【業界研究】鉄鋼業界の現状・今後の動向・将来性を学ぶ

建築物や鉄道、船や自動車など、私達の生活に必要なあらゆるものが、鋼材を使ってつくられています。今回は、鉄鋼業界に注目して、業界の現状や動向、将来性などについてご紹介していきます。鉄鋼業界への就職を考えている方や、業界研究をしている方は、ぜひ参考にどうぞ!

鉄鋼業界研究:現状

まずは、鉄鋼業界の今を見ていきましょう。基本情報や業界シェアなどを通して、業界の現状をご紹介していきます。

鉄鋼業界の現状:基本情報

以下は、平成25年~平成26年の、鉄鋼業界の各データを元にした情報です。

市場規模:16兆1282憶円
労働者数:70331人
平均年齢:38.6歳
平均勤続年数:15.5年
平均年収:563万円
引用元:「業界動向.SEARCH.COM(※1)」

鉄鋼業界の基本情報の中でも特に注目したいのは、市場規模の大きさと、労働者数の多さです。鉄鋼業界の市場規模は、他の業界と比較すると大きい方だと言えるでしょう。また、労働者数も比較的多め。一方で、平均年齢・平均勤続年数は、他の業界と比較して標準的です。

平均年収に関しては、平均的~やや高めと言えそうです。ちなみに、2015年の労働者の平均年収は、440万円と言われています(※2)。鉄鋼業界の平均年収は563万円ですので、440万円という金額を標準とした場合、その金額を100万円以上も上回っていることになりますね。

鉄鋼業界の現状:業界シェア

続いて鉄鋼業界の業界シェアをご紹介していきます。大きな市場を持つ鉄鋼業界ですが、その市場の内訳をどのようになっているのでしょうか?以下は、平成25年~平成26年の鉄鋼業界企業の売上高を元にしたランキングです。

業界シェア1位:新日鐵住金
業界シェア2位:JFEホールディングス
業界シェア3位:神戸製鋼所
引用元:「業界動向.SEARCH.COM(※1)」

鉄鋼業界の業界シェア1位に輝いたのは、新日鐵住金。シェア率は34.2%、売上高は5兆5161憶円となっています。巨大な市場を持つ鉄鋼業界ですが、その市場の3割以上を占める新日鐵住金の業績は、大変高いと言えるでしょう。鉄鋼業界の市場を独占していると言っても過言ではない勢いです。

続いて、業界シェア率22.7%、売上高3兆6668憶円で2位にランクインしたのは、JFEホールディングスでした。2位という順位ではありますが、業界全体の市場の2割以上を占めているJFEホールディングスの業績も、そうとう高いものと言えるでしょう。

3位の神戸製鋼所のシェア率は11.3%、売上高は1兆8246憶円でした。こちらも巨大な市場のうちの1割を超える業績となっています。上位1位~3位の企業のシェア率を合計すると68.2%にもなり、なんと業界の市場のうちの約7割を占めていることになります。鉄鋼業界は、上位3位までの企業が、市場をほぼ独占していると言えます。

鉄鋼業界研究:動向

続いてご紹介するのは、鉄鋼業界の動向です。鉄鋼業界では今、どのような変化が起こっているのでしょうか?業界が抱えている課題や業界規模の推移を見ていき、将来性について考察していきます。

鉄鋼業界の現状:課題

まずは、鉄鋼業界が現在抱えている課題をご紹介していきます。課題や問題点を解決するにはどうすれば良いのか、解決策を考えてみることで、業界の将来性や今後などについても、新たに見えてくるものがあるかもしれませんよ。

鉄鋼業界の課題1:中国鉄鋼業界の国際競争力

日本の鉄鋼業界の強みは、高級鋼と言われています。軽くて丈夫な高級鋼を生産するには、高い技術力が必要になる為、日本の鉄鋼業企業と同レベルの高級鋼を生産することができる企業は、世界でも数少ないとされています。しかし、近年は中国の鉄鋼業界で、再編の流れが強まっています。800社前後もの鉄鋼メーカーが存在する中国ですが、再編により経営力や技術力が低い企業は、淘汰や合併されると見られています。その結果、中国の鉄鋼メーカーの技術力や国際社会における競争力が上がり、やがては日本の鉄鋼業企業にも大きな影響を与える可能性があるのです。(※3)

