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「手前味噌」の意味/語源/例文/慣用句・「自画自賛」との違い

社会人常識

人はだれもが自分の強みなどを自慢したいものですが、それにうってつけな表現の1つに「手前味噌」というものがあります。文頭に使うことで、自慢を聞かされることによる嫌気を防止することも可能です。うまい人付き合いのためにも「手前味噌」の使い方などをマスターしましょう。

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「手前味噌」とはどういう意味だろう?

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日本語には自分のことを謙遜する表現が数多くありますが、その中でも自分を謙遜しつつも、アピールする際に使われるのが「手前味噌」という表現です。 若い人の中ではなかなか使うという人はあまり多くなく、むしろ時代劇や普通のテレビドラマ、そして年配の方が話している様子から聞くということが多いのではないでしょうか。今回はこの「手前味噌」という表現を取り上げていきます。 まず、「手前味噌」という言葉がどういう意味かについて見ていきましょう。国語辞典では、このように記載されています。

自分で自分のことをほめること。自慢。

自分のことを自慢することですが、それにしては「味噌」という一見すると、あまり自慢につながらないものを使っています。 また、実際に「手前味噌」という言葉を使っている人が腹立たしく感じられません。それは、「手前味噌」を使う人は多くの場合、謙遜の意味を込めてやや恥ずかしそうに語るためです。言い換えれば、あまり「自慢してやりたい」という気持ちが前面に出ないような演出を伴っているということになります。

英語で表現すると?

ちなみに、英語に訳すと、単語としてならば「self-flattery」となります。「flattery」は「お世辞を意味する単語ですが、頭に「self」がつくことで「自分に対してお世辞を言う=自慢する」ということで、手前味噌を意味することになります。 英語の熟語で表現する場合は、「sing one's own praises」や「blow one's own trumpet」といった表現になります。前者の場合は直訳すれば「自分に賛美歌を歌う」という意味で、そこから「自慢する=手前味噌」という意味につながります。 後者は主にアメリカで使われる表現で、「自分でトランペットを吹く」ことがまるで自分自身を讃えるために吹いているさまから「手前味噌」の意味につながりました。

「手前味噌」の語源はいったいどこから?

それでは、この「手前味噌」という、一見するとあまり自慢というイメージとつながらない言葉がどういう経緯で自分で自分を自慢することを意味するようになったのかについて見ていきましょう。 まず、「手前味噌」という言葉を現代風に直訳すると「手前(自分)の味噌」という意味になってきます。これはもう一歩踏み込めば「自家製の味噌」という意味です。 今でこそスーパーやコンビニに行けばそのまま買うことができる味噌ですが、昔は自分の家で作るのが一般的でした。自分の家で味噌を作るため、家によって味噌の味が異なるのはごく当然のことですが、各家ではなるべくおいしい味噌を創るためにさまざまな工夫を凝らしていました。 そういう状態であったため、おいしい味噌ができあがった時にどうしても自慢をしたくなります。そこから「手前味噌」という言葉が自慢をすることを意味する表現となっていったのが由来です。

「手前味噌」の類語には何がある?

「手前味噌」がなぜ「自分で自分を自慢する」という意味になるのかは、理解いただけたでしょうか? その理解を踏まえて、ここでは「手前味噌」の類語について見ていきましょう。

「自慢」:「手前味噌」より直接的な表現

「自分で自分のことを褒めて、他人に誇ること」という意味です。この言葉自体が「手前味噌」と同じではありますが、「手前味噌」の方が使う際に、ややオブラートに包んでさりげなく自慢する際に使われる分、感じ方に嫌みがないといえます。

「自賛」:実は「自慢」よりもたちの悪いニュアンス

「自賛」もまた、「自慢」や「手前味噌」と同じ意味で、「自分で自分をほめる」という意味で使われます。 が、「自賛」の場合は「自慢」と同じくはっきりと自慢するニュアンスがあることに加えて、他の人に褒めてもらうのが理想的という状態であるにもかかわらず、余計なことに自分で自分をほめそやしたときに使われる表現ですので、そういう意味では「自慢」よりも悪いニュアンスで使われがちです。

「手前味噌」と「自画自賛」はどう違う?

