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「煮え湯を飲まされる」の誤用と正しい意味・類義語・使用例

社会人常識

「煮え湯を飲まされる」という言葉の正しい意味と使い方をご存じですか。この記事では、「煮え湯を飲まされる」の正しい意味と使い方、類義語、例文などをお伝えしていきます。正しい意味を答えられるか自信のない方は、ぜひ読んでみてください。

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実は間違っている「煮え湯を飲まされる」の解釈

敵やライバルに酷い目に遭わされる

「煮え湯を飲まされる」と聞いて、どんな意味を思い浮かべますか。敵やライバルに酷い目に遭わされることを想像する方も多いことでしょう。しかし、「煮え湯を飲まされる」という言葉の本来の意味は、そうではありません。 「煮え湯を飲まされる」という状況を思い浮かべてみてください。最初から敵だとわかっている人物に熱い湯をわたされて、素直に受け取ってしまうことがあるでしょうか。もし受け取ってしまったとしても、敵からもらったものを、何の警戒もせずに飲んでしまうことが、はたしてあるでしょうか。

「煮え湯を飲まされる」の正しい意味とは?

信頼している相手や身内から裏切られること

「煮え湯を飲まされる」という言葉は、信頼している友人や身内からひどい裏切りを受ける、ということを意味しています。普段信用している家族や友人に、「ちょうど飲み頃ですよ」と、お湯をわたされたら、すぐに受け取って飲んでしまうことでしょう。それが実は熱湯で、ひどい目に遭った、ということをあらわしています。 そのため、本来、敵やライバルと見なしている人物から受けたひどい仕打ちや、事故や天災などの場面では、「煮え湯を飲まされる」という表現は使いません。

「煮え湯を飲まされる」の由来は?

「煮え湯を飲まされる」という言葉は、信用していた人に「飲み頃ですよ」とすすめられたお湯に、すぐに口をつけたところ、実際は煮えたぎった熱湯で、口の中を火傷してしまい酷い目に遭った、ということに由来します。 「煮え湯を飲まされる」という状況を思い描いてみて、誰に飲まされるか、ということをよく考えてみましょう。そうすると、「煮え湯を飲まされる」という言葉の本来の使いどころもわかってくるはずです。

「煮え湯を飲まされる」の類義語

「煮え湯を飲まされる」には似た意味の言葉があります。次は、それをいくつか見ていきましょう。

飼い犬に手を噛まれる

普段からエサをやったり、散歩に連れていったりしてかわいがっている犬から、突然噛まれてしまうことに由来しています。「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼している人物から裏切られたときに使うことができます。 また、普段からかわいがっている部下など、目下の人に裏切られた場合にも使うことができます。「犬」は人間より目下ととらえられていることから、上司などの目上の人、友人の場合に使うことはありません。 例:あの政治家は、信頼していた秘書に大金を持ち逃げされた。「飼い犬に手を噛まれる」とはまさにこのことだ。

後足(あとあし)で砂をかけられる

親切にしてあげていた人や、目をかけていた部下に裏切られ、去り際にさらに迷惑をかけられることを意味しています。馬や犬などの動物が走り去るときに、後足で砂を撒き散らしていくことに由来しています。「飼い犬に手を噛まれる」と同じような状況で使うことができます。 「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼していた人物に裏切られ、辛い思いをさせられたときにも使うことができます。 例:あれだけ目をかけて、親切にしてやったのに、彼が突然会社を辞めていくなんて、後足で砂をかけられたような気分だ。

苦汁を飲まされる

「苦汁」は読んで字のごとく、「苦い汁」のことです。苦い汁を飲むのは、誰でも嫌なことです。それから転じて、「苦汁」は辛い経験などもあらわすようになりました。「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼していた人に裏切られ、辛い経験をさせられたときに使うことができます。 こちらは、ライバルや敵と見なしている人物から、ひどくやり込められたときなどにも使うことができます。「苦汁をなめさせられる」などということもあります。 例:ライバルチームの彼には、何度も苦汁を飲まされてきた。