鉄鋼業界の課題2:製鉄所の統合・高炉の集約

製鉄所や高炉は、たくさん稼働させればさせる程、コストがかかります。より少なく効率的なコストで鉄鋼を生産する為に、現在の鉄鋼業界では、世界的に鉄鋼を生産していく上で必要がない製鉄所や高炉の稼働を止め、統合したり廃炉にしたりする企業が増えています。日本の企業も、製鉄所の統合や高炉の集約を進めていますが、まだまだ不完全な部分や実現できていない所も多い模様。今後、どれだけ鉄所の統合や高炉の集約を進め、コストを削減できるかどうかが、日本の鉄鋼業界の未来を大きく左右するでしょう。(※4)

鉄鋼業界の課題3:統合・再編

上記で、中国の鉄鋼業界では、鉄鋼メーカーの統合や再編が進んでいるとご紹介しましたが、その流れは日本の鉄鋼業界でも強くなっています。例えば、平成24年に新日本製鐵が住友金属工業を吸収合併したことにより、世界2位の鉄鋼会社となりました。このように、統合や合併をして経営力を強化することで、国際競争力も強化されるのです。日本の鉄鋼業界では、今後も統合や再編の流れは続くと見られており、上手く経営力の強化を図れた企業が、生き残っていけると考えられています。(※1)

鉄鋼業界の現状:市場動向

次に見ていくのは、鉄鋼業界の市場動向です。業界規模の推移を通して、ここ数年の業界の動きや傾向を把握し、それを元に将来性について考えていきましょう。

鉄鋼業界の市場動向:業界規模の推移

以下は、平成17年~平成25年までの鉄鋼業界の業界規模の推移をあらわしているグラフです。

引用元:「業界動向.SEARCH.COM(※1)」

平成17年~平成20年までは、順調に成長を見せていた鉄鋼業界の業界規模。しかし、平成21年に入って、一気に減少して落ち込みます。その原因は、世界的な不況。鉄鋼の需要が世界的に下がり、また鉄鋼そのものの価値も低下しました。

その後、平成22年には回復しますが、その後は成長前の水準である平成17年と同程度の規模で、横ばい傾向。鉄鋼業界の業界規模は、なかなか伸びていきません。

平成25年に入り、円安や自動車需要の世界的な増加などによって、ようやく大幅に回復しました。

鉄鋼業界の現状:将来性

これまでご紹介してきた、鉄鋼業界の現状や動向を元に、将来性について考察していきます。

平成21年に業界規模が落ち込んで以降、長らく苦戦を強いられてきた鉄鋼業界でしたが、平成25年に入ってから、ようやく明るい兆しが見え始めました。今後は、世界的に激しくなるであろう、各国の鉄鋼業界企業と競争を繰り広げていくことになり、日本の鉄鋼業界企業は、国内だけでなく世界とも戦っていく必要がありそうです。

日本の鉄鋼業界企業が世界の企業を相手に戦っていく為には、経済力や国際競争力の強化をする必要があります。現在、再編や統合の波が到来している日本の鉄鋼業界ですが、今後もしばらくは、そのような流れが続いていくことでしょう。

鉄鋼業界研究:業界研究本

最後にご紹介するのは、鉄鋼業界に関するおすすめの業界研究本です。更に深く鉄鋼業界について学びたいという方は、参考にしてみて下さい。

1.図解入門業界研究最新鉄鋼業界の動向とカラクリがよ~くわかる本

業界研究の定番シリーズ。鉄鋼業界の仕組みやシステム、動向などを把握することができます。

2.カラー図解 鉄の未来が見える本

こちらの書籍では、鉄そのものについて学べます。鉄の種類や最新技術について解説されているので、鉄鋼業界への就職を考えているなら、ぜひチェックしておきたい1冊です。

終わりに

現在、順調に業界規模を回復させている鉄鋼業界ですが、課題や問題点なども多数抱えています。業界の傾向を知ったので、次は各企業の研究を行っていきましょう。

業界の動向・課題と合わせて、各企業のランキングから、優先順位を付けて、それぞれの企業の研究を行っていきましょう。こちらの記事がおすすめです。

[参考資料・引用元]