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「手前味噌」とよく似た意味の四字熟語に「自画自賛」というものもあります。「自画自賛」も読んで字のごとく、「自分の絵を自らほめる=自分で自分をほめる」という意味を持っています。このため、一見するとこの両者には意味の上では特に違いはありません。 しかし、両者に違いがないわけではありません。それではどこに違いがあるのかといえば、使うシチュエーションに違いがあります。「手前味噌」はスピーチの中などで自分で謙遜しながらさりげなく自慢するのに対し、「自画自賛」は他人が自分で自分をほめるさまについて話す際に使う表現です。 立場で言い換えるならば、「自画自賛」の方が「手前味噌」よりもやや評価を下すように伝える意味合いがあるといえます。

「手前味噌」の例文とは?

ここまで、「手前味噌」という表現について類語も含めて見てきました。それでは、「手前味噌」が実際どのように使われるかを例文を引き合いに出して見ていきましょう。

「手前味噌ながら」

「手前味噌」を用いた例文でも最もよく見られる形です。ビジネスやプライベートだけでなく、結婚式などのスピーチなどでもよく使われます。 例文を1つ示すと次のようになります。 「手前味噌ながら、わたくしが作ったこのクッキーは格別な味ですよ。」 また、自分のこと以外でも、自分が誇らしく思う人や物に対して使うこともあります。 「手前味噌ながら、私の店の店員たちはみんなそろって、わたくしが何も言わなくても、やるべきことを心得ています。」

「手前味噌ではありますが」

「手前味噌ながら」よりも、よりへりくだった言い方が、「手前味噌ではありますが」です。 「手前味噌ながら」よりも丁寧な言い方である分、謙虚さが前面に出ており、このために「手前味噌ながら」に比べると聞き手にあまり嫌味を覚えられるリスクが少なくなり、かつ自分の自慢したいことをより自慢しやすくなります。 なお、例文として引き合いに出すのであれば、以下のようになります。 「手前味噌ではありますが、これまでのわたくしの学会での業績を紹介させていただきます。」

「手前味噌で恐縮ですが」

「手前味噌で恐縮ですが」は、さらに謙虚さが前面に出ている表現といえます。 そのためか、特にビジネスの商談の場や、プレゼンの場、さらに講演会などでのスピーチの際によく使われるうえ、上に紹介した2つの表現に比べてもより無難さを持って使うことができます。 例文を示すと、以下のようになります。 「手前味噌で恐縮ですが、実はわたくしの会社はこの3年で急成長を遂げました。」

「手前味噌」を使った慣用句には何がある?

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「手前味噌」という表現自体が四字熟語であることに加え、その語源がかつては一般の各家庭で自前で作られていた味噌にあるということは先ほどもふれたとおりです。 味噌という生活に非常に密着した食品を使った四字熟語であるためか、「手前味噌」には慣用句も存在します。ここでは、それについて見ていきましょう。

「手前味噌を並べる」

「手前味噌を並べる」は、「手前味噌」を使った慣用句ではありますが、その意味に関して言えば「手前味噌」と全く同じです。つまり、「自分で自分のことを自慢する」「自分のやったことを得意げに自慢する」という意味です。 ただし、最後が動詞で終わっているため、「手前味噌」をする人間(自分も含めて)の様子をそのまま表現する際に使える慣用句であるともいえます。

「手前味噌」はうまく使って

自慢を意味する「手前味噌」という表現について見てきましたが、いかがでしたか? 「手前味噌」という表現は、スピーチなどで文章の冒頭で「手前味噌ながら」などと使うことで、あとから続く自慢の連続に対して感じる嫌味を薄める効果があります。 そのため、特にビジネスなどで自分や自分の会社の強みを伝えたいときに、うまく活用することで相手に信頼してもらえる可能性が開けてきます。 ビジネス関係も含めたコミュニケーションの中で「手前味噌」をうまく使うことが、人付き合いの中でもミソになりえるともいえます。

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