痛い目に遭う

痛い思いをしたり、苦しい思いをしたりすることです。「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼のおける友人や家族に裏切られ、辛い思いをさせられたときにも使うことができます。ライバルや敵と見なしている人物から、ひどいあつかいを受けたときにも使うことができます。 また、悪いことをして、お仕置きを受けたり、手ひどいしっぺ返しを受けたときなどにも使うことができます。「痛い目をみる」などということもあります。 例:そんなに悪いことばかりしていると、あとで痛い目に遭いますよ。

泣きをみる

泣くような辛い目にあったり、不遇な状況に置かれることです。こちらも「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼している友人や家族に裏切られたりして、辛い目にあったときにも使うことができます。ライバルや敵と見なしている人物に、酷いことをされた場合にも使うことができます。また、挫折をしたりしたときなどにも使うことができます。 例:早く明日のテスト勉強をしないと、泣きをみることになりますよ。

辛酸をなめる

「辛酸をなめる」の「辛酸(しんさん)」は辛いものと酸っぱいものをあらわしています。とても辛いものや酸っぱいものをなめるのは、簡単なことではありません。そこから転じて、辛い経験や苦しい経験をすることを意味しています。 「辛酸をなめさせられる」は「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼している家族や友人に裏切られ、苦しい思いをさせられたときに使うことができます。また、過去のつらい思い出や、貧困、苦労、屈辱的な思いをさせられたとき、などにも使うことができます。 例:彼の横暴で理不尽なふるまいに、何度も辛酸をなめさせられてきた。

辛い経験をする

辛くて苦しい状況に置かれたりすることです。「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼している家族や友人に裏切られ、辛い状況に置かれた場合にも使うことができます。また、過去の苦しい思い出や貧困、悲惨なできごと、屈辱的な経験、などにも使うことができます。 例:彼女は学生時代、いじめにあうという辛い経験をしてきた。

屈辱を味わう

誇りが傷つけられたと感じたり、恥をかかせられたりすることです。「煮え湯を飲まされる」と同じく、信頼している人に裏切られたりして、辛い思いをさせられたときにも使うことができます。また、汚名を着せられたり、面目をつぶされたときにも使うことができます。 例:彼は、全校生徒の前で叱責されるという屈辱を味わった。

「煮え湯を飲まされる」の使用例

次に、「煮え湯を飲まされる」の使用例をいくつか見ていきましょう。 1、親友が自分の名をかたって借金をしていたなんて、煮え湯を飲まされた気分だ。 2、親友にこんなことで煮え湯を飲まされるとは思ってもいなかった。 3、尊敬していた上司の裏切りで会社を辞めることになり、煮え湯を飲まされた思いがした。 4、信じていた家族に裏切られ、煮え湯を飲まされた。 5、仲のいい友人にさんざん罵られ、煮え湯を飲まされた気分になった。 どれも、信頼している人物に裏切られたり、予想もしていなかった裏切りを受けたことをあらわしています。類義語であげた言葉もあてはめることができますが、「飼い犬に手を噛まれる」は目下の人に裏切られたことを意味するので、3番目にあげた例にはあてはまりません。

正しい意味を知って正しく使おう!

いかがでしたか。今回は「煮え湯を飲まされる」の正しい意味と、その使い方をご紹介しました。 文化庁が平成23年度におこなった「国語に関する世論調査」で、「煮え湯を飲まされる」の意味をきいたところ、約24パーセントの人が、「敵からひどい目に遭わされる」という本来の意味とは違う意味を答えています。 日本語には、よく似た意味の慣用句やことわざなどがたくさんあります。なかには、「煮え湯を飲まされる」のように、多くの人が、本来の意味とは違った意味で使っている言葉もたくさんあります。この機会に、その言葉本来の意味を知って、正しい使い方を覚えるのもいいのではないでしょうか。

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