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「わからいでか」の意味と使い方・方言で使う地域・語源

社会人常識

「わからいでか」という表現を見かけたことがありますか。時代劇や落語などのやりとりでよく見かける言葉のため、昔の言葉という印象が強いですが実は方言として今でも会話の中に使われている地方があります。「わからいでか」の語源や使い方、似ている表現などを紹介します。

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聞いたことある?「わからいでか」

「わからいでか」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。落語、漫才そして時代劇などのやりとりで耳にすることが多い表現ですが、現代でも方言として一部地域では使われています。 今回は「わからいでか」の語源と実際に「わからいでか」を使用している表現例や「わからいでか」と似た言葉との違いについて説明していきましょう。

「わからいでか」の語源は?

「わからいでか」という言葉は近畿地方の古語からきた表現で、「分かる(動詞)+いで(否定の接続助詞)+か(反語の終助詞)」から成り立っています。否定と反語が重なるため、強い口調になり、問いかけに対してムキになって返事をするイメージのやりとりで用いられます。 「わからいでか」の他にも「いで」「か」を用いて、「知らいでか(=知らないわけがあるか)」「やらいでか(=やらないわけあるか)」などという表現もあります。「わからいでか」そのものが古語の表現というよりは「いで」「か」で反語と否定の表現を取り入れて強い肯定の気持ちを表すことが、昔からの言葉の表現技法のひとつなのでしょう。

weblio辞書・三省堂大辞林より いで ( 接助 ) 〔「ずて」の転。中世以降の語〕 動詞の未然形に付く。現代語の「ないで」に相当する。 ①上の事柄を打ち消し、特別の感情をもって中止する。 「衣を帯につかぬるやうに夫にそは-ぞ/毛詩聴塵」 ②上の事柄を打ち消し、下の用言の修飾語となる。 「いとまもこは-はなんとあらうぞ/史記抄 5」 〔現代語でも関西方言では用いられる〕

「わからいでか」の意味と使い方

「わからいでか」とは「わからないわけがない(=わかるに決まってる)」という反語表現です。「わから・いで・か」と分けるのですが、それぞれの意味を細かく追いますと「わから(知ってる・理解している)・いで(否定の意味・~ない)・か(反語の意味・~であろうか、だろうか)」に、なります。 直訳すると「(それが)わからない(ということがある)だろうか」という表現になります。否定の「いで」を反語の「か」でひっくり返すことにより強い肯定の表現へつながります。 砕けて現代風に言い直すと「(それが)わからないなんてことがあるか=わからないわけないだろう」という表現になります。「わからいでか」とは「わからない」ことを強く否定し、自分がその事柄を「わかっている・とっくに理解している」という肯定の表現です。 「わからいでか」を使わずに表現すると「それぐらいもう知ってます(わかってます)」などとなります。

「わからいでかい」の意味と使い方

「わからいでか」を小説やマンガの吹き出しなどの文字で見ると「わからいでかい」と表記されている時もあります。「わから・いで・か」の「か」が反語の終助詞(文末にくる助詞)なのですが、「い」も終助詞です。「い」を付け加えると、当たりのやわらかい話し言葉で使われる口語表現になります。 「わからいでか」は、ムッとした時に吐き捨てるように使うと「そんなことも知らないのかって言ってるの?」というようなケンカ腰にもなりますが、「わからいでかい」と使うと「知らないわけないじゃない、嫌だなあ」などと相手にやわらかいニュアンスを与えることができます。

-かい(助詞) 終助詞である「か」と「い」がつながったもの。主に話し言葉で使われる。文末につき、質問や疑問、勧誘、驚きなどの意味を強める 昨日はどこに行ったのかい 一緒にやらないかい ああ、そうかい、結局おまえもかい

「わからいでか」の誤った使い方

最近の小説やマンガで登場人物が「わからいでか」と発言して「なんだその言い方は」と、そのままケンカになるという流れを目にしたことがあるのですが、これは作者が「わからいでか」を誤用している可能性があります。「わからいでか」と言っただけでカチンとくるということはないはずです。 「わからいでか」という言葉は、相手の確認したことがらに対してあらかじめ自分に十分な理解と知識があるため、わからないことを強く否定するという肯定表現です。 ネットなどの質問集の中にも「わからいでか」は「わからないとでも思ってるの?」という意味である、とかなりケンカ腰に訳している人がいますが、「わからいでか」は簡単に言えば「わからないということに対する強めの反語表現」にすぎないので、話し相手をそれほど目の敵にしなければならないような表現は含んでいません。 「~~ってことだけど、ここまで大丈夫?」 「わからいでか、ついさっきの話じゃないか」 「そうだよね、ごめんごめん」 などと、話の流れを確認しつつ言葉遊びを交えるイメージで使われる場面が多いです。

「わからいでか」を方言で使う地域

「わからいでか」を始め「~いでか」という表現は古語から現代に至る言葉で、現在も方言として使っている地方があります。それでは「わからいでか」を方言として使っている地方について掘り下げていきましょう。

