IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

間違えやすい敬語「ご入用」の意味|ご入用を使った文章の使い方

更新日:2024年02月08日

敬語表現

「ご入り用」という語、よく聞くようでいてその正しい使い方を知らない人が多いのではないでしょうか。丁寧な言葉遣いを心掛けているつもりで、相手に失礼になってしまうなんてこともあります。「ご入り用」、きちんと使えるようになって、大事な仕事相手に使ってみましょう。

難しい言葉を身につける

なんとなく聞き覚えのある丁寧な言葉。大人になったら使えるようになるのかな、と思っていては、いっこうに使えるようにはなりません。かといって紙の辞書で調べるのはやや面倒なものです。TwitterやFacebookで文字をたくさん読むようになったものの、こうしたネット文化にばかり親しんでいるということは、ネットで使われない言葉に出会わないということでもあります。たまにしか出会わないような難しい言葉ほど、ここぞというときにちゃんと使えるようになりたいですよね。 今日は「ご入り用」という言葉を使えるようになりましょう。

サザエさんにおける「ご入り用」の使われ方

さて、この「ご入り用」という語はどうやって使えばいいのでしょうか。筆者がこの「ご入り用」という言葉を聞いたのは、あの「サザエさん」の中でした。サザエさんとは、言わずと知れた日曜日の夕方のアニメで、もともとは戦後の日本に明るい笑いを届けた新聞4コマ。作者の長谷川町子は、生き生きと活躍する登場人物たちのコミカルなやりとりで、日常生活の些細な当時の「あるあるネタ」を表現していたものでした。 さて、そんな登場人物の中でもひときわ輝く名脇役が、「サブちゃん」です。サブちゃんは三河屋という酒屋さんの御用聞き。彼の登場は磯野家の勝手口と決まっていました。彼の口癖は、「ちわ~、三河屋です!」ですが、その後によく続いていたセリフが、「何かご入り用ですか」だったのです。

サブちゃんに学ぶ「ご入り用」

サブちゃんのセリフに見られるように、「ご入り用」というのは「必要なもの」のことを意味しています。つまり、彼の登場シーンは、「何か必要なものがありますか」という意味になります。昭和の時代には、こうやって各家庭を回って「ご入り用」を聞いて回る下働きの働き手が数多くいて、彼らを「御用聞き」と呼んだのです。たしかに、現在「御用聞き」という言葉を聞かないように、この職業は人的コストがかかりすぎるためにほとんどなくなってしまったのですが、だからといって現代のわれわれには全く関係ないというわけではありません。

営業に便利なことば

サブちゃんのように各家庭を回って「ご入り用」を聞いて回るということはあまりないかもしれませんが、現在でもよくある業種がその代わりの仕事をしているのではないでしょうか。それが、「営業」です。 営業職のみなさんはビジネスシーンの中で、何か私たちにできることはありませんか、と相手先に聞いて回るという意味では現代の「御用聞き」です。ゼロから関係を構築し、取引先との信頼関係をつないでいくきっかけとなる、いわば会社の名刺代わりのポスト。このときに使われる言葉のストックとして、「ご入り用」は非常に便利な言葉です。

「ご入り用」の用例

では実際に、営業シーンでの使われ方を何パターンか見てみましょう。最初に文例を示し、二段目に日常会話での翻訳を載せています。 ・「何かご入り用でしょうか」 →「何か必要なものはありませんか」 ・「ご入り用の際は、ぜひともわが社にお申し付けください」 →「必要なものがある場合は、わが社に言ってください」 これらの用法がもっとも一般的な使われ方でしょう。敬語として、こちらから相手の「必要なもの」を伺うというニュアンスが出ています。これはまさにサブちゃんのような「御用聞き」の用法と言えるでしょう。

「ご入り用」の用例2

さらにこの語を使うと、自分たちの「必要なもの」を指すときにも丁寧なニュアンスを出すことができます。この場合、必ずしも敬語というわけではないのですが、正しい言葉を使える人だという印象を与えることができるでしょう。 ・「○○が入り用となりましたので、できるだけ早くご返却いただければ幸いです」 →「○○が必要なので、すぐに返してください」 このように、「入り用」と頭の「ご(=御)」を取ることで自分の「必要なもの」を指すときにも使えるのです。直接的に、「○○が必要なので」と言ってしまうと相手を急かしてしまうことにもなりかねません。この用例のように、語調をやわらかくするためにも「入り用」を使うことができます。

「ご入り用」の間違った用例

次のページ:「ご入り用」の「間違っていない」用例
初回公開日:2017年03月15日

記載されている内容は2017年03月15日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

関連タグ

アクセスランキング