです。後の記号番号によってさまざまな規格を表しています。JISは日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の略で、ISOと同じく標準化をはかることを目的にしています。JIS Q 9000はISO 9000を日本語に翻訳したもので、番号が対応しているのがわかりますね。

そもそもISO規格(JIS規格)って?

ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称であり、この組織はさまざまな製品やサービスの国際的な協力を円滑に行うために、国際規格を発行しています。この国際規格がISO規格であり、ねじの規格や非常口の表示に至るまで身の回りに多く使われています。ISO規格はなぜ必要なの?という方がおられるかもしれません。しかし、世界各国には地域性に基づいたその国特有の決まりごと、習慣があります。「海外で作られた製品に日本のねじが合わなくて、海外からまた取り寄せなくてはならない…」そういった問題を解決するために国際規格はあります。国際規格によって標準化するメリットとしては他に、仕様を明確化すること、また安全性の確保などがあります。

ISO規格の中の「ISO 9000」

ISO 9000はとくに、ある組織の自分の顧客に対するサービスの品質を維持し向上することを目的とした、品質マネジメントシステムに関わる国際規格です。ISO 9001、ISO 9004、ISO 19011などもISO 9000と同じく品質マネジメントを扱っており、これらをまとめてISO 9000ファミリー規格と呼ばれています。ISO 9000は品質マネジメントシステムの基本的な考え方や用語を、ISO 9001は品質マネジメントシステムの要求事項を、ISO 9004はパフォーマンス改善の指針を、ISO 19011は品質マネジメントシステムおよび環境マネジメントシステムの監査のための指針をそれぞれ示しています。もとはISO9000シリーズと呼ばれていましたが、2000年の改正によりISO9000ファミリー規格という呼称になりました。

審査登録制度

企業の製品や品質・環境管理がISO規格を満足しているかを第三者が評価し登録する制度を「審査登録制度」といいます。各国に一つだけ設置された認定機関が、審査登録機関を認定し、審査登録機関が各企業を評価します。日本では、JAB(財団法人日本適合性認定協会)が唯一の認定機関にあたります。JABに審査能力があると認定された審査登録機関は、ISO 9001、ISO 14001などにもとづいて企業を審査し、合格したら企業を登録します。企業を審査する審査登録機関もまた第三者から審査の技術や公平性を評価されることによって、公明正大な審査を実現させています。

企業にとっての「是正処置」

企業にとってISO 9000ファミリー規格を適用しているということはメリットになります。採用している企業は顧客側からすると製品に安心感をもつことができ、また顧客満足につながるシステムの構築が容易にできるということです。裏を返せば、ISO 9000ファミリー規格を適用している組織にはそれなりの対応を期待されます。 オフィスにおいて「是正処置」という言葉が出るときは、何らかのトラブルがあったときです。ここでどう対応するかで企業のイメージは変わってしまいます。実際の現場においての「是正処置」についてみていきましょう。

「是正処置」の実行

仕事において是正処置を行う時は、ある問題点が発生したことを確認したとき、また顧客側からのクレームが届いたときが主です。是正処置が求められれば、発生した問題に対し実際に行う是正処置の報告書を書くことになります。その後は、是正処置の実施が正しかったかどうかを評価することも必要です。行った処置の効果がなければ対策を考え直します。あまりに単純なミスだったり、見合わないコストがかかったりする場合は是正処置を行わない場合もあります。

再発防止策の必要性を評価させる責任者には、不適合が解消されないときに企業や顧客に与える影響度やリスクの大きさを判断できる能力が求められる。また、是正処置が他部門の業務や他の製品にどのような影響があるかを考慮することも重要である。

是正処置報告書については、書式例がインターネットで探せたり、専門家に聞いたりできますし、見やすく読んだ人がわかりやすい書き方を心がければ問題ないでしょう。気をつけるべきはその内容です。 たとえば、「雨漏りがする」という問題が発生し、これに対する是正処置として「雨漏りする穴をふさいだ」と報告したとしましょう。これが是正処置かと言われると、そうではありません。

再発防止が一番の目的

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初回公開日:2017年03月23日

記載されている内容は2017年03月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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