普段使いの関西弁説

小説や落語などで「わからいでか」と出てくると、すぐに意味を理解できない人がほとんどです。つまり「わからいでか」「~いでか」という表現は一般的にはなじんでいない表現なのでしょう。 しかし、「わからいでか」は関西のほうではよく使う、使っているという報告もあり「わからいでか」は古くからの関西の言葉として地域に根付いているという説が出ています。

「"わからないはずがあろうか、いや、わかるに決まっている"という意味の大阪弁やで、たぶん。"反語"ちゅうやつやね。ほかにも、"知らいでか""行かいでか""食わいでか""買わいでか"とか、いろいろできるね。」

あたしは伊丹だよ。 大阪寄り。 大阪も使うよ。

年配で、特に下町の人の関西弁説

「わからいでか」「~いでか」は昔からの関西弁であるということですが、「若い人が使っているのを見たことがない」「女性は使わないと思う」などという意見もあります。 近畿地方の古語からくる言葉のためか「わからいでか」を使って話すのは年配の世代に多く、終助詞「か」または終助詞「い」が付け足されて「~かい」という言葉の終わり方は男性が多用する表現であると言われており、若い世代の人や女性は「わからいでか」という言葉はあまり使わないとのことです。 ただ、若い人の中に「親世代が普段から使っている」といった意見もあるので「わからいでか」の認知度は世代を問わず高いと言えます。

父親が日常使ってるので、漠然としたニュアンスでしかわかりませんが…「わからいでか」だと「分かるに決まっているだろう」という感じかと。 ちなみに神戸在住です。どちらかというと、神戸の中でも長田や下町のほうで使っている言葉じゃないでしょうか。

実は江戸弁?

時代劇などで市井(しせい)の人が 「あそこんち実は○○だってよ、お前」 「わからいでか、皆言ってるじゃないか」 などというやりとりを江戸の町を舞台にした場面で耳にしたこともあるでしょうか。それでは「わからいでか」は江戸弁なのかというと、「~いで・か」は近畿地方の古語表現という説が多いため、近畿地方から江戸へ来た人たちが使っているうちに江戸の町になじんだ=江戸弁という理解もあります。江戸弁としての「わからいでか」は関西弁に比べると新しい言葉と言えます。

私は落語以前に、溝口健二の映画や司馬遼太郎の小説で見聞きしました。 おもに近畿地方の方言として残ってきた古語だと思います。 年配の方はまだ使っているんじゃないでしょうか。

「わからいでか」と「いらいでか」の違い

「わからいでか」という言葉は「わから・いで・か」いう「わからないということを反語にした強い肯定(=分かってるに決まってるなど)の表現・言い回し」です。 このため、他の言葉にも応用が利きます。たとえば、「食わいでか(=食べないわけがないだろう)」や「やらいでか(=やらないわけあるか)」などと使うことができます。「~いでか」という色々な表現がある中で「いらいでか」という言葉があります。 「わからいでか」は小説や落語などで見かけることも多い言葉ですが「いらいでか」をわざわざ使ったセリフなどは少ないでしょう。ここでは実際に「いらいでか」をどういう意味で、どのように使っているか例を挙げて説明していきましょう。

「要らいでか」

「要る・必要である」という言葉に「いで」「か」を付けることにより「要らいでか(=要らないわけがあるか)」となります。 「お父さん本棚の奥の本読んでないし、もう要らないよね」 「要らいでか、若い頃からコツコツ集めた大事なコレクションだぞ」 などと、自分にとってそれが必要であることを強調するときに使います。

「いらいでか」 要らないということはない すなわち 要るのに決まっているじゃないか ということです 要るかどうかを訊ねられときに 「要る」ことを強調するのに使います

「居らいでか」

「居る・存在している」という言葉に「いで」「か」を付け加えることで「居らいでか(=居ないわけあるか、忘れないで)」という表現になります。 「〇〇日の飲み会は、△さんはご不在でしたっけ」 「居らいでか、その日は俺が幹事だよ」 というように、そこに自分が(誰かが)居ないわけないがない(=居て当たり前)ということを強調するために使います。

関西の私の住んでいるところでは「いらいでか」は「いる」と言う意味で使います。 どちらかというと、「いるのは、当たり前やないか」というかんじのときに使います。

「わからいでか」を理解して使ってみよう

近年、昔から存在する言葉が見直される傾向が高まっています。時代小説や落語のみならず、ドラマやライトノベルなど若い世代が気軽に楽しめる作品などに、あえて普段使わない昔からの言葉や方言を取り入れて他作品との差別化を図る試みが多くみられます。 その一方で、読み手が「わからいでか、なんて言葉初めて聞いた」という声もあったり、「わからいでか」を使っている作品などを有識者が読んだところ実は使い方が間違っていたなどということもあり、表現する側にも読み手にもなかなかピンとこない局面が増えています。 古くから親しまれている「わからいでか」という表現を深く掘り下げて知ることによって、文学および映像作品などへの理解を深め、友人や家族と話す機会を増やし、自分が知らなかった言葉や表現を増やしてはいかがでしょうか。

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